2024年9月の試聴会の様子と次回予定

9/14に9月度の定例試聴会を開催しました。 

今回は新開発のオリジナル 真空管式フォノイコライザーアンプによるアナログレコードを中心に聴いていただきました。

主な仕様は、クワッドCR方式回路(MM対応)、NFB切替SW、タンゴトランス(電源、チョーク)、真空管はEF86×2本、12AU7×2本等。

特徴は歴史的に定評のある最高級の部品を採用し、シャ―シは10mm厚アルミプレート上下2枚を配した堅牢、重厚な構成で、音は極めて繊細で色彩豊かなものです。

(MC昇圧トランスも製作できます)。

 

                                           

アナログプレイヤーには常設の英国ガラード401にアームはSMEです。通常はMCのSPUカートリッジですが、今回はMM型のパイオニアの普及型のカートリッジで聴いていただきました。

何枚かを以下の写真に示しています。

ボーカルを中心にした軽快なリズムと斬新な音作りで一世を風靡したシャカタクの代表作のアルバム「ナイトバーズ」から同名曲では、CDとは違う音の余韻、深い音像、微小音の粒粒が聴こえてきます。特にシンセサイザーの天空(もちろん夜空ですが)を駆け上るような飛翔感は新鮮です。シンセの音は無機的に聴こえやすいですが、こんなにも澄み切った音であったのかと感じました。

70年代に新楽器としてフュージョン、ロック、ジャズを中心に先端の革新的な音楽として普及したシンセサイザーも今では一般的な楽器となりましたが、レコードで聴くと一層、当時の先端の音楽家がこの楽器の無垢な音色と、自由な表現の可能性に託した情熱を思いはせないわけには行きません。レコード再生ではそのような発見が随所にありますので、最近はCDばかり聴いているという方もレコードの音を再発見されてはいかがでしょうか。

そうゆう意味では、レコードがアナログ録音で製作されていた時代、昭和や平成にリリースされた各曲はお宝の再発見があります。お客様が持参された、山崎ハコ、越路吹雪、フランク永井、矢野明子、チューリップのアルバムやシングルレコードの音に浸りながら、参加された方々とロマンチックな時間を過すことができました。

メインシステムでの変更点は電源装置の強化です。

従来からのオリジナル50A のEMCフィルターを使用した電源装置に加え、新たな電源装置(左写真)を追加しました。

仕様は1.5kVA遮蔽トランスでトロイダルコイルによる低周波フィルター回路、電力安定のためブリッジダイオード、出力は2系統×2口など随所に工夫を凝らしています。

電源の良し悪しは電気で駆動するオーディオ装置の根幹ですから、音の力感、重量感、速度感などダイナミックな部分で大きな違いが出てきます。今回の試聴でも参加者の方々も、そのダイナミックで繊細は音楽には驚かれていらっしゃいました。SPの奥に大きな空間が存在しているような立体感が増したという御感想をいただきました。以下にEMCフィルター電源装置、試聴したCDを示します。

センター試聴コーナーでは、常設のシステムをステレオ音源をモノラル化するためのモノラルトランスのオリジナル品を使用した試聴を行いました。WEに供給していたウェストレイク製の入力トランスを使用し、2系統(600Ω)×2Ch信号をモノラル信号に合成して出力するものです。本体はアルミダイキャストに収納しています。

ステレオ信号をモノラルにして両チャンネルから聴きますと、当然のことながら、音像はSPの中心に集約されますが、全体の音量感、特に低域は力強く、芯が感じられ、訴求力が増したように感じます。特にボーカルではその傾向を感じることができます。またモノラル音源ですから、スピーカーの片チャンネルからだけ、音を出しますと、スピーカーを中心に音像がよりはっきりと纏まります。ステレオ音源の良さは立体感にあるわけですから。モノラル化はオーディオの進化に逆行したものとも言えますが、モノラルのシンプルな良さも感じる試聴結果となりました。ご試聴の方からも意外な良さに興味を持っていただけました。ご要望もあり、UTC製トランスの同様な製品も製作中ですので、またの機会にご紹介したいと思います。

なお、センターでの試聴スピーカーは、お客様が持参された自作スピーカー(写真の左上の2WAYで市販品レベルのしっかりした作りと音)や常設のシステム、スピーカーで行いました。

 

次回定例試聴会は10/12(土)13-15時に開催いたします。

普段お聴きになっていらっしゃるCDやレコードがありましたが、時間の許す限り、再生しますのでお持ちください。

2024年8月の試聴会の様子と次回予定

8月度の定例試聴会を8/10に開催しました。今回はセンター試聴コーナーでは最初にYARLAND TJ845/211-S4に当店オリジナルのプリアンプART-PRE Vと組合せて聴いていただきました。前回も当店オリジナルのプリアンプと組合せましたが、今回のものは木製シャーシ製の工芸品的な外観を持ち、音は澄んで軽やかで明解で心地良い傾向になります。比較的短時間でしたが、プリを入れた場合はより繊細に情報量が増加し、細かいニュアンス、奥行き感、色彩感が豊かになる方向になります。

当店のオリジナルプリアンプは全て手作り、完全手配線で基板は一切使用せずに、選りすぐりの部品を使用しています。SPには常設のアンフィオン、JBLを使用しました。

試聴したCDは以下の写真に示します。

クラシックではバッハのブランデンブルグ協奏曲第6番などをコッホ指揮、ベルリン室内管弦楽団で聴きました。端正で構築美のあるバッハ演奏の原点とも言われる演奏で、厳粛な中にも生きる喜びや楽しさも感じられる演奏を聴くことができました。バロック時代にはフルオーケストラは無かったので、このような室内管弦楽団による演奏が一番しっくりきます。続いてお客様持参のサリナジョーンズがビートルズなどのスタンダードナンバーを歌ったSuper BestというアルバムからFeelingなどを聴きました。本曲は日本のボーカルグル―プのサーカスも取り上げて、切ない恋を歌った日本人好みの楽曲ですが、サリナジョーンズはどちらかというと爽やかな歌い方で今回のプリアンプに丁度マッチしていました。次に山下達郎がサーフィン映画Big Waveのサントラ版として全曲英語で歌った同名アルバムから同名曲や

Magic Waveを聴きました。真夏の海をテーマに自然賛歌とも言える明るいサウンドと軽快なリズムでご機嫌なアルバムですが、これもまた気持ちよく抜けの良い音であっという間に時間が過ぎてしまいました。

さらにお客様が持参された自作スピーカーでも鳴らしました。

 

なんとエンクロージャーには市販の園芸用の鉢を使用されていますが、一見するとまるで製品のようにデザイン的にも纏まりのあるものでした。ユニットは8cmのダイナオーディオ製?だったと思いますが、音も良く出ていて参加者の方々もそのアイデアと器用さに感心されていました。

後半はメイン試聴室に移りました。今回は、ミッドローのJBL30cmのスラント角の微調整やホーンの左右バランスの微調整程度の変更でしたが、リピーターの方からは以前よりもさらに良くなっているとのご感想でした。その辺の微調整が必要な点は大型オーディオシステムの課題でもあり、醍醐味でもあります。

まずアナログレコードから聴きました。お客様持参のヘレンメリルが日本のミュージシャンと共演し、当時最高のデジタル設備で録音した、Impression DuDⅡというアルバムから定番のDont Explainなどを聴きました。ヘレンメリルは大の親日派で、何度も来日して公演や録音をしていますが、本アルバムは録音が良く、彼女の独特の息遣い、ため息のビブラートなどが円熟の歌唱で聴けました。彼女が目の前で歌ってくれているような気がしてしまいます。

その他、お客様が持参された美空ひばり、サイモンとガーファンクル、門倉有希(これはCD)とアナログ録音時代の懐かしいナンバーを次々に聴きました。いつも聴いていらっしゃる音源でも、どれもが新しい発見や驚きがあったと思います。

後半は当店CDでリベンジ(?)とばかりに、当メインシステムで聴いて欲しいCDを選び聴いていただきました。

ジェニファーローレンのThe Hunterはボーカルを中心に、ストリングスや電子楽器が巧妙にアレンジされ都会的な面と牧歌的な面がミックスされたオーディオ的にも深く楽しめるサウンド構成になっています。マイルスのベルリンライブは全盛期の鋭いペットの音色とステージ感が楽しめました。最後はミスアメリカでもあったバネッサウィリアムスのアルバムのComfort Zoneを聴きました。彼女はモデルからボーカリストに転身したとは思えない美声かつ力強く、スピード感のあるナンバーもバラードも歌いこなし、タイトな演奏と相まって充実した音楽を聴かせてくれました。

最後は同アルバムのエンディングのGood-byeを聴いて散会としました(歌詞はDont say Good byeですが)。

次回は9/14(土)13-15時に開催します。当店オリジナルの真空管式フォノイコライザーが完成しまして事前に試聴していますが、大変満足いく出来栄えです。また電源装置も新規開発品を投入予定ですのでご期待ください。(下記写真ご参照)

2024年7月の試聴会の様子と次回予定

7/13(土)に7月度の定例試聴会を開催しました。

まずセンター試聴コーナーでお客様が持参された昭和30年代製とおぼしき真空管式ラジオ(ブランドはAngelで懐かしい木製ボックス入)の16cm程のスピーカーをマッキントッシュのモノラルアンプと可搬型CDプレイヤーで聴きました。モノラル再生は上手く鳴らすと雑味のない素直で自然な音でなりますが、今回も当時の音楽環境が懐かしく感じられ、素朴で優しい音楽が聴けました。特にボーカル再生が楽しめると思います。長年オーディオを楽しまれてきた方は、お持ちの古いスピーカーを現代の機器と組み合わせて楽しまれるのも一興かもしれません。かくゆう当店にも同年代のラジオやスピーカーがあるのでノスタルジックコーナーでも作ろうかと思った次第です。

面白い物を持参くださりありがとうございました。 

続いて、センター試聴コーナーでは、アンプには前回と同じ

YARLAND TJ845/211-S4(211付、写真右側)の前段に当店オリジナルのプリアンプ写真左側)を使用して、プリの有無での音の違いを聴いていただきました。

オーディオはシンプルな構成が一番、Sinple is bestと言って、良く鳴っている装置にさらに機器を直列に接続するのに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。実際にパワーアンプにボリュームが付けたような構成のプリメインアンプで十分に良い音が出るものですが、実際に別体の優れたプリアンプを前段に入れますとやはり音質、定位、解像度は確実に向上します。

最初はプリ無しで聴いていただき、すぐに切り替えてプリ有で聴きますと、音の冴え、細かい描写、定位が明確になり、参加者の方々からも、これほど良くなるとは思わなかったというコメントでした。当店でも真空管式プリアンプには拘りがあり、10機種以上をリリースしておりますので、ホームページをご参照ください。

なお、スピーカーには常設のALTEC銀箱、amphion、旧東独製などを、ソースには以下の写真のCDを使用しました。米国の女性歌手、ケヴィンラトーがスティングの作品を歌ったアルバム「Walk in your footsteps」からEvery breath you take, Message in the bottleなどを聴きました。彼女は何枚もオリジナルアルバムを発表していますが、大のスティングファンでもあるそうで、全曲スティングの作品を歌っています。しっかりした構成の楽曲揃いですが、オリジナルの良さを活かしながら、女性らしい可憐で爽やかな歌声を堪能できました。またお客様ご持参のエレキギターの名手のジョンマクラフリンのアルバム「Promise」からMJQで有名なジャンゴなどを聴きました。彼のマハビシュヌオーケストラ時代のアルバム「Fire Bird」「Inner mounting flame」などでは正に火の出るような超絶速弾きで動画でも運指が見えない速さと、その鮮烈な演奏は驚愕でしたが、本アルバムではずっとリラックスした演奏で落ち着いて聴けます。ギターもファズ系の音ではなく、エコー、リバーブを多用した大人のジャズギターが楽しめます。昔の才気は感じられませんが、オーディオ的にはむしろ楽しめるかもしれません。

 

次にメイン試聴室ではアナログレコードとCDを聴きました。

システムとしては写真のように前回と基本的の同じですが、全面のJBL30cmのボックスのスラント角の微調整をしています。ただしこれだけでも定位、ステレオ感、低域の纏りが向上しましたので、オーディオは面白いし難しくもあります。部屋の寸法、形状、反射面の吸音処理、試聴位置によっても微妙に変わりますので、そのシステム機器によって最高のパフォーマンスに調整するのは、結局は最高の測定機器である人間の聴力と経験、理論と実践、挫折と目標をもって対応するのがオーディ道ともゆうべき醍醐味でしょうか。

 

話を戻しますとアナログレコードには、「EPICURUS-TWO」という珍しい盤から、Love for sale, Blonde on the rocksなどを聴いてもらいました。本レコードは当時の日本最高の録音設備と言われたスタジオ録音で、ピアノ、ベース、ドラムス、トランペット、サックス、トロンボーンなどそれぞれの楽器も鮮烈で混濁なくダイナミックな響きで聴くことができました。鮮烈さにおいてはCD以上の音と言って良いでしょう。やはり最新のCDPでもデジタルの輻射音からは完全には逃れていないのかもしれません。なおアナログ再生では、真空管式フォノイコライザーを開発中で少し遅れていますが、秋までにはお披露目できるよう鋭意推進中です。ご期待ください。

 

CDでは以下の写真のソースを聴きました。MJQの日本ライブからジャンゴでは端正で凛々しい演奏、J-POPでは懐かしい中原めい子の「On the planet」からEverlusting love, ABCDなどの元気で小気味よくオシャレな歌声を、 米国のジャズシンガー、Holly Cole Trioの「Girl Talk」から同名曲など情熱的で切ない歌声を、クラシックでは上松美香が弾く珍しい楽器アルパの演奏でアルバム「アソリート」から同名曲で爽やかでどこか異国情緒のある演奏を、最後にジャズベースの大御所、マーカスミラーのアルバム[Tales」から数曲を聴き、エレキベースやシンセベースの迫力ある重低音とバリバリのチョッピング奏法を堪能できました。ということでメインシステムでは種々のジャンルの音楽の美味しいところを存分に味わい、皆様、お腹一杯でご満足の様子でした。

次回はメインシステムの電源を改良していますので、皆様是非聴きに来てください。

次回は8/10(土)13時からです♪

 

2024年6月の試聴会の様子と次回予定

6/8に6月度の定例試聴会を開催しました。今回はセンターでの試聴も行いましたが、今回はお客様からアナログレコードを聴きたいとのご要望がありましたので、メイン試聴室での様子をお伝えします。

現在のアナログのシステムはターンテーブルはガラード401を60Hz電源で駆動しています(100V50Hzからインバーターで60Hに変換)。アームはSMC、カートリッジはオルトフォンSPUの定番ですが、MC定番の昇圧トランスや真空管式フォノイコライザーは未導入でオーディオテクニカの普及型のイコライザーアンプを介してプリアンプに接続しています(プリ以降はデジタルソースと同じ系統)。

現在、オリジナル真空管式フォノイコライザーを鋭意製作中です。

ということで上記システムでお客様ご持参のレコードを中心に試聴しました。まずイーグルスのホテルカルフォルニアのスタジオ録音盤からタイトル曲を聴きました。CDで以前の試聴会でライブ盤を聴いていますが、スタジオ録音盤はライブの荒削りな迫力は減少しますが、やはりきっちりした定位や演奏が心地良く聴けますし、アーチストが本来表現したかった音楽の意図が判るような気がしました。CD版では低域が強調されていますが、スタジオ版が本来なのでしょう。聴き比べてみますと、ライブとスタジオの味わいの差が顕著に感じられる結果となりました。

次に、やはりお客様ご持参の山口百恵のThis is my trailというマスターサウンド版から聴きました。引退後に発表された最後のアルバムだそうで、今回はその高音質アナログ仕様のマスターサウンドで素晴らしい音質のスタジオ録音盤で数曲を聴きました。さすがの歌唱力でアップテンポの曲もあり、録音自体も当時の最高の設備のようで当時のポップスの代表的な作品ではないでしょうか。

アナログ再生の後はCD再生に移行しました。アナログはレンジの狭さは感じますが独特の中身の詰まった濃い音がしていたことに気づきます。いつものデジタル再生にしますと、ワイドレンジ、ダイナミックレンジで迫力は増しますが、何か付帯音というますか、暗騒音とまではいきませんが静寂感が乏しく聴こえるような気がします。このレベルはなかなか測定器でも測定困難な微妙な違いですが、人間の耳、または頭脳はその差異を耳と肌で感じ取るようです。真空管ではそういったデジタルの高調波や輻射音などを軽減する効果があると考えられますし、最新のCDプレイ―ヤーも様々な工夫でそれを最小限にしようと工夫を凝らしていますが、お集まりのお客様はそれ以上に音には大変敏感でいらして、皆様同様な感想を持たれたようです。やはりアナログにもまだまだ価値があることを再確認できました。

 

CDでは以下のようなお客様ご持参の「大人のジャズ」というアルバムからマイルスやコルトレーンを、ジャニスイアンの「再会、Breaking silence」とうアルバムから数曲を聴きました。前者はJazz全盛期の時代の先端を切り開く自信と信念を感じる名演を、後者は大人の女性のやらわかでしっとりした情感あふれる歌声を聴くことができました。写真を忘れましたが、カシオペアのメンバーとリーリトナーが協演したアルバムからも数曲聴きました。その中でラベルの「亡き王女へのパヴァーヌ」がありましたので、同名曲をカラヤン指揮ベルリンフィルのフルオーケストラでも聴きっ比べてみました。軽音楽の軽妙でオシャレな美しさとクラシックの瞑想的、荘厳な世界の違いが楽しめたと思います。その他、筆者の独断でロック台頭の時代のフリーの代表曲「オーライトナウ」のライブのシャープでガッツのあるサウンド、オスカーピーターソンのピアノ、ミニーリパートンの日本でもヒットしたLoving youを、アールクルーの情緒あふれるアコースティックギター、ストーンズが"大人の男を泣かせる女"と歌う「Start me up」など時間一杯まで聴きました。

 

次回は7/13(土)に開催します。センター試聴コーナーでは今回初めてのプリラインアンプも接続して聴いて頂きますのでご期待ください。

2024年5月の試聴会の様子と次回予定

5/11に5月度の試聴会を開催しました。

まず第一部ではいつもどおり センター試聴コーナーで、メインアンプはYARLAND845/211-S4(リンライ211付)で各SPで聴きました。前回は845で聴きましたが845は高域が煌びやかな光も特徴ですが211はしっとりと中域の充実感が感じられます。SPにはアンフィオンの最新スピーカー2機種Argon1(2way バスレフ)、Argon3S(2way パッシブラジエータ)(写真左右上段の白色)をメインに聴いていただきました。前者はピュアでナチュラルな中高域と豊かな低音のバランスが良い機種で、後者は小型ながら脅威の中高域表現と芳醇な低域再生のプレミアムタイプです。他には旧東独のBlaupunkt 2way,SAVA 24×14楕円、18cm、SAVA16×22楕円、RFT18+Twの2way、リファレンスとしてALTEC 612(銀箱)を順次聴きました。

CD再生にはASC-1420CD、プリにオリジナルWEレプリカ品を使用しています。 

ソースには珍しい女性トランぺッターのAlison Balsomのアルバム”Paris”からサティのジムノべティ第3番、コズマの枯葉などのフランス曲を、女性ボーカルではテレビコマーシャルでも使われたイ―ジイゴーメのタイトル曲Blame it on the bossa novaを、日本代表でCubic U(宇多田ひかる)のゴスペル調の英語曲を聴きました。またジャズではお客様が持ち寄りのヨーロッパジャズトリオのアルバム”天空のソナタ”からスカルラティのソナタなどを聴きました。                                

比較的小編成のものになりましたが、比較試聴ではそれぞれのSPの特徴がよく聴けたのではと思います。まずALTEC 612は60年代の代表的なスタジオモニターですので、広帯域と豊な音色などリファレンスとして定番ですので、大型ですが能率が良く、音楽の細かなニュアンスも伝えてくれる優等生です。次に最新設計のアンフィオンは、ブックシェルフ型とは思えない広帯域で豊かな低域、 繊細で爽やかな中高域で卓越した音色を聴かせてくれます。ただし価格も当店としては25~35万円クラスと高価な製品です。音量も十分でバランスも良いので、クラシックからジャズまで美しく音楽を楽しめます。試聴された方も、フィンランド製の最新設計の高級機種の高音質を感じられていました。

ですが、常設の旧東独製のユニットのSPはというと、個々の説明は省略しますが、現代SPほど広帯域ではありませんが、どれも中域は力強く芯のある音で、スピード感もあり誠実で虚飾のない明確な鳴り方をします。国産のスペックとルックスを追求した70、80年代の3,4wayのSPが忘れてきた温かみと深みのある音といったら言い過ぎでしょうか?特に古い録音やレコードとの相性はバッチリです。当時のテレフンケンの前身となる一流のメーカーがそのような音源で音を詰めていたユニットならではです。特に天空のソナタでは天にも昇る心地良さでした?!

続いて第二部は奥のメイン試聴室で聴いていただきました。前回との相違は、高域ホーン用のアンプを前回のYARLAND TJ-6P1Pという特性の良い6P1のPPアンプでしたら、一部の試聴者の方から、やや高域がキツイという御意見もいただきました。筆者自身もややそうゆう傾向はあるかなと感じていました。ホーンは非常に能率が良いのでアンプ出力はあまり関係ないと思いがちですが、やはり音の艶や勢い、伸びなどに微妙に関係しています。そこで今回はアンプを当店に埋蔵(?)してあった、旧型の6L6シングルアンプに交換してみました。写真の右上の銀色のアンプがそれです。また、前面に配置のJBL30cmをアンプには前回と同じMingDaのASC-1215KTですが今回はKT150を使用しています。

結果としましては、低域はリッチに、高域のキツサは程よく後退し、バランスは良くなったと思います。しかしながら、試聴者の方からは、確かにバランスは良くなったが、前の方が勢い、伸びがあったという御意見も拝聴しました。良くなったという方もいらっしゃるので、好みで選択するようですかね?オーディオは良い音楽をその方の感性で聴かれるのですから、最終的にはそれを見極めて楽しむのがオーディの醍醐味ですかね。

ソースはこちらでは、フルオーケストラなど大編成のものも含めて聴いていただきました。やはりシステムに余裕があるので、音楽が大きなスケールで聴くことができます。空間で音が響きあい、ハーモニーが溶けあい、歌手が目の前にいるように感じられたり、オーケストラホールの特等席で聴きたいといった要求を満たすには、やはりある程度の部屋の大きさと余裕をもったシステムは必要になります。普段、イヤホンやラジカセ、コンポステレオで楽しまれている方も是非一度、聴いていただきたいと思います。

 

本題に戻しますと、ここではソースには、Ton KoopmanのバッハオルガンワークスからコラールBWV645,639,565(トッカータとフーガ)を聴きました。教会オルガンは最も帯域の広い楽器で(電気楽器を除く)、厳かな重低音から煌びやかな高域、そのダイナミックな音量で、これは大きめのシステムにはもってこいのソースと思います。低音がこもらずにちゃんと音階、音色が聴けるかが肝要です。ジャズではChet Bakerのアルバム"Memoriies"からMy Funny Valentainなどを聴きました。日本でも大変人気のあったトランぺッター兼ボーカリスト。切なくも生命力にあふれた音色と、ハスキーながら明瞭で色気のある歌声は右にでるものは無いでしょう。クラシックピアノではグルダの演奏でシューベルトの”楽興の時”第3,4番を聴きました。以前はグールドも試聴いただいてましたが今回は、同様に力強いタッチのグルダを聴きました。もちろん演奏スタイルは違いますが、力つよく正確なタッチでは共通点もあると思います。

 

ピアノの強弱、音色、フットペダルの使い方など、ニュアンス豊な音楽が聴けました。オーケストラではカラヤン指揮ベルリンフィルでグリーグのペールギュントから”オーセの死”などを聴きました。荘厳で華麗なカラヤンの演奏は聴くものを誘いこむようです。日本代表で山下達郎の全曲英語のアルバム”Big Wave"から同タイトル曲を聴きました。本CDは米国版を聴きましたが、日本版を持っていらっしゃる方から、録音が違って聴こえるというコメントを頂きました。これしか持っていないので、録音相違は判りませんが、ミキシングやリバーブなどが微妙に違うのかも知れません。そういった違いをコメントされる方も相当に耳が肥えていらっしゃいます。最後に惜しくも先日亡くなられたフジコへミングのラ・カンパレラなどを聴きました。今聴いても情熱あふれる大人の演奏で感動的です。ピアノは本当に個人の音楽感と表現力が顕著に表れる楽器と思います。

長くなりました。ことさように種々のジャンルの音楽の美味しい名演奏、名唱をまた皆様と楽しみながら終了となりました。

次回は6/8です。

2024年4月の試聴会の様子と次回予定

4/13に4月度の試聴会を開催しました。

 

センター試聴コーナーでは、アンフィオンのスピーカー2機種(写真1,2)とお客様持込みの自作改造)スピーカー(写真3)をYARLAND845/211-S4(リンライ845付、写真4))で聴きました。同アンプは左右独立電源、845/211コンパチアンプですが、今回はリンライ845を使用しています。余裕のある電源、出力でほとんどのスピーカーを鳴らし切る、言い換えれば接続するスピーカーの実力、特徴を活かして駆動できる当店でも最高クラスのアンプです。CD再生には常設のASC-1420CD、プリには当店オリジナルのWEレプリカ品を使用しています。

 

1のアンフィオンARGON3S は小型ブックシェルフタイプですが、背面にパッシブラジエータを装着しており、外観からは想像を超える豊潤な低域、中高域は音の立ち上がりが良くスピード感があり、クリアで立体的な音響が得られます。フィンランド製であることを知っていると北欧の森と湖に囲まれたような気分になります(60年台の表現です)。ソースにはジョンキャンベルのジャズトリオと珍しいトリニダードトバコのジャズカルテットをメインに聴きました。前者CDでは活気とスピード感あるジャストリオの醍醐味が楽しめました。後者CDはややごついジャケット写真からは想像しにくいほど、エレガントで洗練された演奏が聴けます。特にスティールドラムの美しい響きとピアノトリオとのハーモニー、女性ボーカル(Nia Allen)をフイーチャーした3曲目"I know it's real"では繊細で切実な歌声が聴けました。2のアンフィオンARGON1もは小型ブックシェルフタイプです。前者1と同様の径傾向の音色ですが、パッシブラジエータは付かずないので、低域のボリューム感はやや後退します。しかし全体のバランスはしっかりしており、むしろ無垢で誠実な音の出方と言えます。両者ともバランスの良さと特に高域の透明感は卓越したものがあり、好評でした。お客様持込みのスピーカー3もユニットを交換されて音質向上されたとのことで、同じソースでも張りのある良い音を聴かせてくれました。持ち込まれたスタンドとの相性も良いようで、スタンドによる定位やバランスの良さが感じられました。

次にメイン試聴室に移り試聴を続けました。

スピーカーの構成は前回と同様、最低域はアルテック511B(箱はJBL4560)で、その手前にJBL30cmを配置しアンプにはMingDaのASC-1215KT(KT120)を接続して3パワーアンプとしました。前回との違いは、邪道中の邪道?とも言えますが、そのJBL30cmを反対向きに配置し、アルテック511Bと正対させたことです。結果は邪道の邪道で正道に戻ったかがポイントになりますが、低域のホール感がさらに拡大し、迫力ある低中域となりました。ただある種のソースでは効果的ですが、良く聴き込むとソースにより低域が強調されすぎ、不自然になる場合があります。これを補正しようとチャンデバのクロスやアンプ出力、ボリュームを調整を試みましたが、中域が引っ込んで高域がきつくなる傾向、も出て最終的にはまだ改善の余地があります。前回は「広がりが増して中高域も明瞭になった」との好評でしたが、反対向きにしてどうも逆噴射してしまったようです。

 その後、また向きを正して改善方向になってきておりますので次回は前回以上の音にして皆様をお待ちしております。ソースには以下のCDから聴きました。

試聴会では皆様のCDも再生する時間もおとりしますのd、また是非おこしください。

次回は5/11(土)13-15時の予定です。

 

2024年3月の試聴会の様子と次回予定

3/9に3月度の試聴会を開催しました。2月も2/10も行ったのですが、時期を逸してしまい、参加いただいた方やいつもチェックしていただいていいる方にはは申し訳ありませんでした。

3月は復活したガラード401でのレコード鑑賞をメインに行いました。アームはSME3012、カートリッジはオルトフォンSPUです。その前にスピーカーも前回から写真にありますように、ウーファーを追加し基本的には3wayとしてメインアンプも3台としました。最低域は従来のアルテック511B(箱はJBL4560)ですが、その手前にJBL30cmを配置するという荒業(邪道?)にでました。追加の30cmのアンプにはMingDaのASC-1215KT(KT120)を接続して3パワーアンプとしました。

結果はじゃーどうだったかですが、これが期待以上に低域の厚みが増して、中高域も鮮明になるという好結果が得られました。参加いただいた中で、以前も聴いていただいた方からも「広がりが増して中高域も明瞭になった」との貴重な応援コメントがあったので、まんざら自画自賛(自音持参)ではないのかなと思います。

 

ただ、やや周波数によって籠る感じもあるので、チャンネルデバイダ―によるクロス周波数の微調整は今度さらに煮詰めていく予定です。(次に続く)

 

今回はレコード再生をメインにした試聴会でしたが、やはりレコードは何と言うか中身の濃い、充実感のある音がします。再生帯域はCDに比べて狭いのですが、音に潤いが感じられます。このことは多くのオーディオ誌等で語り尽くされていますが、非常に乱暴な言い方をするならば、ハンバーグ(CD)とステーキ(レコード)と言えるのではないでしょうか?ハンバーグは挽肉で一旦バラバラにしてから固めたもので一様な味ですが、ステーキは部位によって味も違うし歯ごたえも違いますもんね。技術的にはサンプリング周波数のアップや可聴域以上の周波数も加えたSACDもありますが、やはりアナログには追い付いていないというか、別の土俵という感があります。

実は今回は、レコード再生するに当たり、常連のお客様が何と、高価なダイナベクターのアームとシュアV15Type3を持参され、道場破りならぬオーディショップ破りの勝負を受けました。写真のように一時的にダブルアーム(デュアルアーム?)になり華やかな感じです。

SPUがMCカートリッジでは定評あり、まろやかでコクがあってキレもあるとコーヒーの宣伝文句のようですが、シュアにしますと、これも鮮明、明瞭、明快でどちらかというと現代的な音と言えるかもしれません。アームによる音の違いは、良く判りませんでしたが、クイックでセットしてすぐに良い音がしましたし、隙のない音であったと思います。両者とも、お客様持参の精密なデジタル針圧計で厳密に調整したので、良い比較試聴ができました。

レコードはしばらくぶりに復活させましたが、やはり録音時の空気感まで再現しているような感覚があります。

今後もイコライザーなどを進化させていきます。

今回試聴したレコードはマイルスデービスのウォーキングで比較試聴しました。CDは以下の写真をご覧ください。

次回は4/13(土)13-15PMに開催します。お誘い合わせの上、お越しください。

 

2024年1月の試聴会の様子と次回予定

コロナでしばらく試聴会を差し控えていましたが、昨年後半から再開しています。本年最初の試聴会を1/13に開催しましたので、その様子をお伝えします。

 

第一部はセンター試聴コーナーで、当店オリジナルの6L6アンプでまず聴いて頂きました。小出力アンプですが、トランス、コンデンサー等にビンテージ品を使用しており、端正できめ細かい音が特徴です。組合せたのはフィンランド製のAmphion(アンフィオン)の小型2機種(写真の白色)で爽やか、澄み切った中高音が特徴です。低域も音量は限られますが、大変丁寧な音作りでバランスは良く、ジャス、ボーカル、ポップスとも心地良く聴けました。小音量でも艶があるとご好評でした。

 

次にアンプをASC-845J(Linited)に変更して聴きました。本アンプは好評機種でしたが、現在は絶版になっています。今回、当店保有機のボリュームを東京高音に(リモコン機構は削除)、内部もコンデンサー、抵抗、配線類を高品質のものにしてブラッシュアップしたものです。オリジナル品よりも定位、安定感が増し、音の輪郭も明確になった印象です。通販はしていませんが、店内ご試聴等はできます。

第2部はメイン試聴室に移動して、ウーファーを強化したシステムで聴いていただきました。従来はウーファーは定評あるアルテック515B(38cm)をASC-845Jで駆動していましたが、試験的に同じアルテック30cmフルレンジを国産ボックスに追設し、並列で接続しています。異種SPを並列接続は邪道といえば邪道ですが、試験的ですのでご容赦ください。結果は、じゃーどうだったのか(笑)というと当然のことながら低域のボリュームアップに効果がありました。ただし一聴良いのですが、種々のソースを聴くと一定の周波数で強くなるなど気になる点もあります。並列の弊害でしょうか?その点は改良予知ありです。

試聴ソースですが、バッハのオルガン曲(BWV645)では重低音、中高域のオルガンの音色、ホール(教会)トーンの響きなどが明確に感じられました。ただ重低音(20~30Hz)がまだ不足気味で中高域に負けてるのではとのコメントが参加された方から頂きました。この点については次回までに解決しておきます。

 

ピアノ曲では、フジコへミングのラ・カンパレラ、グレングールドのバッハBWV974を聴きました。前者は情熱的でダイナミック、後者は力強く、端正な演奏が聴けました。ピアノは響板の多様で複雑な和音成分やタッチの強弱のニュアンス、残響音など、再生が難しく相手に不足のない楽器ですが、ピアノのリアルな大きさとリアルな感じは改善されています。

 

ボーカルでは、マリアカラスの歌劇、喋喋夫人からの「可愛がってくださいね」、フェルッチェタリアビーノ(テノール)の「オーソレミオ」の他、お客様ご持参のケイコリーの「So Beautiful」、グラシャススサーナなどを聴きました。ボーカルは前に出てステージの中央で歌っているようにリアルに聴こえるとのコメントを頂きました。名歌手の行き届いた発声、息遣い、ニュアンスが聴き取れると聴きごたえがあります。

 

クラシックではバッハの「ブランデンブルグ協奏曲」をヘルムートコッホ指揮、ベルリン室内管弦楽団で聴きました。厚みある重厚で端正でノーブルな演奏が聴けました。続いて「G線上のアリア」を富田勲のシンセサイザー多重録音とロンドンフィル・ストコフスキー指揮で聴きました。前者は淀みない純粋無垢で、眼前に静かな湖、上には宇宙が広がり引きこまれるような神秘的な雰囲気になります。後者は実世界のリアルで重厚で華麗で人間的な感性での美しさが感じられ、比較すると大変面白いです。

 

ジャズ・ロック系では、お客様ご持参のイーグルスのホテルカルフォルニア(ライブ)、ジェフベックのハンマーヘッドを聴きました。前者は特に低域のバスドラの響きを強調したライブ感満点の録音で、お客様も特に低域20Hzまでの再生に拘っていらっしゃるようです。当店は35Hz程度がやっとですから、お客様の方が低域は出していらっしゃるようです。当店もバランスを保ちながら負けないようにしたいと思います。後者は試聴会の定番ですが、エレキギターの冴えと絶妙なビブラートに加え、オーケストラやシンセサイザーを用いた匠な音作りで、オーディオチェックに最適でです。皆様のシステムも一番聴きたい音楽を満足してお腹一杯聴けるようにするのが一番と思います(当然ですね)。

次回は2/10(土)13:00~開催します。長らく休眠中であったガラード405+SPU(MCカートリッジ)によるレコード再生も予定しています。上述の低域改善も進めておきます。お好きなCDをお持ちになってお越しください。        

 

2月の試聴会の様子と次回予定

2月の試聴会を2/8(土)に行いました。今回はセンター試聴コーナーで3極管シングルアンプのミンダのASC-845JとヤーランドのTJ300/2A3-S2のアンプの2台をパワーアンプとして使い、当店オリジナルのART-PRE(真空管式プリアンプ)の新シリーズのMARINE WAVE V(整流管式)試作機と組合せて聴きました。ASC-845Jは大型3極管845、TJ300/2A3-S2は300Bと2A3のコンパチ機ですが今回は300Bで、CDPはj常設のASC-1420CD、SPは主にALTEC612(通称「銀箱」)です。ソースにはフュージョンの先駆者のデオダートのデビューアルバムからボサノバを数曲、グラムフォンのベスト盤からブラームス番第3楽章など、ジャズではお客様持参のオーディオファンズオンリーから数曲、ジャズピアノでは山下洋介のSentimentalからアグレッシブな演奏. その他アンドレ=シェフスキーのピアノでバッハのパルティータ2番などを聴きました。まずASC-845Jですが当店のメインシステムの常設機でもありオールマイティは性格の実力機で最初はプリ無しでも十分にダイナミックでフラットな音ですが、プリを介しますとその長所がさらに伸びるといった印象で、端正かつ力強さ、繊細さに磨きがかかります。オーケストラの雄大さからピアノの繊細さもリアルになります。プリの有無を比較試聴しますと一聴瞭然?でお客様にもこの違いを感じて頂けました。実際に一度プリを介した音を聴いてしまうと戻すのは心苦しさを感じますが比較試聴ですから仕方ありません。次にパワーアンプ側をTJ300/2A3-S2に切り替え、やはりプリ有無で比較しました。本機も左右独立電源や大型トランスで845よりは低出力の300Bですが銀箱は能率の良いSPでもあり力不足は感じませんし、弦楽器の艶や伸び、芳醇な表現力に特徴があります。プリを介しますとさらに力強さが増して音の密度が上がるイメージで音楽がより滑らかに弾んで聴こえてきます。ジャズでもシンバルの音などが鮮明になります。全体的にはASC-845Jはパワーもありフラットで音のコントラストが自然で、一方のTJ300/2A3-S2は音の艶や伸び、芳醇さに特徴がある傾向と言えます。また今回のプリは整流管に6X5を採用しB電源トランスとヒータートランスを独立させ、増幅管にはWE417Aを奢っていますので、比較的小型でシンプルな構成ながらWE系の音作りが特徴です。近日発売予定ですのでご興味ある方はお問合せください。ご試聴もできます(事前予約要)。<下に続く>

後半はメイン試聴室で聴いていただきました。システムの変更点はホーン上のスーパーツィータ―のレベル調整を詰めたところです。ただし不思議な現象として当初はレベルが強すぎると感じ順次抵抗値を増やし聴感上、自然に聴こえるレベルに詰めていきましたが、ホーンとウーファーを切り単体にすると全く音がしていません。しかし試聴を繰り返しますとやはりある方が定位や全体の音の張りが改善します。スペック上は可聴範囲以上の40kHz程度まででますので20kHz以上の音が全体に影響していると考えられます。

これまで定番のJBL075など何種類かのツィータを試してきましたが一番自然に纏まったと思います。これは今回ご参加の皆様の中のリピーターの方からも異口同音に前回より自然に聴こえるという嬉しいご感想をいただきましたのでプラシーボ効果ではないと思います(笑)。

ソースには前述と同じもので選曲を多少替えて聴きましたが、大型システムの特徴の余裕と余韻のある音場やスケール感が加わるため音楽に浸るという感覚になります。温泉浴ならぬ音泉浴?でしょうか(笑)。「百聞は一聴にしかず」でしょうか。

次回は3/14(土)13:00-15:30を予定していますがコロナ肺炎の影響大の場合は延期する可能性があります。

その際は事前にイベント欄に掲示しますのでご注意ください。

 

内容は今回ご紹介しましたオリジナルプリアンプART- PRE の整流管方式のMARINE WAVE-V(写真下側)、およびダイオード整流式MARINE-WAVE-D(写真上側)の比較試聴、パワー側アンプにはTJ300/2A3-S2を300Bから2A3に差替えて聴いて頂く予定です。

 

真空管アンプってどうゆう音がするの?普通のトランジスタアンプとどう違うの?という方から、鋭い聴感と拘りでオーディオ道を歩まれてきているベテランの方までご興味ある方のお越しをお待ちしております。なお「試聴会」はいかついイメージがあるというコメントもありましたが、楽しく音楽を聴く雰囲気でやっていますのでお気軽にお越しください。随時のご試聴も承っております(2時間程度、不定休のため事前ご連絡ください)

 

令和2年1月の試聴会の様子と次回予定

令和2年初の試聴会を1/11に開催いたしました。センター試聴コーナーではヤーランドのTJ845/211-S2(211付)とミンダのASC-845J(845)の豪華競演(共演¿or協演)としました。またプリアンプには写真の奥の緑色のオリジナル(WE141プリアンプのレプリカ機)を使用しました。SPにはアルテック銀箱を主体に聴きました。ソースにはカブリエラ=アンダースのWantingというアルバムからイパネマの娘などの爽やかで小粋な歌声、ロックではクリス=レアのThe Blue Cafeというアルバムからタイトル曲など渋いボーカルと厚みのあるエレキギター、、ケニー=バロンのピアノトリオ、ウィントン=マリサリスの正統派ジャズトランペットを聴きました。まずASC-845Jは当店の定番商品でメイン試聴室ではウーファードライブにも使用している優秀機。今回は前述のWE141レプリカのプリを介していますので一層音色が濃く、音の階調も豊に再生され、どの音楽も芳醇で力強く、かつ繊細な響きです。次にプリはそのままでヤーランドのTJ845/211-S2(211付)で聴きますと、音の艶、コクといった要素が増してさらに芳醇な音色に聴こえました。これは845と211のキャラクターの違いもありますが、後者は左右独立電源など構成、物量的に上回っていますのでその分、濃厚な音色といった違いがあります。ただし前者のミンダも諧調の自然さやストレートで均整の整ったフレッシュな点では勝ると感じられたというお客様もいらっしゃり、やはり豪華競演ならではの結果と言えるでしょう。ワインで言えばビンテージとボージョレヌーボー?どちらかというとヤーランドはよりクラシック向き、ミンダはオールマイティなジャンルに向いているようです。このあとリクエストがあり上述のオリジナルプリ(WE141レプリカで真空管は本来は347ですが6J7を使用、OPTにはWE、電源・チョークはUTC等で本物に肉薄しています)の効果もありますので一度外しても聴きました。実はこのプリを介すと格段に音楽の品位と言いますか、文化の香りとも言うべき味が出てきます。例えばクリス=レアは渋いボーカルが有名ですがこんなにギターが上手だったのか、各弦のバランスやアップ、ダウンストロークや和音が良く聞き取れ小気味よく決まります。外しますと結果はやはり色彩感や解像度が一段下がるイメージですが聴き比べて初めてわかるレベルとも言えます。ただしこの差が音楽の機微、ニュアンスを楽しむ上では大きいとも言えますからプリの存在はやはり有為と言わざるを得ません。このプリも当面は店頭で試聴できますのでご興味ある方は是非聴いてみてください、一台限りで価格応談とさせていただきます。

(次に続く)

次にいつものようにメイン試聴室に移動して聴いていただきました。今回のシステムの変更点はオリジナルのプリアンプ(詳細は前月号などご参照]の出力段を若干調整し低域をやや締めたこと、ホーンの上にスーパーツィータを加えたこと。前者はソースの信号レベルが大の時にやや暴れる傾向があったため改善、後者はこれまでJBL075など定番のッィータを加えてはいましたがいずれも主張が強すぎる傾向でした。レベルを絞っても音色が合わないのか不自然でしたが今回はリボンツィータが良かったのかうまくマッチして違和感なく自然で定位や音の張りが向上しています。ソースにはスティングのアルバムSacred LoveとMy Funny Valentineから多様なボーカルと凝った楽曲構成と見事な録音、山下達郎のOn the street corner 1の一人多重録音の圧巻のアカペラ、アルバムBest Vicesからシックは女性ボーカル、べーム指揮ウィーンフィルでブラームスの3番第3楽章の華麗で荘厳な響きなどを聴きました。これまでもホーンで高域は十分出ていて、リボンツィータ―は耳を近づけても聞こえないほどに絞っていますが、それでも全域の音感や定位では明らかに自然に聴こえリラックスして聴くことができるとのご感想でした。恐らく20kHz以上(原理的には80kHz位まで出るそう)で可聴範囲を超えて音としては認識できなくても定位感や自然さとして肌で感じて頭では感知しているのでしょうか?実はツィータのレベルについてはその後も抵抗値をいろいろ変えて実験しているのですが奇妙な現象も生じてましてこの話は次回に。ソースの最後にはブラジルのフュージョンのパイオニア、デオダートの2ndアルバムから数曲。天才的アレンジで魔法のような音の構成、楽器の使い方など録音の良し悪しよりアイデア溢れるメリーゴーランドのような世界に酔ってしまいそう、参加の皆様にも居場所を忘れるほどのインパクトがあったと思います。

次回は2/8(土)13~15:30。上述のツィータ―の後日談とさらなる改善結果、アンプはヤーランドのTJ300/2A3-S2(300B)などを予定しております。また皆様お誘い合わせの上、お越しください。

12月の試聴会の様子と次回予定

2019年最後の試聴会を12/14に開催しました。今回はリピーターの方や遠くからご参加の方からもメールを含め貴重なご感想も頂きましたので随所に引用させて頂いています。まずセンター試聴コーナーで人気上昇中のYARLANDの大型アンプのAUKLET-150J-3(写真左側)とTJ845/211-S2(写真右側)の2機種を聴きました。前者はKT系など数10種種類の出力管と差替えて聴ける究極ののコンパチアンプで今回はKT150で、後者のTJ845/211-S2も大型送信管845と211にコンパチ機で今回は211で聴きました。

ソースはブラームスの1番第1楽章、ドヴォルザークの8番第3楽章、ヘンデルの王宮の花火の音楽の第4曲「歓喜」、お客様持参のスティングの「The journey and the labyrinth」からボーカルとリュートのデュオ、ゴンサロルバルカバの「suite 4y20」からピアノ曲を数曲聴きました。

前者アンプですがKT系は力強さなどに定評がありますがプッシュプルでは中高域に艶と伸びやかさが加わり左右独立電源や手巻きトランスで絶妙なバランスと素晴らしい音質でクラシックを含めオールマイティな再生能力となります。 スピーカー(以下SP)は常設のアルテック銀箱、タンノイのイートン、JBLモニター、そして60年代の旧東独製を切替えて聴きましたがそれらのポテンシャルを遺憾なく発揮し鳴らしきる実力があります。アルテック銀箱は高能率で良く鳴るのは当然ですが、東独SAVAフルレンジやテレフンケン2WAYからも今まで聴いたことのない雄大なシンフォニーが聴こえてきます。参加の方からは「音、作りとも立派でこれまでの真空管アンプの自分の常識を超えていてる」とコメントを頂きました。また最新の高出力真空管アンプで古いSPの組合せとなりましたが「ビンテージSPはアンプ回路と同様、オリジナルへのリスペクトと共にその時代の音があり、その音を知っている人には何にも替え難い音、さらに今時の低インピーダンスSPでも聴いてみたい」との貴重なコメントも頂きました。まだ慣らし運転中で実力発揮もこれからで日に日に良くなっていますのでドライブ能力を活かす意味でまたの機会に試してみたいと思います

次に後者のTJ845/211-S2を大型送信管211で聴いていただきました。845とコンパチ機で差替え時は上面のスイッチを切替えて行います。シングルアンプですが出力も十分あり、ビンテージSPとの相性も良く、参加の方からも「およ!?っと思う魅力がある」と好評でした。211/845とも本来は送信管で1000V1/845とも1000V近いプレート電圧を加えないの実力が発揮されない傾向ですが本機はしっかり加えているようで、安価な500V程度のただ鳴っているものよりはるかに魅力的な音色と深みが感じられます。「ちゃんと送信管の特性を活かした使い方をしているのでしょう」というマニアックなコメントも頂きました。またビンテージSPについては「楕円SP,当時の家具調のシステムや大型ラジオに多かった記憶ですが、今回拝聴した後方開放の東独楕円SP(テレフンケン、SAVA)は聴きやすく長しっぱなしの音楽にちょっと欲しくなる音でした。上から下まで出しきるSPも必要ですが普段のBGMにはこんなSPがピッタリで昔の音とは程遠い音にビックリしました」とわが意を得たりのコメントも頂きました。なおこれらのSPは店頭では販売もしておりますなお今回の両アンプともモデルチェンジ間近の在庫限定品ですのでご興味ある方はお早目に。プリアンプには写真の奥側のオリジナルプリアンプを使用しました。417真空管を採用した新開発の試作機で左右独立ボリュームと大型電圧計、ブルー側板を配したコンパクトな構成、ダイレクト感のある切れの良い音で、ART-PRE WAVEシリーズとして発売予定です。ご期待ください。(下の続く) 

続いて奥のメイン試聴室で聴きました。今回の変更点はDACに常設のコンサートマスターDAC-9に替えてAPOGEE DA1000E-20という当時のプロスタジオで使用されていたもので聴いて頂きました。

その他のシステムは変更なしてす(MingDa 500CD, オリジナルART-PRE Wave試作機、ASC-845J+オリジナルアンプ、アルテック513C、JBL375他)。ソースには前出のものに加えてヨーヨーマのチェロ曲、ベルリンフィルでプロコフィエフの「ピーターと狼」、12月にちなんでフルトベングラーでベートーベンの第9「合唱」、男性ボーカルではスティングを数曲聴きました。APOGEEのDACでは解像度が上がり中域が際立って鮮明に聴こえます。ただし立体感という点では参加の方からも音が中央に寄って違和感があるというコメントも頂きました。実は本DACはスタジオで採用されていたらしくモノラル盤をステレオ装置で再生すると良くなる効果、すなわちある帯域(1000Hz以上?)はモノラル合成機能があるらしく、現に上述のモノラル盤の「合唱」ではフルトベングラーの情熱的な演奏が大いに聴き取れました。反面ステレオ録音盤ではやや違和感が生じるようでした。そこで常設のDAC9に戻しますとステレオ盤も自然に感じられました。DAC変更では音源が変わりますから自然な再生音を得るためにはその都度、クロスやゲインを微調整して合わせ込むのに時間が必要になります。今回のDACは常設からの変更でやや実験的な試みとなりましたが、モノラルの貴重な音源をステレオ装置で再生するのに拘りのある方には参考になっていれば幸いです。全体的には今回初めて参加された方からも「ホーンのマルチアンプ方式の良さが判り、独自のウーファー、ホーン、アンプの組合せで自然な音に合わせ込まれていると感心しました」というお褒めの言葉も頂きました。

次回は2020年1月11日(土)13:00-15:30(今年も参加費500円、コーヒー付)で開催します。

メインシステムでは40kHzまで出るリボンツィータ―を追加し定位向上を図っております。

また本年も皆様のご参加と音楽談義、オーディオ談義を楽しみにしております。

 

11月の試聴会の様子と次回予定

11月度の定例試聴会を11/9(土)に開催いたしました。今回はまずセンター試聴コーナーでは当店オリジナルのプリメインアンプ(6Y6シングル)を中心に聴いていただきました。ソースには写真のクラシックのオムニバスから数曲、お客様ご持参のマルウォルドン、エディフィギンスのジャズピアノ・女性ボーカルなどを聴きました。6Y6アンプは出力こそ小さいですが電源トランス、チョークコイル、回路構成など本格派で清廉で豊かな響きで鳴ってくれます。大音量でのスケール感はでませんが中音量でのオーケストラ、ピアノの響きや音色も豊に響きます。スピーカーは能率の良いものとの組合せが良く、一般ご家庭で能率の良いスピーカーと組み合わせるとしっくりきます(商品一覧には掲載していませんがご興味ある方はお問合せください)。当店の例ではアルテックの銀箱、テレフンケンやSABAのフルレンジとの組み合わせが良かったです。一方、能率の点で不利なJBL2Wayなどでは音質、音量とも本領発揮できません。最近の小型ボックスや縦型で2,3Wayで低能率のスピーカーとは相性悪いでしょう。この点は小出力の真空管アンプとスピーカーとの相性を考える上で留意点です。プリアンプ(MC-7R)を加えますとゲインがあがり音量、音質も向上しました。プリアンプは微細な信号を扱い、音楽の最終的なニュアンスを決定づけますので、ご自身の趣向とシステムとを吟味して納得いくものを選定されるのが賢明です。CDプレイヤーには常設のASC-1420CDを使用していますが、アナログ出力には真空管とオペアンプの2系統あり音の違いが楽しめます。後日判明しましたが今回は接続で左右を間違い本領発揮していなかったことをお詫び申し上げます。次回は完璧な状態で臨みます。(以下に続きます)

 

後半はメイン試聴室で聴いていただきました。今回はシステム的には変更点はありませんが、お客様のアドバイスもありホーンの角度をやや外振りに修正しています。僅かな修正ですがやや音の広がり、立体感が増したようにも思います。スピーカーのセッティングは重要ですのでいろいろと試してみる価値大有りです。プリアンプは前回も好評でしたオリジナル機(仮称ART-PRE WAVE1、6J5ドライブ27, WEチョーク、整流管3B24×2本構成)が続投。ソースには前述のものに加え、お客様ご持参の高橋悠治のサティのピアノ曲集、矢沢栄吉の最新版、その他はクライバー指揮ベートーベン7番、ジャズではアートブレイキーとジャズメッセンジャーズの危険な関係のブルース、スティングのボーカル、YESのTALKなどから聴きました。どのジャンルでもその音楽の良さや意図が色濃く(音色濃く?)再現され皆様にも大変好評でした。いつもですがセンター試聴コーナーでも良いと思われてもメイン試聴室では奥行き感など音の広がり、響きが変わり微細な変化もダイナミックに再生されるので音楽として聴いている部分が自然に移り違った音楽の様に聴こえます。これが音楽の深い所で、YESの様な電子楽器が主体であっても音色の変化やエコーの懸け方、残響音の処理、音の重ね方などの機微が再現されます。アコースティック音源ならなおさらです。お客様ご持参の音源もここで聴くと印象が変わるので驚かれます。冗談半分と思いますが「これは自宅では無理だから時々ここに聴きにくれば良いや」と言われます。試聴室は真空管アンプでの音楽の楽しみの一部を伝える目的ですので、ご自身の音楽を楽しむ感性と情熱、審美眼(審音耳?)でご満足がいくシステムをご自宅で構築されることが一番だと思います。それぞれに心地よいと感じる音楽は違いますしご自宅の環境によっても変わります。大切な音楽鑑賞のご趣味をカタログや雑誌の評論家のコメントを頼りに集めていたのでは収拾つかず音楽の森に迷いこんでしまうかもしれません。ご自身の感性を大切に。試聴中の写真を撮り忘れましたので、そして誰もいなくなった祭りの後の状態の写真ですが掲載しておきます。

次回は本年最後になりますが12月14日(土)13:00~15:30の予定で、YARLANDの845/211シングルのコンパチアンプなどを聴いて頂く予定です。皆様のお越しをおまちしております。

10月の試聴会の様子と次回予定

10/12(土)に10月度の試聴会を開催しました。今回はメイン試聴室で新オリジナルプリアンプの試作機(仮称ART-PRE WAVE)を中心に試聴していただきました。本プリアンプは6J5ドライブ27, WEグリッドチョーク、WEプレートチョーク、高圧用半波整流管3B24を2本使用しバランス入力2系統など本格派で、切れ味良く芳醇な音色と響きが特徴です。トリタン球特有にまばゆいフィラメントの如く、音色も華やかに整い、音も前に出てきて立体感も良くでます。ソースにはお客様ご持参のハイディング指揮の火の鳥では重厚かつインパクトのある演奏、フルトベングラー指揮の第九、運命では古い録音(後者はモノラル)ながら重厚で鬼気迫る情熱的な演奏が堪能できました。ポップスでは米倉利紀、MAYAのボーカルが眼前に展開され、アコースティックギターの定番のクラプトンのアンプラグドではギターの弦を弾く感覚が生々しく聴けました。ピアノではキースジャレットのケルンコンサートの冒頭5分位を聴きましたが、定評ある名録音とはいえ美しく崇高なまでに研ぎ澄まされた響き、一転して山下達郎のポケットミュージックでは種々の音が見事に調和した音楽と録音の冴えを十分に楽しめました。リピーターの方からも以前より音の反応が速くライブ感があると大変好評でした。CDやデジタル音源全盛の現在はプリアンプ無しでもそれなりに良い音はでますが、良いプリアンプを介しますと音の纏まり、揃い方、勢いと言った部分がより音楽的な響きになります。以前にも書きましたが極端な言い方をすればプリの無い場合はオーケストラなら指揮者のいない全体自主練習、プリを介す場合は指揮者がいる本番演奏といった感じでしょうか。ただ本機は発熱大のため冷却ファンを内臓しており風速は2段階に切替可能ですが近くですとシャーという音がします。気になるようでしたら前面を板などで簡単に遮へいすればかなり改善されます。本機は試作機ですが好評でしたので商品化を予定しています。ご期待ください。(下に続く)

後半は予定していましたSACDとCDの聴き比べもしながら進めました。SACDは音が良いというのでお客様も持参されることがあります。今回はSACD/CDのハイブリッド版で同じ録音を両者で聴き比べましたが、プレイヤーはメイン試聴室ではオンキョーC-S5VL、センター試聴機オーナーではパイオニアDV-S74Aという普及機を使用しました。センター試聴室ではプリアンプにはミンダのMC-7R(ただし整流管はエレクトロハーモニックス5U4Gに交換)、パワーアンプにはミンダASC-1215KT(KT120)を使用。ソースにはカルロス=クライバー指揮ブラームス4番のライブ録音盤、浪速ジャズと言われるAYADO CHIEなどを聴きました。SACDでは全体的に滑らかになり、低域から高域まで帯域が伸びて聴きやすい印象になりますがやや作為的にも感じます。一方のCDでは力強さや音楽の一体感、塊感や自然なニュアンスは感じられます。SACDでもCDでも録音現場やミキシングなどの後処理に人為的な操作が入りますし、今回使用した機器も限られた条件になりますがSACDの方がオーディオ的に良く聴こえるように工夫されていますが、CD音源でも再生機器を吟味すれば十分楽しめるという都合の良い(笑)結論にここではしておきます。最後にはカルロス=サンタナの「サルバトールにブルースを」のワウワウペダルを駆使したカデンツア的な入魂の演奏を聴いてサラバとなりました(笑)。次回試聴会は今週末11/9(土)13:00-ですので皆様のお越しをお待ちしております。

9月の試聴会の様子と次回予定

9/14(土)に月例試聴会を開催しました。今回はブログアップが遅くなりすみません。いつものようにまずセンター試聴室から始めました。今回はパワーアンプにMingDaのASC-1215KT(KT120付)、プリには①MingDaのMC-7R、常設のオリジナルの②WE717Aアンプと③プリ無しの3通りで比較試聴しました。SPはタンノイEATONとしてソフトにはジャシンタ、ジェームス・テイラー、お客様ご持参の「すばらしいいコントラバスの世界」、山下達郎のアカペラ多重録音盤などを聴きました。まず③プリ無しでCDPから上記パワーアンプに直結し(注:本機はボリューム付で音量調整できます)聴きました。これだけ聞けば十分に良い音で鳴ってくれます。KT120はシングルですがパワーもあり本SPでは音量も十分です。次に①プリを介しますと俄然音の張りが出てきます。開梱したばかりで慣らし運転ですが全体に音場が広がり雄大さが加わりややまろやかになりました(注:数日後にはさらに良くなり、その後いらした参加されたお客様も確かに良くなったとコメントいただきました。プリは非常に微細な信号を扱いますので、電源や配線の取り回しなど少しのことが音の変化になって現れます)。さて最後に②プリを介して聴きました。さすがWE717A球を使っていますので小型ながら音に芯が出て全体に引き締まった豊かな響きになります。皆様にもその差異とプリの効果を再認識して頂けたと思います。当店の商品を含め真空管パワーアンプではCD直結でも良い音ですが、本来はインピーダンスマッチングの観点からもプリを介しますと全体に音がまとまり、小型・中型SPでは低域も締まって出てきます。以前にも書きましたがオーケストラで言えば指揮者のいない全員練習と、指揮者がいる本番演奏の違いといった感じでしょうか?真空管アンプをお持ちでさらなるステップアップを検討するならプリ導入が有効です。真空管グレードアップの効果も大きいです(ジャンプアップになるかも)。

今回はお客様ご持参の小型SP(マークオーディオ8cmフルレンジ)でも鳴らしまた(写真の白木のSP)。バスレフとバックロードの良いとこ取りの工夫をして自作されたとのことで、全域フラットな印象で小口径ながら低域の音量も十分に出ていてコントラバスも良く再現されボーカルも良かったです。ボーカルが良いと一般に長時間聴いても自然で聴き疲れがなくバランスが良い様です。

次にメイン試聴室で聴いていただきました。SPシステムはホーン(JBL375ドライバー+2397ホーン)とウーファー(JBL4560エンクロージャー+ALTEC515Bウーファー)の2Wayでクラシック、ボーカル、ジャズ、ロックなどジャンルをわず聴きやすく、かつ迫力ある音を標榜しています。立体感、奥行き感ある音楽に聴き入っていただきました。やはり大型SPと真空管アンプならではで演奏者のニュアンスや熱気まで感じられ音楽が何倍も楽しめます。

次回は台風接近により一週間延期し10/19(土)13:00~15:45に開催します。新オリジナルプリ(6J5ドライブ27, WEグリッドチョーク、プレートチョーク、高圧用半波整流管3B24を2本使用など本格的な構成)で切れ味良く芳醇な音色と響きをお楽しみいただく予定です(最後の写真ご参照)。またご要望によりSACDでの試聴も予定しています。

今週末ですが皆様のお越しをお待ちしております。

8月の試聴会の様子と次回予定

本日(8/10)、8月の定例試聴会を開催しました。猛暑の中、お越しいただいた方々、ありがとうございました。

今回もまずはセンター試聴コーナーから始めました。今回からCDPを従来のマランツのCDP630からコンサートマスターのASC-1420CDに変更しています。マランツも元祖フィリップスのピックアップを採用したプロ用録再機能付り定評のあるものですがASC-1420CDの方が芯のある素直で純朴な音になりました。CDPは極力色付けの少ないものがシステムとして纏まります。リピーターの方からも低域も安定してずっと聴きやすくなったと好評でした。

試聴ソースにはお客様持参のものを中心に、女性ボーカルではシャーディーのLove Delux からNo Ordinary Loveなど、ジャズではアートブレイキーとジャズメッセンジャーズのMornin, 自然賛美的なピアノのジョージ ウィンストンのAutumn、ジャズピアノではキースジャレットのThe Melody at night with you、スティーブキューントリオのLove Walked Inから数曲、男性ボーカルではハリーベラフォンテのダニーボーイを聴きました。

アンプは①Ming-DaのASC-902B(KT90シングルアンプ)、②同ASC-300BTC(300Bシングルトランス結合アンプ)、③YARLANDのTJ84-P(EL84プッシュプルアンプ)、④Concert MasterのMC-13S(6CA7プッシュプルアンプ)の4機種、スピーカーはテレフンケンの2Way(店頭販売中)とJBL4408Aの2機種を中心に聴きました。全ての組合せは時間の都合でできませんが、それでも①はKT90の特徴の太くて力強くかつ艶のある音の傾向、②は3極管300B特有の優美さと奥深さ繊細さが味わえ、③は小型ながら清楚で纏まりの良い音、④はプッシュプルらしいハイパワーかつ中域の艶と弦楽器の美しさが印象的という傾向は皆さん感じ取っていただけたと思います。スピーカーについてはテレフンケン2Wayはスピード感、応答の良さと繊細さを持ち、JBL4408Aはモニター機らしいカッチリとした手堅く元気の良い音で、それぞれの特徴が良く発揮されています。

皆さん色々なジャンルの音楽がお好きとのことですが、組合せによって再生される音楽の印象はかなり変わります。是非ご趣味にあった音の傾向、組合せを発見していただきたいと思います。近所への買い物に高価なスーパーカーは不要ですが、楽しいドライブに最適な車を見つける様なイメージでしょうか。カタログの文面やオーディオ評論家の記事を参考にして予算の範囲で高価な機種を揃えていってもご自身の求める音、満足いく音には到達しにくいでしょう。オーディオ機器はスペックや価格よりご自身の感性が大切です。趣味性の高いものですからその探求プロセスも楽しみながらアプローチするのが一番だと思います。

(下に続きがあります)

 

後半はいつもの様に奥のメイン試聴室に移動して聴いていただきました。センターとの違いは音楽のスケールが実物大に感じられることです。これは単に音量という意味ではなく、各楽器の音色、強弱、余韻、声の息遣いやハーモニーなど音楽性に関わる要素の全てに関係している違いです。これらがバランス良く再生できていればあまり音楽のジャンルを問わず楽しめます。

ソースには前述のアートブレイキーのMorninの比較試聴を皮切りに始めました。同じソースでも細かい部分や陰影が表現されるため違った音楽に聴こえてきます。続いてお客様ご持参のホロビッツ晩年のLive In Moscowから才気と技術が見事に調和した円熟の演奏、昭和のジャズから雪村いずみ・広田美枝子・美空ひばりの懐かしくも凛々しい歌声などを聴きました。ただ再生能力が高まると当時の録音技術の限界も露呈しますがそれは仕方のないことです。音源を100%楽しめていると考えましょう。お客様のソースが一段落したので当方の独断でハードロックでレッドゼッペリンのGood times Bad timesのワイルドでエッジの立った迫力ある演奏とボーカル、フュージョン系ではデビィットサンボーンのInsideからうねるエレキベースとサックスの絡み、キースジャレットのケルンコンサートのホールトーンが美しい冒頭部分、クラシックではオーケストラ版の展覧会の絵の管楽器と弦楽器が織り重なる冒頭部分、ビバルティの四季の春の小鳥のさえずりを思わせる明るい冒頭部分、そして最後はクリスボッティの傑作アルバムLive in Boston からTime to say Goodbyで終演としましたが、期せずしてお客様から拍手が起こりました。初めて参加されたお客様からは「真空管アンプは良く知らなかったのでもっと小型で骨董品、アンティックの様なノスタルジックなものかと考えていたが実際は全く違い、トランジスターアンプとも違い迫力ある良い音で感動した、良い体験をした」と嬉しい感想をいただきました。真空管オーディオの世界にようこそ!

次回は9月14日(土)13:00~15:30の予定ですので皆様お誘い合わせの上ご参加ください。

7月の試聴会と次回予定

7月13日に定期試聴会を開催しました。今回はまずセンターで当店の旧ドイツ製、英国製、米国勢スピーカーとアンプにはASC-902B(KT-90シングルアンプ)、ASC-300BTC(300Bトランス結合アンプ)を組合せて聴いていただきました。ソースには今回はお客様持参のもので五木ひろしBEST SELECTIONから人間味あふれる歌謡曲、ヨーヨーマ Plays Japanから麗しい音色のチェロで日本の調べ、JIMSAKUでは日本のヒュージョンらしいシンプルでシャキッとした演奏、その他、小林靖浩のアコーディオン、木村好夫のレキントギターなどを聴きました。いつも店主の独断の曲ですが、今回は日本色が全面に出て皆さんも聴き慣れたメロディ、歌声、演奏で種々の音色の違いを楽しんでいただけました。センターのシステムは中規模ですが、音楽性は豊かで真空管アンプの特徴の中域の厚みや温かさが実感して頂けたと思います。さらに写真の白木の中型スピーカーはお客様が自作されて持ち込まれたものですが、後面が2面開放で6角柱形状のしっかしりた構造で、中域の厚みと張りがあり充実感のある音でした。最初はユニットは秘密とのことでしたが、ネットを開けて種明かしされるとわずか7cmのフォスターのシングルコーンでびっくり。それではと当店で似た音色の傾向のタンノイのEATONと聴き比べました。こちらは同軸2Wayで物量も違いますので弦の艶や低域のリアルさなどはさすがタンノイに貫録がありますが、それに肉薄した良い勝負であったと思います(冷や汗)。

次にメイン試聴室で聴きました。今回はシステム的には前回と同じで以下の構成です。再生~プリアンプまでは電源装置(オリジナルART-Power S)~CDP(MingDa 500CD)~DAC(Concert Master DAC-K9)~プリアンプ(オリジナルART-PRE S)。以降は電源装置(オリジナルART-Power)×2~チャンデバ(Belinger×2)~パワーアンプ(ASC-845Jfor Woofer、オリジナル6550for Horn)という構成です。WooferはALTEC515C、BOXがJBL4560、Horn Driver(375)。こちらは音色の他、定位、余韻、奥行き感が加わりますので音楽もより深い所まで楽しめます。

ソースにはお客様持参のSteve Kuhn Trioのジャズピアノトリオ、モノラルソースでフルベングラー指揮のベートーベンの田園、久石譲のMelody Blvd. 女性ボーカルのオムニバス、辻井伸行のピアノでチャイコフスキーピアノコンチェルト等を聴きました。いずれも奥行きや録音の環境、演奏者の熱気、ボーカルの繊細な息遣いなどがはっきりと再生されるため血の通った音楽をダイナミックに楽しめる違いがあります。田園はモノラルソースで古いアナログ録音で帯域やダイナミックレンジは狭いはずですが臨場感や演奏の気迫が感じられました。女性ボーカルもそれぞれのシンガーの特徴が良くでてきます。ピアノコンチェルトではピアノとオーケストラとが混濁せずバランス良く正に「協奏曲」として楽しめます。再生能力が向上しますとソースも軽音楽的なものより重厚なもの、丁寧に録音されたものに差が出てきます。それでもお好きな音楽ソースを同じ時間かけて楽しむなら、やはりより美味しく味わって聴くのが良いですよね。上記のシステムはお客様のコメントも活かして種々工夫して現在に至っていますが、音楽再生の趣味を皆様と楽しみながらお手伝いできると良いなと思います。最後にはディズニー映画のポカホンタスのサントラ版から「愛のテーマ(If I never knew you)」を映画のエンドロールの様に聴いて頂いてお開きとなりました。

次回はお盆休みにかかりますが、8/10(土)13:00~15:30ですので皆様のお越しをお待ちしております。

 

6月の試聴会と次回予定

6月15日に毎月第二土曜日定例の試聴会を開催しました。センター試聴コーナーでは、アンプに当店での中堅機種のKT90シングルアンプのASC-B902, それとKT120シングルアンプのASC-1215KTで聴いていただきました。前者は従来から定評あるミンダの中核機種のMC368-B902 の後継機で中央のVUメーターが無くなりすっきしたデザインになりました。VUメーターはあった方が良いという方もいらっしゃいますが有効活用されている方は稀でしょうからデザインの一部でしょうか(笑)。なので両者のデザインは似ていますが両者の出力管の形が当然違います(笑2)。音の傾向は前者はKT90の力強さと艶が絶妙にバランスした塊感のある音が特徴です。何でもこなしますが特にジャズ、ボーカルなどが得意分野です。後者はKT120でKT90の高出力、高性能版でシングルとしては非常に大きな出力(25W×2)が特徴です。音の厚みが増して全体の迫力とバランスに優れていて、ジャズ、ロック、オーケストラも良いです。KT120は高出力管で発熱量も多く本アンプではそのポテンシャルをフルに引き出しており、それが音にも表れています。

ソースには写真にありますものを中心にお聴きいただきました。参加者が持参されたものも含まれております。女性ボーカルでは日本の至宝といわれる①伊藤君子のA Natural Woman、続いて②スウェーデン代表Monika ZのVARSAMT、当店定番のトランペットの③Chris BottiのSlowing down the world, サックスの④Derrick JamesのThink positiveなどを聴きました。①はジャズやポップスのスタンダードナンバーをストリングスを含めたアレンジのアルバムですが、洋楽でありながら日本風になるのは独特のビブラートがどこか演歌にも通ずるからでしょうか。美しい歌声のなかに日本人独特のしっとりした味が聴き取れます。②はアンニュイな雰囲気と現代的なアレンジで独特な不思議な雰囲気が楽しめました。③はいつも試聴会で聴いているIn Bostonとは違い優しくメロウな雰囲気。4曲目はステイングのボーカルが聴けますがいつものストイックなイメージではなく珍しく明るく前向きな雰囲気(笑)が楽しめます。④はヒュージョン色が強いですが達者な演奏で小気味よく響きます。スピーカー個々の特徴もありますが文字で説明は難しいので聴きにきてください。当時のヨーロッパの高級ステレオコンソールに使われていたユニットを使い、小型の後面開放や密閉箱に入れ現代に蘇った(やや大げさ)音は、現代の最新のものと聴き比べても味わいあるものです。お客様からも奥のメインシステムと聴き比べても迫力、実物大の再生という点を除けば、音楽としての満足度は十分得られると好評でした。

 

いつものように後半は奥のメイン試聴室に移りました。今回はCDプレイヤーを従来のヤーキンのコンサートマスターASC-1420CDからミンダの高級CDプレイヤーMC-500CDに替えて聴いて頂きました。元祖フィリップスのピックアップ回路やアップサンプリング機能によるリアルで鮮烈な音です。本機もトップローディング方式は同じです。CD出し入れは一般的なディスクトレイのフロントローディングが便利ですが、ご承知のとおりトレイのメカの故障は意外と多いですし、フラフラしているトレイが精緻な読取をしているCDの傍にあるというのが気になりませんか?その点、トップローディングは出し入れの手間はかかりますが確実でスライドメカがなく、アナログレコードの針や裏返しの儀式(笑)よりは簡単です。肝心の音ですが、従来のASC-1420CDも当システムの定番で使用してきたストレートで化粧っけのない素直な音でしたから大差ないのではと思いましたが、その差は歴然です。もちろん変な脚色や派手さ、人工的な音作りは感じられませんが、全ての音が鮮明になり解像度がアップします。決して誇張なく音楽の肝心な部分がきちんと出てきます。アップサンプリング回路でデジタルノイズを可聴範囲の上に追いやり、デジタルノイズが激減している効果もあるのでしょう。筐体も重量のあるしっかりした構造です(当面は店頭販売のみになりますが、気になる方はご連絡ください)。ソースには上述のものに加え、写真のものを聴きました。お客様ご持参の岩崎宏美の「Dear friends Ⅳ さだまさしトリビュート」ではご本人からこれまで聴いた感じとまるで違うと驚かれました(もちろん良い意味で)。日本人女性特有のしとやかさ、清廉さが伝わってきます。ピアノの音も打楽器としての強さと響きが冴えます。当試聴会の定番のクリスボッティのIn Bostonのイントロから最初のAve Mariaでは演奏前の観客のざわめきから人数や会場の大きさ、響きが伝わり、ボッティの登場での拍手、歓声、それから奏でられるトランペット、弦楽の厚い響きなど感動的です。最後はクラシックもとのリクエストにお応えしカラヤン指揮、ムソルグスキー作曲、ラベル編曲の展覧会の絵を聴いていただきました。冒頭の金管のテーマの入りと続く弦楽の響きが絶妙の調和し、煌びやかなフルオーケストラの響きで締めくくりお開きとなりました。リビーターの方々からも格段に良くなっているとのコメントを頂き嬉しく思います。だんだん伸び代が減ってきますがが、さらに上を目指して頑張ります。

次回は7月13日土曜日13:00からです。是非お誘い合わせの上、聴きにきてください。

5月の試聴会と次回予定

5/11に5月度の試聴会を開催しました。センター試聴室では写真の1950年代のテレフンケン、SABA、RFT等の20cmクラスの丸型、楕円型のドイツ製ユニットを使用し密閉箱、後面開放箱などのバリエーションで聴き比べ可能としています。これらのユニットは当時も密閉型と後面開放型がありましたが、アルニコ等の強力な磁石と軽量コーンの組合せで当時も真空管アンプで鳴らしていただけあって真空管アンプとの相性は抜群です。自然でリラックスした音色で長時間聴いても疲れず、楽しい音楽となります。アンプにはヤーランドのTJ211/845-S2(211付)を中心に、下記のジャズギター、ピアノ・ベース・ギターのトリオ、女性ボーカル集、ジェームス・テイラーなどを聴きました。上記スピーカーですとボーカルや小編成のクラシックの再生が特に自然です。オーケストラは生楽器ですので迫力こそ出ませんが楽器の音色や全体の雰囲気は十分に楽しめます。ただしバスドラムやロックなどを楽しむのはやや無理がありますね。1950年当時はエレキギターで歪ませてバリバリ弾くような音楽は稀(or無し?)でしたから無理もありませんが。その分、家庭で小音量から中音量程度で聴くには音痩せせずに豊かな音楽が楽しめます。スピーカーの密閉型と開放型は部屋の環境やユニットにもよりますが密閉型はやや教科書的で開放型の方が面白い音の傾向のようです。

アルテック銀箱と最下段のアルテック30cmフルレンジ(箱はダイヤトーン)の米国勢は明瞭で元気が良く大音量でも音が崩れないのとは好対照ではあります。なお上記旧ドイツ製ユニットのスピーカーは数量が限られるため現在は店頭販売のみとしています。

メイン試聴室では常設のシステムで聴いていただきました。ソースにはチャイコフスキー、ラフマニノフのピアノコンチェルト、チックコリアのソロピアノ、ロックではELPのベストアルバムなどを聴いていただきました。こちらはフルオーケストラやジャズ、ロック、ボーカルなどどんなジャンルでも実際の音量にも近く、リアルな音楽が楽しめます。ピアノコンチェルトはオーケストラとピアノの絶妙なバランスが魅力ですし、チックコリアのピアノはややきつい音になりがちですが、力強さと優さが両立した素晴らしい演奏が再現されます。ELPのベスト盤はK2処理によりオリジナルCDより鮮明に再生され鬼気迫る演奏が楽しめます。比較的大きな音を出していても普通に会話ができると参加者の方からコメントがありました。大音量でも音のバランスが崩れず自然だからだと思います。一般には1システムで様々なジャンルの音楽を満足できるようにするのは難しいとされていますが、電源装置から始まり音の入口から出口まで癖のない装置構成を考慮しています。一度是非聴きにいらしてみてください。

次回6月は都合により第3土曜日の6/15の13時からの予定です。ミンダの高級CDプレイヤーMC-500CDで聴いて頂く予定です。元祖フィリップスのピックアップ回路やアップサンプリング機能によるリアルで鮮烈な音です。ご期待ください。

 

新天皇・皇后両陛下ご即位記念

平成から令和へ新時代の幕開けとなりました。新天皇・皇后両陛下のご即位を記念しまして、ささやかながら5/1~5/18の期間限定で全商品を現在表示価格から15%割引きとさせていただきます。是非この機会をご利用ください。

商品は数量に限りがありますので、在庫切れとなった機種はその時点で割引終了といたします。

4月の試聴会の様子と次回予定

4月13日に試聴会を開催しました。まずセンター試聴コーナーでは予告どおりヤーランドの TJ845/211-S2i(Limited)で845と211のコンパチ機ですが今回は211を装着して聴いていただきました。

スピーカーには1950年代の東独製ユニットを国産ボックスに入れ現代に蘇らせた(やや大げさ)Telefunken/Imperialフルレンジ26×18cmd楕円ユニット、SABAグリーンコーンフルレンジ24×18cm楕円ユニットで聴きました。(店頭販売中)

本アンプは211の濃密かつ繊細な音色が特徴なほか、左右独立電源や前パネルは天然木、上側面はピアノブラック仕上げがヨーロッパのスピーカーに音も佇まいも良く合います。ソースにはダイアナクラールのピアノ・ボーカルのアルバムからジェントルレインなど数曲、竹内まりあのQuiet Lifeからも聴きました。前者ではリリカルなピアノとボーカルが心地良く響き、甘さと凛々しさが良く表現されます。ダイアナクラールが演奏を引っ張っていく姿が目に浮かびます。後者も日本を代表する伸びやかで若々しい歌声が堪能できました。スピーカーではテレフンケンの方がやや明確な傾向、SABAは繊細で中域の音色が良く音楽の空気感が表現されます。音楽をしっとりと楽しむのに良いスピーカーと言えると思います。

お客様のご要望でヤーランドのTJ84-Pでも聴きました。やや前者より帯域は狭くなる傾向ですがプッシュプルアンプの特徴である中域が締まった音色で、このサイズのスピーカーを鳴らすにはジャストサイズでこの音が好きだとのコメントも複数頂きました。

さらにお客様がご持参のフィリップス製(Made in ベルギー)の30cmフルレンジスピーカーでも聴きました。写真の白木の箱に黒いバッフルのものです。30cmでは余裕ある鳴りっぷりでこちらもフラットで聴きやすい良いスピーカーで自作されたという箱もプロレベルの仕上がりで皆さん感心されていました。それでは30cmフルレンジ対決と当社常設のアルテック30cmをダイヤトーンの箱に入れたものと比較試聴しました。アルテックは華やかな傾向でバスレフで低域も出てきますが置き方の違いでも変わりますので両者引き分けとしておきます(笑)。

続いてメイン試聴室に移り、予告どおり新規導入しましたメインアンプ用の大型電源装置を介したシステムで聴いて頂きました。写真の左下の装置です。これを介して常設の左上のASC-845Jに電源供給しウーファー(ALTEC515)を駆動、さらに右下のオリジナル小型電源を介して右上の6550オリジナルアンプでホーンドライバ(JBL375)を駆動しています。その効果は、筆者も最初はびっくりで地面が数メーター下がり試聴室が数倍の広さになったような印象、また高域もツイータ―の必要を感じない艶と伸びが加わり、ダイナミックレンジ(音の強弱)が深く音楽の陰影や奥深さ、ホールの大きさが感じられるようになりました。

ソースにはヨーヨーマのチェロ、デビッドサンボーンのサックス(ベースはマーカスミラー)、ウィーンフィルの美しき青きドナウ(合唱版)、TAKAKO YAMADAの水戸コルテスでのピアノライブ、チックコリアのピアノソロ、そして定番のクリスボッティのトランペットのライブを聴きました。いずれも以前より音の陰影、奥行き、広がり、艶が格段に良くなり、唸るようなベース、心に響くトランペットの響き、楽器の定位、分離も向上しました。電源でここまで変わるのかと驚きの感想を頂きました。電源がオーディオシステムの根本を支えている訳ですが、その効果覿面。これまでもCDP、DAC、プリアンプ側にもART-POWERを導入し効果を感じて頂いていましたが、パワーアンプでは音の出方が向上。パワーアンプのハイパワー化等よりも電源強化が一番近道かも知れないと感じていただけていたら嬉しいです。特殊医療装置用のユニットを使用しているため入手困難ですが、目途がたちましたら商品化するべく努力中です。

なお次回の試聴会は5/11(土)13:00~15:30を予定しています。またのお越しを楽しみにお待ちしております。

4月の試聴会の予定(追加説明)

次回4月の試聴会は4/13(土)13:00~15:30の予定ですが、内容の補足をいたします。

センター試聴コーナーでは新入荷のYARLAND TJ845/211-S2i(Limited)という845/211コンパチのアンプを211で聴いて頂く予定です(写真ご参照)。本アンプは昨年、秋葉原で開催された真空管オーディオフェアでも大変好評であったモデルと同様ですが、当店用にチューニングされたLimitedで独特の深みのある音色と力強さが両立した傑作モデルです。

また前回予告どおりテレフンケン、RFTといった旧東独製のユニットのスピーカーも聴いていただきます。

メイン試聴室では新たにメインアンプ側(ホーン、ウーファー)に導入した2台のオリジナル電源装置を介して聴いていただきます。特にウーファー側には医療機器用の特殊電源を採用しており従来より音の深みとダイナミクスが増しています。当日は本装置の有無での音の違いも聴き比べていただきます。ご期待ください♪♪

3月の試聴会の様子と次回予定

3月9日に試聴会を開催しました。まずセンターの試聴コーナーでは近日発売予定の東独テレフンケン/インペリアルのフルレンジスピーカー(写真両端)を中心に東独RFTの2Wayスピーカー(中央上)などを聴いて頂きました。いずれも50~60年代のユニットで軽量コーン紙と強力磁石で実に伸びやかで反応が良く上品な音色を聴かせてくれます。12~15cmクラスですから重低音は望めませんが、通常の音量であれば十分に音楽を楽しめます。特に真空管アンプとの相性は大変良いです。それもそのはず、当時のアンプはEL84などの真空管アンプだったのですから。反対にトランジスタの大出力アンプで大音響で鳴らす様には設計されておらず、無理に大音量を出すと破損する恐れがありますのでほどほどに。試聴会ではアンプはASC-845Jで聴いていただきました。小型ユニットですからもっと小出力のアンプでも十分というか、むしろマッチしているとお客様からコメントいただきましたので次回以降はそうしたいと思います。ソースにはリッチ―バイラークのピアノバラード、ヨーヨーマのチェロ、お客様ご持参の海野しゅんすけのジャズドラムス、竹原ピストルのパンクフォーク?(筆者独善のジャンル名)、The Ritzの混成ジャズボーカル、石川さゆり、美空ひばりのカバーアルバムと続きました。特にボーカルは特筆もので、情感やハーモニーが良く伝わります。夜にしっとり聴くにも最適とのご感想でした。ピアノやジャズは迫力こそありませんが、微妙な音色、音楽の中心である中音域はしっかり出てリラックスして聴けます。なおフルレンジでは素直で自然な傾向、2Wayはワイドレンジで明瞭な傾向です。これらのスピーカーシステムは近日、ART-SPEAK(アートスピーク)シリーズとして順次発売予定ですのでご期待ください。

後半はメインシステムで試聴しました。前回はJBLホーンに変更直後で従来のアルテックホーンを上に重ねていましたが、後者を撤去しすっきりさせました。やはりドライバーの大きなマグネットを重ねていては磁気干渉もあったのか、撤去後は音の定位や抜けも向上した様です。(何かの参考になれば幸いです)。また写真の様にホーンを銀色に着色してみました。パワーアンプはウーファー用が左側のASC-845J、ホーン用が右側オリジナルの6550シングルアンプです。(床のアルテック30cmシステムは鳴らしていません)

ソースには前述のものに加え、室内楽ではドボルザークのアメリカ、コルトレーンのサックス、最近リファレンスにしているクリスボッティのトランペットのIn Boston、デビッドサンボーンのサックスのInside等を聴きました。センターで試聴した音楽も良いのですが、こちらではやはり大型ならではの奥行き、ホールトーン、定位、音の強弱などの再生力の違いでまた違った音楽になります。お客様から次元が違うとの感想が多いですが、奥行き、高さ方向が加わりますから確かに次元が2次元から3次元、さらには音の余韻は時間ですから、音の次元が違うというのは適切な表現かもしれません。In Bostonではボッティの絶妙なトーンがホールに広がる様子や観客の人数が感じられ、サンボーンのサックスでは陰影が強く表現され魔術的な凄味さえ感じられるなどアーチストの気迫、情念も感じられました。

最後に後日談を2件。その後、お客様がご持参のJBL075を追加して試聴しました。当然、高域が伸びて上が広がりシンバルやボーカル、オーケストラも明るく華やかになります。ただしレベル調整が微妙で、出過ぎると余韻や奥行き感が減少するので精緻な調整が必要なようです。この辺はユーザー諸氏が苦労されている点なのでしょう。また左右2台に分けて使用していたチャンデバの1台が故障したため、一時的に1台(本来ステレオ仕様)に接続しましたが、やはり2台での独特な奥行き感、左右の定位、ゆらぎ感などが減少し、2台使いのメリットを再確認しました。

次回は4月13日(土)13:00~15:30の予定です。お好きなCDご持参の上、ご参加ください。

2月の試聴会の様子と次回予定

昨2/16に2月の試聴会を開催いたしました(先週予定でしたが積雪予報で1週間延期)。今週のメインイベントはメイン試聴室のホーン用に新たに投入しました新作の当店オリジナルアンプ2台の聴き比べ。最初に写真手前の6Y6出力管アンプ、次に奥の水色(店名にちなんだオーシャンブルー?)の6550シングルアンプを聴いていただきました。従来はウーファー、ホーンとも左側のASC-845J×2台で左右振分けていましたが、ホーンをJBL375にしてから音圧バランスをとるためホーン用アンプを今回に2機種にしてバランスを取っています。ソースにはお客様ご持参のライオネルハンプトンの名盤スターダスト(レコードから当時のモニター機に使用されていたウェストレイク10Aカートリッジで再生してCD化したという凝ったヴァージョン)、ボゴレリチのショパンのピアノ、フランクザッパのビッグバンド(アシッド?)ジャズ等を聴きました。結果ですがお客様のご感想ではどちらのアンプでも「大変良かった、音が太くて締まっています」「ボゴレリチのピアノもスケールが大きな音でした」など概して好評でした。「6Y6アンプでもかなり良いのですが6550アンプの方が音に力があり音像も少し大きく、ボリュームを上げても音像が崩れないのも良かった」とのことでした。ライブでの音場感もリアルで観客の人数、様子が判るほどです。客観的にも従来よりレベルアップしていると思います。ただ少数意見ながら、従来のウーファーのD130改の時の方がコーン紙の軽さとアルテックホーンの応答とホーンらしさの特色がでて良い味を出していたのが今の515Bは音圧があがり迫力は増したが応答性がどうかは短時間の試聴では何ともいえない」というコメントも頂きました。「巷のハイエンドシステムと方向性が一緒になると当店のユニークさが希薄になる」との貴重なコメントもありました。音の厚みはほぼ達成しましたので真空管アンプの暖かで応答性の良い点を活かしてさらに軽くて応答の良い低音(これが一番難しい)を目指して調整をしていきたいと思います。

一方、センター試聴コーナーでは当初予定のYARLAND TJ-88/34-Pの試聴は延期し、代わりにASC-845Jで聴いていただきました。(従来は奥のメインシステムのみで試聴いただいていましたが、上述のシステム変更でセンターに移動)。やはり845は電圧1000V近いとあって音に余裕と切れの良さ、新鮮さが加わります。ソースにはドナルドフェイガンの小気味良いAOR、ヨーヨーマのチェロ、チャーリーヘイデンカルテットw/女性ボーカル、ケイコ・リー等を聴きました。バランスが良いスピーカーはやはりアルテック銀箱で、特に音量を上げた場合に真価がでるようです。ヨーヨーマのチェロも甘味に豊に広がり映画館でうっとりしてしまう気分にさせられます。最近注力しています旧ドイツのテレフンケンユニットの2way, 東ドイツRFTの2wayでも聴いていただきました。50年台製造のユニットはアルニコでコーン紙が軽く応答性の良い高速な音で耳あたりが良く、国産や米国産とは違う音楽の味があります。お客様も自然な音なので話の邪魔にならないと好評でした。テレフンケンの方が箱も一回り大きく低域も良くでますがRFTも中高域は良くのびて実に楽しい音でなってくれます。ご家庭で一般的な音量で聴かれるのにはお手頃です。

次回は3月9日の予定です。テレフンケンのフルレンジスピーカー等を予定しています。ご期待ください!

2019年1月の試聴会の様子と次回予定

本年最初の試聴会を1月12日に開催いたしました。今回は盛りだくさんで構想練っているうちにアップが遅くなりました(言い訳)。さて今回はメインシステムの方を重点的に聴いていただきました。常設システムのパワーアンプは通常ASC-845Jの左右バイアンプ駆動の2Wayですが、今回はまず当店オリジナルのWE417真空管を使用したパワーアンプをホーン(アルテック806A+311B)に使用して聴いて頂きました(ウーファーには845のまま)。出力1W程度の小出力アンプですが、高能率のホーンを鳴らすには十分な音量です。そしてその音ですが想定外(おっと、これは禁句)、予想外のバランスの良さ。前回報告の様にウーファーは前回から強力なアルテック515Bにしていますが、ホーンが負けることはありません。お客様からも自然なバランスで大変聴き易いと好評でした。バイアンプの場合はウーファーとホーンを同じアンプの方が当然特性は揃っていて一般には調整しやすいのですが、ウーファーとホーンでもちろん特性は違いますから今回は845+417で自然に聴こえうまくバランスしています。これだからオーディオはカタログスペックだけでは語れません。ソースにはお客様ご持参の女性ボーカルやジャズ、クラシックを使いました。(以下に続く)

 

しばしお客様と自然で説得力ある音楽を楽しんでいましたが、途中で大人の事情で(笑)ドライバーとホーンを上述のアルテックからJBL375+JBL2397ディフラクションホーンに大胆に入れ替え。このドライバーは806の直径で2倍、容積で8倍ほどの大型で約10kgありお客様にも手伝ってもらい乗せ換えました。そしてその結果は、さらに中高音の艶と伸びが増しました。ウーファー515Bとのバランスもさらに纏まり、今まではやはりホーンが力負けしていたのだという感想になりました。このドライバーとホーンをお使いのお客様からも515Bウーファーとこんなにバランス良く鳴るとは驚きとのご感想でした。ちなみにウーファーの方ですがJBL4560に入れていますが、背面の蓋を開けた上で特殊な布(コーヒー袋)を被せて調整していますが、SP自作もされるお客様からは、背面からの回り込みでボヤけているので蓋は閉めた方が良いのではというアドバイスがあり、後日閉めています。この辺は機器と部屋の調整次第なのでさらに詰めていきます。アドバイスで成長するショップを目指します(笑)。

最後にセンター試聴コーナーでは軽く当店オリジナルのテレフンケン2Wayスピーカー、東ドイツRFT社の2Wayスピーカーも聴いていただきました。1950年代のユニットですが大変丁寧な作りと味わいある音でタンノイイートンやJBL,アルテックと聴き比べても違う趣きがあり、これまた楽しめます。バッフルには濃紺、濃緑色を使いヨーロッパの雰囲気があります。近日販売開始予定ですのでご期待ください。

後日談と次回予定。実はその後、ホーンのアンプを米国製6Y6GやRCA整流管を使用したオリジナル品に変えてみましたら、さらに余裕が生まれ、奥行き感や定位が向上しました。またホーンは従来のアルテック311と今回のJBL2397をなんと上下タンデムに配置し、比較できるようにセットしました(親ホーンの上に子ホーンを乗せて~)。これは邪道でしょうがショップですから良いのです。ホーンとウーファーの位相合わせ、角度、ダンピングなどで音がコロコロ変わりますので鋭意調整中!次回聴いて頂いて皆様の評価はいかがでしょうか?

一方、センター試聴コーナーでは新入荷のYarlandのTJ88-34P(KT88PP)の試聴を予定しています。本機は昨年末の真空管オーディオフェアでも沢山の方に試聴いただき、その木目の美しさと溌剌として艶やかな音色は好評でした。当店でも上述のテレフンケンやRFTスピーカーとも良いマッチングですので合わせて聴いてみてください。

 

次回は2月9日13~15:30の予定です。

Abbey Road

Abbey Roadと聞いただけでぞくっとする方は少なくないはず。ロンドンのストリート名でありますが、言わずとしれたビートルズの最終録音アルバムのタイトルでもあり録音スタジオの場所です。ただし今回は六本木にあるライブハウスのこと。ここではビートルズのコピーバンドの演奏、歌唱がきけます。先日3年ぶり位に友人に誘われて行ってきました。筆者も当時はビートルズにのめり込み、アルバムで言うとマジカルミステリィツアー、ホワイトアルバム、イエローサブマリン、ヘイジュード、レットイットビー、そしてアビーロードはリアルタイムで買って聴いて感動してました(えっへん、リアルタイムですぞ)。

以前から音楽は好きでしたが彼らの音楽は新鮮というよりショックでしたね。ジョンとジョージは天国ですがポールは他のメンバーの分まで現役で頑張ってます(リンゴは何してるかな)。

本題の六本木アビーロードでは新生パロッツ(写真)のライブ。演目は初期のI saw her standing there, She loves you. I feel fineなど、中期はHello Good-by, Lady Madonnaなど、後期はBirthday, Hey Bulldog, Something, Let it Beなど。どれも演奏は上手で音響も良くほぼ完ぺきなコピー。さながらビートルズが蘇った様!と言いたい所ですが、やはり声質まではね。マニアはレコードの隅々まで何百回と聞いて頭の奥に刻まれていますからどうしても細部を比較してしまうのです。さらに商売がら、音響だとか音楽の構成だとか理屈で聴くもんだから、一緒の友人からは「ノリが足りない!」と叱れました(ボーと聴いていた訳ではありません)。

 

そしてオーディオとしてはいかがか?ビートルズのレコードは当時の録音技術を駆使し、斬新な試みを次々にしていきましたが多重録音、フィードバック、効果音がメインで音質そのものより再生した際にはっきりしゃきり勢い良く彼らの特徴を活かす方向ですので、余韻とか音色自体は凝ってはいません。なので再生装置の質は中位で十分というか、高級オーディオではかえって多重録音が耳につくかもしれません。某有名オーディオ雑誌でもビートルズとオーディオなる連載記事が始まったと思い期待したら1回で終わったこともありました。なのでオーディオマニアは少ない様に感じます。ただしここで宣伝ですが(笑)、真空管アンプでレコードを聴くのが理想で、当時の感動が再現されると申し上げておきたいと思います。なにせギターアンプ、録音機材、モニター機材の全てが真空管式でしたから♪!アビーロードスタジオのモニタースピーカーであったアルテック銀箱で聴けばさらに気分は盛り上がります。

それでは皆様、良いお年を!

12月の試聴会の様子と次回予定

昨12/8に定例試聴会を開催いたしました。クリスマスセール中でもあり、センター試聴室のアンプ横に花かご、エントランス脇にOPENのイルミネーションでちょっとしゃれてみました。センターで前回もご紹介したミンダのトランス結合のASC-300BTCで前の中央の12AX-7をGE製に差替えたもので聴いていただきました。写真中央がそのアンプです。前回は後日談でブログに掲載しましたが、実際に試聴会では最初でしたので、その効果で澄んで明瞭になった音色を楽しんでいただきました。ソースにはジャシンタのオータムリーブスとスティングのライブを少々。前者は音作りが巧妙で女性ボーカルの魅力を良い音で聴かせるCDです。聴き込むと凝った録音やミキシングが駆使されたやや人工的な脚色が感じられますが、どのシステムやスピーカーで再生してもそれなりに美しい良い音に聴こえるので、試聴会向きとも言えるでしょう。初段の真空管1本でこれだけ音が変わりますから、比較的高額の出力管より、ミニチュア管を差し替えて楽しむのも、真空管での音の変わり方を楽しむのに効果があります。

さて今回は予告していましたメインシステムのウーファーをJBL D130改からアルテック515Bに変更した効果はいかに。お客様もそちらが主目的とのことで早々に奥のメイン試聴室に移りました。こちらでも前述のスティングのイタリアライブからKing of Pain, Fragileを聴き、その後にお客様持参のゲイリーカーのコントラバスとパイプオルガンのヂュオで重低音大会のCDを聴きました。これにはさすがアルテック38cmで最強力の515Bでも地を這うような重点音は望めません。しかしお客様からはよく再生されていると驚かれました。スペック的には出ていなくても倍音成分が忠実であれば聴感上は不満のないということでしょう。実際に地響き並にするにはサブウーファーが必要ですが、マイク録音では20Hz以下は最初から無理なので人工的にならざるを得ません。映画の効果音なら別ですが。

続いてオルガンではバッハのトッカータとフーガ、クリスボッティのアベマリア、バッハのバイオリン協奏曲、カラヤンでマーラーのアダージョ、ボーカルではアニタオディ等を聴きました。515Bでは低音が強力でクリアで中高域も明解でホーンとの相性も良く一体感がありスピーカーの存在が感じられず、音像の広がり、奥行き、深みも増して全体に品格が出てきました。ジャンルを選ばず楽しめる範囲が拡大しました。ホーンドライバはA7初期の806Aで515BはA5用ですから強いていえばA6相当?でも箱はJBL4560ですからA6Jとでも言うべき構成です。クロスは750Hz位。実は注意深い読者ならお気づきと思いますがASC-845Jの845は2種類で、標準のミンダオリジナルJINVINA管と高価なPSVANE-TⅡを使い分けています。従来はウーファーに元気の良い前者、ホーンにマイルドで高品位な後者としていましたが、実験の結果、今回は逆の方が良い結果でした。多分515Bの性能が上がり真空管の差がより全面に出てきた結果と考えられます。すると欲がでてきてお客様から後面開放の方が良くなるのでは?というコメントが。確かにアルテックの同じ構成のA5、A7も後面開放ですから。ここで延長30分のATも終了しお開きに。お客様からも過去最高とお褒めの言葉を頂きました。本年も毎回ご試聴にいただきました皆様、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。

次回予定と後日談。次回は1月12日(土)13:00~15:30です。

昨夕、早速ウーファー後面の板を外し後面開放としてみました。たしかに音も開放的になりましたが肝心の低音の押し出しが弱まり、定位もぼやける結果に。ではと思い開口部にを手持ちのコーヒー豆の袋をでカバーしたら、これが大正解。開放的な音で低域の音圧も出て両立!お客様に教えてもらいましたがドイツの名門クラングフィルムのオイロダインのウーファーも背面に毛布の様なカバーが付いているそうです。次回試聴会までにさらに調整しておきます。

真空管アンプに良く似合うアラジンのブルーフレームも運用開始。

暖かい試聴室で、暖かいコーヒーを飲みながら、暖かい真空管の音楽を是非どうぞ。

11月の試聴会の様子と次回予定

11月10日に定例試聴会を開催しました。今回は予告のとおりミンダの新しい300Bのトランス結合アンプASC-300BTCをまずセンター試聴コーナーで聴いて頂きました。本機の特徴は何といっても名球300Bをトランス結合の回路構成としている点です。その効用は真空管アンプらしい音色です。ソースにはお客様がご持参のモーツアルト弦楽四重奏曲、千住真理子のバイオリン、ジャズではバルネウィランのサックス、マツオアキラトリオ等を聴いていただきました。音色は真空管アンプらしさ全開!帯域はやや狭いですが中音域の厚さ、暖かさと繊細さが、肉声や弦楽器、ピアノなどの音をリアル、かつ豊に聴かせます。スピーカーには常設のアルテック銀箱、JBL4408A、東独RFTの2Way、タンノイイートンを切替えて試聴。真空管アンプらしさが活きて相性が良いのはモニター調のJBLやアルテックよりタンノイやRFTの相性が良いと参加者のご意見が一致しました。モニター系のスピーカーはハッキリ明瞭に聴こえますがしっくりきません。間違いなく音楽的には後者と相性が良いです。ジャズ系の迫力を求める方には本機は最適とは言えないかもしれません。小出力の真空管アンプにはJBLなどの米国系のバリバリのスピーカーより欧州系の方が一般には合うようです。特にRFTが良い相性とのお客様のコメントを頂きました。

本機の300Bは標準はPSVANEを奢っていて十分良いのですが、予告していたのでお客様が持参された高価な元祖ウェスタンエレクトリックの300Bに交換して再生してみました。最初の5秒で皆さんビックリの変化。全体が端正に響き、姿勢を正して聴かねばという音になります。さらに後刻、300Bは付属品に戻し、前段の12AX7を付属品からGE製に交換してみました。これも澄み切った清廉な音に変化しましたことを申し添えます。本機は真空管ならではの音色や性能をフルに味わうのに良く、真空管を交換しての変化も楽しめる一台と言えるでしょう。

まだ一台しかありませんが、販売しますのでご興味ある方はお問合せください。

メイン試聴室に移り、何枚かは同じソースで比較試聴しました。音色的にはセンター試聴コーナーでも十分楽しめますが、こちらですと奥行き感やホールトーンが加わるのでまた一興です。同じソースではその違いが良くご理解いただけます。ただ大きい音というのではなく、奥行き感、横への広がりを加えた立体空間の再現がオーディオの醍醐味の重要な要素でしょう。今回、システム上の唯一の変更点はデジタルケ―ブルを従来品のART-CABLE TypeDから新作のTypeD2(写真付、近日発売)に変更しました。従来の銅単線を銅単線4芯化し、音の広がりと改造力、楽器の定位が向上しています。以前来ていただいたお客様からも広がりが違うとコメント頂きました。全体にスケール感が増しオーケストラ等の幅広い音源には顕著な効果があります。ただしジャズの様な凝縮した音を好まれる方には微妙かもしれません。とにかくデジタルケーブルだけでこれほど違いが出るという事はオーディオの楽しみ(苦楽?)の一面でしょう(他人事ではありませんが)。メインシステムは極力音楽ジャンルを選ばない様に素直で自然な再生を標ぼうしているので、プリンスのギター、リッチ―バイラークのピアノ、スティングのライブ、キースジャレットのケルンコンサート、ビルエバンスのソロピアノ、ブラジル音楽など多様な音楽を時間一杯まで皆様に楽しんで戴きました。

注)デジタルケーブルはCDP(ASC-1420CD)とDAC(DAC-X9)間に使用しています。

次回は本年最後で12月8日(土)13:00~15:30です。

予定はメイン試聴室のウーファーを変更して聴いて頂く予定です。従来はPA用のJBL4560の箱にアルテック38cmのD130改造品(軽量コーン、写真左)でホーンとのマッチングも良く自然でスピード感ある再生音でしたが、やや低域の迫力が不足と感じていました。これをアルテックの38cmで歴代最強力と言われる515B(写真右)に交換します。JBLの箱にアルテックのウーファー、ルーツは同じですがどうなるでしょうか?

既に調整を始めていますが、さすが素性は良いようで、ASC-845Jとのマッチングも整ってきました。また皆様と聴き比べを楽しみにしております。

10月の定例試聴会の様子と次回ご案内

10/13(土)午後に10月の定例試聴会を開催しました。(定例試聴会は毎月第二土曜日です。その他の日も承っておりますが不定休のため事前連絡ください)

今回も女性のお客様も参加いただき、和やかにアットホームな雰囲気で行いました。まずセンターの試聴室では当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PRE(シルバニア6J5, GE37搭載)とメインアンプはウェスタンエレクトリックの417A出力管、6J5整流管、電源、出力トランスを使用したパワーアンプで聴いて頂きました。出力は約1ワットですが、電源、出力トランスがしっかりしており、能率の良いSPであればご家庭で十分な音量、かつきめ細かく端正な音を聴かせます。スピーカーは常設のアルティック銀箱、タンノイイートンに加え、珍しいテレフンケンと東独RFTユニットの各2Wayのスピーカーで聴いていただきました。ソースは最初にデビッドサンボーンのアルバム「Inside」から数曲。フュージョンジャズ的な作品ですが独特の先鋭で明瞭なサックスの音色を伴奏が盛り上げます。モダンジャズではスタンダードのデイブブルーベックのテイクファイフ他を聴きました。聴き慣れたメロディと演奏ですが、これも真空管アンプと真空管時代のスピーカーユニット、そしてそれらでモニターしてアナログ録音したソースですから、少々大袈裟に言えばタイムマシンで当時の雰囲気に戻ったような気分になります。スピーカーも銀箱は定番でアビーロードスタジオのモニターでもあったわけですから別格ですが、タンノイはバランスに優れ、テレフンケンは中高音が瑞々しく、RFTも想像以上に切れの良い音。スピーカーにより出口の再生音の違いは顕著ですが、小出力の真空管アンプでも音やせせず、豊かで実存感のある音楽である点はアンプの特性として共通であることをご確認いただけました。ソースにはその他、お客様ご持参の室内楽(写真撮り忘れました)や原大力&His Friendsのピアノトリオなどを聴きました。真空管アンプのご試聴が初めてのお客様からはトランジスタの音とは根本的に違いますねと言われました。トランジスタは真空管の代用品として生まれ、工業製品としての特性、生産性に優れていますが、オーディオでは真空管の優れた能力があり、複雑な回路設計をせずとも、素の音楽の陰影や奥深さなどを再生することを感じて頂けたことと思います。

奥のメイン試聴室では常設のASC-845Jマルチアンプ、ASC-1420CDASC-DAC9ART-Power, ART-PRE、スピーカーはALTECホーンとJBLウーファーですが、今回は写真にもありますが背面の両側面に吸音・反射材を追加して調整しました。吸音材はトラス状の木製枠に布を張り、反射材には平板を組合せていますが、これらの面積比や設置角度のより特に高域の伸びや艶がコロコロ変わります。リピーターの方からは前回から何をどう変えたのか?とご質問があったほど顕著な差がありました。ルームチューニングの理論書や市販品もありますが、まずは皆様も手持ちの材料でも試されることをお奨めします。

ソースにはまずクリスボッテイのライブ「in Boston」の一曲目のアリアを聴いていただきました。本作はボストンの教会で録音されたライフで最初にボッティが登場する際の場内の歓声がまるで会場にいるように聴こえます。思わずコンサートのチケット買って入ってっけ?と一瞬不安になったという方もいらっしゃりました(笑)。アリアの演奏のトランペットの響きや息遣いにも音楽家の演奏とそれに聴き入る観客の感動が感じらました。その他、室内楽ではチャイコフスキーの弦楽室内楽、ゴンサロのジャズピアノ、もののけ姫の主題歌などを聴きましたが、お客様からは、センター試聴室で良い音と感じても、メイン試聴室では音楽の奥行きがまるで違うとご好評でした。またテーブル上に置いたヤーランドTJ6P1-Pをパソコン音源で珍しいデンマークDEARYの小型スピーカーで聴きました。小音量でも雰囲気があり書斎など最適です。最後にまたメインシステムでクリスボッティのTime to say good bye をしみじみ聴いていただき時間となりました。

真空管アンプでは音楽の雰囲気、特に奥行き間や深みが巧みに再生されます。トランジスタでは特性向上のため回路上NFB(負帰還)を掛けますが、特性が揃い音楽が綺麗になる反面、平面的になる傾向があります。真空管で秋の夜長に奥深い音楽をお楽しみください。

 

次回11/10(土)13-15:30ですが、ミンダの新製品ASC-300BTCの試聴を予定しています。PASVANEの300Bを搭載しトランス結合の特徴である奥深く柔らかい音がします。お好きなCDをお持ちになって聴きにきてください。また楽しいひと時を楽しみにしております。

 

第24回真空管オーディオフェアの様子

第24回真空管オーディオフェアが10/7(日)、10/8(祝)の2日間、秋葉原の損保会館にて開催されました。天候にもほぼ恵まれ連日大勢の方々に来ていただきありがとうございました。今年も全館と別館で多様な展示、試聴会が開催され楽しんで頂けたと思います。当ショップも販売店としてヤーランドアンプのブース(5階・データゲート)にて対応させていただきましたが、会場が狭いこともあり立ち見(聴き)のお客様もいらして盛況でした。今回は試聴機は代表的な3機種(①TJ845/211-S2i、②TJ88/34-P3i, ③TJ6P1-P)と電源ボックスのデモ機でしたが、①では華麗な845と深みのある211、②では闊達で艶のある音色、そして③は小型ながらバランスの良い聴きやすい音をご確認いただけたと思います。このような機会にお客様のご感想やご質問などの生の声を伺ったり、ご相談を受けたりするのは貴重な機会で楽しくもあり、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。特にじっと聴かれていた方にお話を伺ってみますと、楽器演奏のご経験者であったり、コンサートに頻繁に通われる方などが多い様で生音に敏感な方にも評価いただけたて嬉しくなりました。なお当ショップでもTJ6P1-Pなど数機種がご試聴いただける他、全機種のお取扱いをしておりますので、さらにお聴きになりたい方やカタログでご興味のある方はご連絡をお待ちしております。

その他のブースにもお邪魔しましたが、特に別館での超大型の241Bアンプ、平面スピーカー、ウェスタンエレクトリックの超大型ホーンスピーカー、青い色に光るキセノン真空管アンプが珍しく興味深いものでした。WE241出力管はワインボトルほどの大きさがあり音は聞けませんでしたが雄大で甘い音がしそうです。FALの平面スピーカーは通常は耳で聞いている音楽が、体全体に平面波の音圧を同時に受け、体で音楽を感じるような不思議な体験でした。中央のライブの映像もその雰囲気を盛り上げていました。家庭で聴くのに適しているかは不明ですが(小型ユニットもあるようです)ホームシアターには良いかも知れません。WEのホーンも決して家庭用とは言えない大きさで(しかも今回は1個のみのモノラル)、短時間の試聴でしたが全体に自然で悠然とした響きでその実力の片鱗を感じ、さすがと思いました。

また来年秋に開催されますので、ご興味のある方は是非お越しください。

9月の試聴会の様子と次回予定

9月8日(土)に恒例の試聴会を開催いたしました。今回は女性の方も来ていただき、華やかさも加わり楽しんでいただけと思います。

まずセンター試聴スペースでは、当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PRE(写真参照、シルバニア6J5, GE37搭載)とメインアンプはYarland TJ300/2A3-S2(300B付)の組合せ、CDプレイヤーは常設のマランツCDR630。そして今回はスピーカーにビンテージと言える独テレフンケンの2Way(50年台の製品)と英タンノイの同軸2Way(60年代の製品)の独英対決(笑)を中心に聴いていただきました。

ソースにはイタリアの新進気鋭トランぺッター、クリスボッティのアルバム「When I fall in love」から数曲聴きました。伸びやかで感傷的なトランペットで、数曲はボーカル(スティング等)も参加していて楽しめるアルバムです。まず真空管で有名なテレフンケン社、ユニットはオリジナルのアルニコ26×18cmフルレンジ+10cmツィータで箱はリメーク。真空管アンプとの相性は抜群で、明るく伸びて艶やかな中高音が響き、重厚さもある音楽性ある音で皆さんも感心されていました。やや重心が高いので低音重視のジャズの迫力には不足ですが、ボーカルやビバルティの四季の弦が美しくドビッシーの海も華麗に響き、楽しい音。小~中音量で秋の夜長にしっとり聴くには最適です。次にスピーカーを同等サイズ(25cm同軸)のタンノイのイートンに切替て聴きました。タンノイでは小型の60年代の製品ですが、さすが英国の名門、落ち着いていながら明瞭な大人の音になります。タンノイは総じて暗いという世評もありますが、低域の音階も明確になりジャズの迫力も中型としては大変良く再生され完成度が高いです。どちらもアルニコ磁石の時代の製品で真空管アンプに好適です。

比較のため常設スピーカーの米国勢アルテック銀箱、JBL4408Aでも聴き欧米対決をしました。さすがメリハリの利いたモニター調に変わります。特に音量を上げた場合は米国勢が有利でしょうか。ここは趣向の分かれる所ですが、音楽をゆったりと気負わずに楽しむには真空管アンプ+ヨーロッパ製スピーカーはお奨めです。試聴された方々もオールドSPでここまで鳴るのかと好評でした。今後も真空管アンプと相性が良いヨーロッパのスピーカーを選んで、ラインアップにしていく予定です

 

後半は奥のメイン試聴室に移り常設のASC-845Jマルチアンプのシステムを中心に聴いていただきました。

まず、耳が覚えている間に(笑)、同じクリスボッティを数曲聴きました。センター試聴スペースでは音色や響きが良いと好評頂いたお客様も、奥では同じソースでも全体のホールトーンや余韻が加わり、楽器の分離もよく聴こえるので不思議に思われる方が多いです。例えば二曲目の「No Ordinary love 」(尋常でない恋(我訳))はオリジナルはシャーディーの憂いあるハスキーボイスですが、ここではクリスボッティの感傷的なトランペットに乗せてごくわずかですが女性ボーカルがユニゾンで聴こえます。これはセンターでの試聴では気付かないレベルです。背景にあるオーケストラやコーラスが明瞭に聴こえ情報量が多く音楽が違って聴こえます。その他のソースでは、お客様ご持参のブルースギターでセミアコのエレキギターの冴えたトーン、キースジャレットのライブではピアノの力強く華麗な響きが聴けます。またチャイコフスキーの5番、もののけ姫のテーマなど、ホーンシステムですが突っ張った所がなく、漂うような柔らかな音が皆様に好評でした。またお客様ご持参のPC音源を使ってショパンのピアノソナタなど聴き慣れたソースでも比較試聴頂きましたが、響きが違うと驚かれ、「アンプやケーブルよりも部屋の環境が一番効いているのでは?」と不思議がられていらっしゃいました。確かに部屋の音響ではスピーカーのウィング増設、背面の硬質スクリーン、側面の吸音材などで調整して今日に至ります。ただしオリジナルのART-PRE、ART-Cable、ART-Powerの効果も大です(この点強調)。この辺の絶え間ない進化の努力(笑)はリピーターの方から「来るたびに良くなっている」と言う証言付です(笑)。さらに奥の試聴室でYarlandでもっとも小型のTJ-6P1(DAC内臓)をテーブルの上に置き、PCからUSBで接続し、ハセヒロのバックロードホーンSPで聴きました。これまた想定外(禁句でしたっけ?)の豊な響きで皆さんビックリ。それではと最後にお客様ご持参の7cmのスピーカーが鞄の中から登場、これがまた中域の充実した良い音でまたビックリ。その後、ニアフィールドリスニングの配置にするなど、いろいろ実験しているうちに収拾が付かなくなり、店主のガバナンスが危ういのでお開きの時間となりました。

参加された皆様もご満足と共に、この音はどこから来て、どこへ行くのか不思議な感覚を持たれ家路につかれたようででした。

 

新作オリジナルパワーアンプ
新作オリジナルパワーアンプ

次回の予定ですが、なるべく詳しくしてというご要望が寄せらたので少々くわしく。当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PREとメインアンプは

センター試聴スペース用に製作したウェスタンエレクトリックの417A出力管、6J5整流管、電源、出力トランスを使用したパワーアンプを聴いて頂く予定です。出力は約1ワットですが、これが能率の良いSPならきめ細かく端正な音を聴かせます。

当店としては初のオリジナルパワーアンプで、まだ発売は予定していませんが、是非聴いていただきたいと思います。

またスピーカーは珍しい東独製RTF社の2Wayで聴いていただく予定です。1970年頃の製品ですが、このユニットはマグネットが通常よりワンサイズ大型で超強力+軽量コーンでダンピングの効いた低音など、ジャズの迫力にも対応します。

また小型ヤーランドTJ-6P1にはデンマーク製の小型SPでの組合せも予定しています。

さて、それぞれ真空管アンプとの相性はどうでしょうか?

ご期待ください!

 

8月の試聴会の様子と次回予定

8.11に8月の試聴会を開催しました。今回も酷暑の中、お越し頂いた方々、ありがとうございました。

今回はセンター試聴コーナーでは新たに加えたスピーカーのタンノイ イートンをメインに、プリアンプART-PREⅥ、メインアンプYarland TJ-300/2A3-S2(300B)、CDPマランツCDR630Mk2、それにアナログプレイヤーはガラード86SBMk2の組合せで聴いていただきました。

ソースにはまず小沢征爾氏のCDベストアルバムからチャイコフスキー弦楽協奏曲、続いてレコードでカラヤンのバッハ管弦楽組曲2番の一部を聴いていただきました。弦楽の繊細で美しいハーモニー、管弦楽では弦と管の音色と響きの微妙な重なりなどが表現され、タンノイ独特の同軸2ウェイの定位が素晴らしく、オーケストラの配置や全体の響きが心地良く聴けます。またヴィバルディの四季でも弦の引き始めの音や弓の動きが判るほどです。またナタリーコールのジャズボーカルも新鮮な歌声が聴けました。ジャズではお客様持参の山本つよしトリオのMISTY、ジャコパストリアスのWord of Mouth、ウェザーリポートのデビューアルバムから聴きました。さすがにジャズではパルシブな音源やバスドラの迫力などでは表現不足な点があり、ソースを選ぶ傾向が判りました。これまでタンノイでは小型のマーキュリーM1(同軸ではない2ウェイ)でも聴いて頂いていましたが、同軸2ウェイ、10インチのイートンは比較的小出力の真空管アンプとの相性が抜群で、通常の部屋の大きさには最適と思われます。参加者の方にも音にご納得頂けてご好評でしたので、今後もセンター試聴コーナーで常時比較試聴できるようにいたします。センターでは最後にお客様が持参されたスピーカー(STEREOという本の特別付録の箱のキットにフォステックスのユニット使用)を聴きました。やはり小型ユニットで同軸のメリットで定位とリニアリティ、応答が良く、小音量でも音痩せしない真空管アンプで聴くには適していました。

後半には奥の試聴室に移り、常設のシステム(電源装置:

ART-Power、CDP:ASC-1420CD、DAC:ASC-DAC9、プリアンプ:ART-PREⅦ、チャンネルデバイダ―:Belinger(改造品)、メインアンプ:ASC-845J×2のマルチ、SP:アルテックのホーン(中高域))JBL4560にJBL38cmユニット(低域)、ケーブル類は全てART-Cableシリーズで聴いて頂きました。

ソースはセンターとの比較のため同じものをメインに試聴しましたが、こちらはフルスペック構成のため、センター試聴室よりも奥行き感、音の広がり、楽器の大きさ、ホール全体の響きなどの再生能力が高く、クラシックからジャズ、ロックまでジャンルやソースによらずに自然で心地よい音楽が聴けます。参加者の方々からもセンターでいくら良い音と感じてもメイン試聴室では心地良さが違うと好評ですが、ここまで整備しないとこの音には成らないのかという逆宣伝になってしまうのではという危惧もあります(笑)。と言っても真空管アンプの特性を活かすようにご自身のライフスタイルと感性にあう音も詰めていのが早道です。

 

次回は9月8日(土)13::00~15:30の予定です。お客様から事前に次回内容を案内して欲しいというご要望がありました。そこで次回はセンター試聴室ではSPに今回の英国製タンノイイートンに加え、ドイツ製テレフンケンの同等クラスのスピーカーでの比較試聴を300B, 2A3アンプで、メイン試聴室ではART-PREの最高峰(名称未定、写真添付)で聴いていただきます。ソースにはイタリアを代表するトランペッター、クリスボッティなどを予定しています。是非楽しみに聴きにきてください。

7月の試聴会の様子と次回予定

7.14(土)の恒例の定期試聴会を開催しました。今年は猛暑の毎日ですが遠路ご参加いただきありがとうございました。今回はセンター試聴コーナーではASC-1215KT(KT120)でまず聴いていただきました。ソースはお客様ご持参のハリーベラフォンテのボーカル、ゲイリーバーツ&ソニーフォーチュンのアルトサックス二重奏、ブルースのオムニバスを聴きました。本アンプはシングルアンプながら中域が厚くジャズやボーカルの熱気を良く再現する定評のある機種です。中でもハリーベラフォンテの「ダニーボーイ」では暖かくノーブルな歌声は現代では稀な哀愁を帯びた熱唱で熱くなります。

スピーカーは主にビクターSX-3を使用しました。

次に奥のメイン試聴室に移動していただきました。今回は常設の

ASC-1420CDASC-DAC9ASC-845Jマルチに加えプリアンプにはオリジナルのPRT-PREⅦで聴いていただきました。また今回はウーファーのスピーカーケーブルにはやはりオリジナルのART Cable TypeS6(従来は同TypeS4)に変更し低域の音圧を向上させています。ソースにはまずセンターとの比較のためハリーベラフォンテの「ダニーボーイ」を聴きましたが、最初のフレーズから「別の音楽に聴こえる」「大人の音楽になる」といったコメントをいただきました。センター試聴コーナーはアンプ機種の比較試聴用で、奥のメイン視聴室は常設のため、システム構成が違うため当然ですが、お客様はその音楽としての聴こえ方の違いに驚かれることが多いです。

今回はまたお客様がアナログレコードも持参されましたので、まずは常設のシステムで聴きました。(DENON DP3000、電源にはオリジナルのART-POWERを使用)

ソースには金子由香里のシャンソンや津軽三味線などを聴きました。常設はオルトフォンのMMカートリッジですが、お客様ご持参のデンオンカートリッジやラインインピーダンスマッチングトランスを追加しての比較試聴も行いました。それぞれの違いは明確に聞き取れ、参加された方々からも違いが良く判るというご感想で音楽のニュアンスの違いを楽しんで頂けました。音の違いを言葉で表現するのは難しいのですが、一部の機器変更がすぐに音の違いに出るのはそれだけ再生能力があると解釈しています。特にピュアオーディオシステムの構築では基礎となる電源も重要なファクターであることは間違いありません。なにせオーディシステムは電気駆動ですから。

話が長くなりましたが、金子由香里のシャンソンから、再度CDの再生に戻り、シャンソン繋がりで本場フランスのバルバラの「黒い鷲」なども聴いていただき気分はパリの街角です。さらにボーカルではボビーコールドウェルのロマンチックな歌声、スティングの抒情、クラシックではバッハの艶やかなバイオリンコンチェルト、チャイコフスキーの潤いと厚みのある弦楽アンサンブル、ジャズではゴンサロの染み入るピアノ、クリーム時代のクラプトンの白熱のアドリブなど時間の許す限り聴いていただけました。参加された皆様からも楽しかった」という嬉しいコメントを最後に頂きました。猛暑が続いていますが次回は8/11(土)13時からですので皆様のお出でを楽しみにしております。

6月の試聴会と次回予定

6月9日(ロックの日?)に6月の定例試聴会を開催しました。まずはセンター試聴コーナーでロック、ジャズの熱気もしっかり再現するMingDA ASC-1215KT(KT120)で聴いていただきました。ソースはロックの名盤の一つのグレッグオールマンのレイドバックを聴きました。アメリカ南部ブルースを基調にリラックスした演奏とボーカルが冴え、独特の雰囲気が味わえます。スピーカーはJBLがギターの音色も活きて気持ちよく鳴りました。

今回はお客様のお一人がご自作のカートリッジ(オルトフォンMC改造品)、MC昇圧トランス、アナログレコードを持参されましたので、他のお客様の了解も得て早々に奥のメイン試聴室に移り、当店常設のアナログプレイヤー(DENON DL1300+オルトフォンΩ)に換装して比較試聴しました。ソースはお客様ご持参のアートペッパー(+イレブン)、ブラームスの5番の他、当店のアールクルー、チックコリア、レッドゼッペリン、エイジアを聴きました。当店常設システムはデジタル音源が中心のため、アナログでのチューニンフはあまり追い込んでいませんが、真空管プリアンプの効果もあり、やはり中身の詰まった生々しい音が聴けました。デジタルでは美味しいハンバーグ(切り刻んで固めた肉)であったものがレアのステーキが出てきたような感覚とでも申しましょうか。帯域が狭かったりごつい所はあってもさらに美味しいです。当時のアナログ録音との相性もあるのでしょうか。真空管アンプの効果はもちろんのこと、アナログ再生にはやはり趣があります。

フォノイコライザーは真空管式が欠品のためオルトフォンのもの(MM/MC)を使用しました。常設のMMカートリッジ(オルトフォンΩ)では出力もあり良い音なのですが、お客様ご持参のオルトフォンのMCカートリッジでは音に元気がありません。そこでまたお客様ご持参のMC昇圧トランス(カスタム製作品)を加えますと俄然元気が良く艶やかな音になり、MCはこうでなくてはという感想になりました。その他、フォノイコライザーの電源やアースの取り方によっても音やノイズが微妙に変化します。アナログで良い音をだすのは良い耳と知識と情熱がデジタルに増して必要ですね。

最後にはまたデジタル再生に戻りまして、いつもよりロックに敬意を払いましてローリングストーンズ、スティングなどを聴きました。今回を機にアナログ再生も妙味を再確認できましたので、さらに試聴会も充実させていきます。

次回は7月14日(土)13時からです。また皆様と楽しいひと時を過せることを楽しみにしております。

5月の試聴会と次回予定

昨5/12に5月の定例試聴会を開催しました。(いつも「ブログには何時でるの?」と急かされますが、今回はなんと翌朝です!)

冗談はさておき店頭の小さなバラやハーブも咲いてお客様をお迎え。

センター試聴コーナーは各種アンプをスピーカーを切替えてご試聴いただけますが、お客様のリクエストでミンダのASC-3023BA(2A3付)とASC-1215KT(KT120andKT150)でジャズを聴いていただきました。ソースには以下の写真にもありますキャノンボールアダレイ、アートブレイキーとジャズメッセンジャーズなど。

3023BA(2A3)は美しく端正な音色が特徴ですが自然かつ充実した音色で、演奏開始すぐに「まるでレコードで聴いているようですね」などのお声が聴かれました。サックスの音色に艶があり、ドラム、シンバルの音も心地良いです。次にアンプをパワフルな1215KTに替えて同じソースで聴きましたが、KT120では特に中域が厚くジャズの熱気、醍醐味が味わえジャズのお好きな方にはグッとくる音色です。KT150に差替えますとさらに低域が広がり音場も広がりジャズよりフルオーストラなど雄大な表現に最適な音色になることを感じていただけました。本機は1台で2度美味しいアンプと言えます(何度でも味わっていただけますが)。スピーカーは最初はアルテック銀箱でしたがJBLにしますとJBLオーナーの方からは「やはりジャズの熱気が出ますね」と好評でした。

メイン試聴室ですが常設のASC-845Jマルチアンプ構成ですがプリアンプにART-PREⅦ(セブン)を使用して聴いて頂きました。ソースにはお客様ご持参の寺村容子ピアノトリオを中心に女性ボーカルではサラボーン、男性ボーカルのスティング、室内楽曲ではバッハのブランデンブルグ第6番、フュージョンジャズではウェザーリポートを聴いて頂きました。特にピアノ特有の微妙な響板の不協和音や原寸大の音場を再現するのは、かなり難度が高いのですが、今回のソースは寺島氏のレコードだけあってごりごりしたベースやバシッとしたドラムスの録音がジャズの美味しい所を押さえている上、レトロ感のある潤いと憂いのある音楽で、お客様と一緒に聞き惚れてしまいました。特にダニーボーイとバーボン通りの月は感動的でした。

次回は6月9日を予定していますので皆様のお越しを楽しみにしております。

4月の試聴会の様子と次回案内

4月14日に定期試聴会を開催しました。トピックスは新しい真空管プリアンプのART-PREΘ(仮称)と電源装置ART-POWER CUSTOMで、両者をメインシステムに設置して聴いていただきました。今回はメイン試聴室のみで約3時間の大試聴会と相成りました。

ART-PREΘ(近日詳細ご紹介予定)は、真空管は6J5メタル管、37、6X5(RCA),レイセオンの電源トランス、WEのチョークトランス、プレートチョーク、出力トランスを搭載したこれまでのART-PREからさらにグレードアップした製品です。またART-POWERは製作例3でご紹介した内容の製品で117V1系統をプリに、100V2系統をCDPとDAC接続して聴いていただきました。

全体としては従来とはさらに違った落ち着きと静けさが増し、音楽が極めて自然に聴けるようになっています。以前にいらしたお客様からも「音の出方が全く変わった」「毎回、音が良くなっているのに驚きます」と言った感想を頂きました。ソースはお客様のリクエストのジャズギター、ジャズピアノを皮切りに、女性ボーカルはスラヴァ、エラフィッツ=ジェラルド、ホーリー=コール、マーカス=ミラーのジャズエレキベース、クラシックではバッハのブランデンブルグ6番、チャイコフスキーの悲壮等を聴きました。一つのシステムで全てのジャンルを鳴らしきるのは一般には難しいと言われていますが、電源装置と最高峰の真空管アンプの効果は絶大で、自然な響き、奇をてらわず純粋でストレートな音がそれを可能としています。お客様のご感想も、高音が綺麗だとか低域の響きがどうであるとかと言った、所謂オーディオ談義はほとんどなく、皆様真剣かつ純粋に音楽を楽しまれ、試聴会というより音楽会という雰囲気で、3時間があっと言う間に過ぎてしまいました。

音楽性豊なソースをオーティオシステムで芸術の域で聴けることの喜びを共感できる試聴会となりました。

次回は5月12日(土)13~の予定です。また皆様のご参加を楽しみにしています。

2月の試聴会の様子と次回予定

2月の試聴会を2/8(土)に行いました。今回はセンター試聴コーナーで3極管シングルアンプのミンダのASC-845JとヤーランドのTJ300/2A3-S2のアンプの2台をパワーアンプとして使い、当店オリジナルのART-PRE(真空管式プリアンプ)の新シリーズのMARINE WAVE V(整流管式)試作機と組合せて聴きました。ASC-845Jは大型3極管845、TJ300/2A3-S2は300Bと2A3のコンパチ機ですが今回は300Bで、CDPはj常設のASC-1420CD、SPは主にALTEC612(通称「銀箱」)です。ソースにはフュージョンの先駆者のデオダートのデビューアルバムからボサノバを数曲、グラムフォンのベスト盤からブラームス番第3楽章など、ジャズではお客様持参のオーディオファンズオンリーから数曲、ジャズピアノでは山下洋介のSentimentalからアグレッシブな演奏. その他アンドレ=シェフスキーのピアノでバッハのパルティータ2番などを聴きました。まずASC-845Jですが当店のメインシステムの常設機でもありオールマイティは性格の実力機で最初はプリ無しでも十分にダイナミックでフラットな音ですが、プリを介しますとその長所がさらに伸びるといった印象で、端正かつ力強さ、繊細さに磨きがかかります。オーケストラの雄大さからピアノの繊細さもリアルになります。プリの有無を比較試聴しますと一聴瞭然?でお客様にもこの違いを感じて頂けました。実際に一度プリを介した音を聴いてしまうと戻すのは心苦しさを感じますが比較試聴ですから仕方ありません。次にパワーアンプ側をTJ300/2A3-S2に切り替え、やはりプリ有無で比較しました。本機も左右独立電源や大型トランスで845よりは低出力の300Bですが銀箱は能率の良いSPでもあり力不足は感じませんし、弦楽器の艶や伸び、芳醇な表現力に特徴があります。プリを介しますとさらに力強さが増して音の密度が上がるイメージで音楽がより滑らかに弾んで聴こえてきます。ジャズでもシンバルの音などが鮮明になります。全体的にはASC-845Jはパワーもありフラットで音のコントラストが自然で、一方のTJ300/2A3-S2は音の艶や伸び、芳醇さに特徴がある傾向と言えます。また今回のプリは整流管に6X5を採用しB電源トランスとヒータートランスを独立させ、増幅管にはWE417Aを奢っていますので、比較的小型でシンプルな構成ながらWE系の音作りが特徴です。近日発売予定ですのでご興味ある方はお問合せください。ご試聴もできます(事前予約要)。<下に続く>

後半はメイン試聴室で聴いていただきました。システムの変更点はホーン上のスーパーツィータ―のレベル調整を詰めたところです。ただし不思議な現象として当初はレベルが強すぎると感じ順次抵抗値を増やし聴感上、自然に聴こえるレベルに詰めていきましたが、ホーンとウーファーを切り単体にすると全く音がしていません。しかし試聴を繰り返しますとやはりある方が定位や全体の音の張りが改善します。スペック上は可聴範囲以上の40kHz程度まででますので20kHz以上の音が全体に影響していると考えられます。

これまで定番のJBL075など何種類かのツィータを試してきましたが一番自然に纏まったと思います。これは今回ご参加の皆様の中のリピーターの方からも異口同音に前回より自然に聴こえるという嬉しいご感想をいただきましたのでプラシーボ効果ではないと思います(笑)。

ソースには前述と同じもので選曲を多少替えて聴きましたが、大型システムの特徴の余裕と余韻のある音場やスケール感が加わるため音楽に浸るという感覚になります。温泉浴ならぬ音泉浴?でしょうか(笑)。「百聞は一聴にしかず」でしょうか。

次回は3/14(土)13:00-15:30を予定していますがコロナ肺炎の影響大の場合は延期する可能性があります。

その際は事前にイベント欄に掲示しますのでご注意ください。

 

内容は今回ご紹介しましたオリジナルプリアンプART- PRE の整流管方式のMARINE WAVE-V(写真下側)、およびダイオード整流式MARINE-WAVE-D(写真上側)の比較試聴、パワー側アンプにはTJ300/2A3-S2を300Bから2A3に差替えて聴いて頂く予定です。

 

真空管アンプってどうゆう音がするの?普通のトランジスタアンプとどう違うの?という方から、鋭い聴感と拘りでオーディオ道を歩まれてきているベテランの方までご興味ある方のお越しをお待ちしております。なお「試聴会」はいかついイメージがあるというコメントもありましたが、楽しく音楽を聴く雰囲気でやっていますのでお気軽にお越しください。随時のご試聴も承っております(2時間程度、不定休のため事前ご連絡ください)

 

令和2年1月の試聴会の様子と次回予定

令和2年初の試聴会を1/11に開催いたしました。センター試聴コーナーではヤーランドのTJ845/211-S2(211付)とミンダのASC-845J(845)の豪華競演(共演¿or協演)としました。またプリアンプには写真の奥の緑色のオリジナル(WE141プリアンプのレプリカ機)を使用しました。SPにはアルテック銀箱を主体に聴きました。ソースにはカブリエラ=アンダースのWantingというアルバムからイパネマの娘などの爽やかで小粋な歌声、ロックではクリス=レアのThe Blue Cafeというアルバムからタイトル曲など渋いボーカルと厚みのあるエレキギター、、ケニー=バロンのピアノトリオ、ウィントン=マリサリスの正統派ジャズトランペットを聴きました。まずASC-845Jは当店の定番商品でメイン試聴室ではウーファードライブにも使用している優秀機。今回は前述のWE141レプリカのプリを介していますので一層音色が濃く、音の階調も豊に再生され、どの音楽も芳醇で力強く、かつ繊細な響きです。次にプリはそのままでヤーランドのTJ845/211-S2(211付)で聴きますと、音の艶、コクといった要素が増してさらに芳醇な音色に聴こえました。これは845と211のキャラクターの違いもありますが、後者は左右独立電源など構成、物量的に上回っていますのでその分、濃厚な音色といった違いがあります。ただし前者のミンダも諧調の自然さやストレートで均整の整ったフレッシュな点では勝ると感じられたというお客様もいらっしゃり、やはり豪華競演ならではの結果と言えるでしょう。ワインで言えばビンテージとボージョレヌーボー?どちらかというとヤーランドはよりクラシック向き、ミンダはオールマイティなジャンルに向いているようです。このあとリクエストがあり上述のオリジナルプリ(WE141レプリカで真空管は本来は347ですが6J7を使用、OPTにはWE、電源・チョークはUTC等で本物に肉薄しています)の効果もありますので一度外しても聴きました。実はこのプリを介すと格段に音楽の品位と言いますか、文化の香りとも言うべき味が出てきます。例えばクリス=レアは渋いボーカルが有名ですがこんなにギターが上手だったのか、各弦のバランスやアップ、ダウンストロークや和音が良く聞き取れ小気味よく決まります。外しますと結果はやはり色彩感や解像度が一段下がるイメージですが聴き比べて初めてわかるレベルとも言えます。ただしこの差が音楽の機微、ニュアンスを楽しむ上では大きいとも言えますからプリの存在はやはり有為と言わざるを得ません。このプリも当面は店頭で試聴できますのでご興味ある方は是非聴いてみてください、一台限りで価格応談とさせていただきます。

(次に続く)

次にいつものようにメイン試聴室に移動して聴いていただきました。今回のシステムの変更点はオリジナルのプリアンプ(詳細は前月号などご参照]の出力段を若干調整し低域をやや締めたこと、ホーンの上にスーパーツィータを加えたこと。前者はソースの信号レベルが大の時にやや暴れる傾向があったため改善、後者はこれまでJBL075など定番のッィータを加えてはいましたがいずれも主張が強すぎる傾向でした。レベルを絞っても音色が合わないのか不自然でしたが今回はリボンツィータが良かったのかうまくマッチして違和感なく自然で定位や音の張りが向上しています。ソースにはスティングのアルバムSacred LoveとMy Funny Valentineから多様なボーカルと凝った楽曲構成と見事な録音、山下達郎のOn the street corner 1の一人多重録音の圧巻のアカペラ、アルバムBest Vicesからシックは女性ボーカル、べーム指揮ウィーンフィルでブラームスの3番第3楽章の華麗で荘厳な響きなどを聴きました。これまでもホーンで高域は十分出ていて、リボンツィータ―は耳を近づけても聞こえないほどに絞っていますが、それでも全域の音感や定位では明らかに自然に聴こえリラックスして聴くことができるとのご感想でした。恐らく20kHz以上(原理的には80kHz位まで出るそう)で可聴範囲を超えて音としては認識できなくても定位感や自然さとして肌で感じて頭では感知しているのでしょうか?実はツィータのレベルについてはその後も抵抗値をいろいろ変えて実験しているのですが奇妙な現象も生じてましてこの話は次回に。ソースの最後にはブラジルのフュージョンのパイオニア、デオダートの2ndアルバムから数曲。天才的アレンジで魔法のような音の構成、楽器の使い方など録音の良し悪しよりアイデア溢れるメリーゴーランドのような世界に酔ってしまいそう、参加の皆様にも居場所を忘れるほどのインパクトがあったと思います。

次回は2/8(土)13~15:30。上述のツィータ―の後日談とさらなる改善結果、アンプはヤーランドのTJ300/2A3-S2(300B)などを予定しております。また皆様お誘い合わせの上、お越しください。

12月の試聴会の様子と次回予定

2019年最後の試聴会を12/14に開催しました。今回はリピーターの方や遠くからご参加の方からもメールを含め貴重なご感想も頂きましたので随所に引用させて頂いています。まずセンター試聴コーナーで人気上昇中のYARLANDの大型アンプのAUKLET-150J-3(写真左側)とTJ845/211-S2(写真右側)の2機種を聴きました。前者はKT系など数10種種類の出力管と差替えて聴ける究極ののコンパチアンプで今回はKT150で、後者のTJ845/211-S2も大型送信管845と211にコンパチ機で今回は211で聴きました。

ソースはブラームスの1番第1楽章、ドヴォルザークの8番第3楽章、ヘンデルの王宮の花火の音楽の第4曲「歓喜」、お客様持参のスティングの「The journey and the labyrinth」からボーカルとリュートのデュオ、ゴンサロルバルカバの「suite 4y20」からピアノ曲を数曲聴きました。

前者アンプですがKT系は力強さなどに定評がありますがプッシュプルでは中高域に艶と伸びやかさが加わり左右独立電源や手巻きトランスで絶妙なバランスと素晴らしい音質でクラシックを含めオールマイティな再生能力となります。 スピーカー(以下SP)は常設のアルテック銀箱、タンノイのイートン、JBLモニター、そして60年代の旧東独製を切替えて聴きましたがそれらのポテンシャルを遺憾なく発揮し鳴らしきる実力があります。アルテック銀箱は高能率で良く鳴るのは当然ですが、東独SAVAフルレンジやテレフンケン2WAYからも今まで聴いたことのない雄大なシンフォニーが聴こえてきます。参加の方からは「音、作りとも立派でこれまでの真空管アンプの自分の常識を超えていてる」とコメントを頂きました。また最新の高出力真空管アンプで古いSPの組合せとなりましたが「ビンテージSPはアンプ回路と同様、オリジナルへのリスペクトと共にその時代の音があり、その音を知っている人には何にも替え難い音、さらに今時の低インピーダンスSPでも聴いてみたい」との貴重なコメントも頂きました。まだ慣らし運転中で実力発揮もこれからで日に日に良くなっていますのでドライブ能力を活かす意味でまたの機会に試してみたいと思います

次に後者のTJ845/211-S2を大型送信管211で聴いていただきました。845とコンパチ機で差替え時は上面のスイッチを切替えて行います。シングルアンプですが出力も十分あり、ビンテージSPとの相性も良く、参加の方からも「およ!?っと思う魅力がある」と好評でした。211/845とも本来は送信管で1000V1/845とも1000V近いプレート電圧を加えないの実力が発揮されない傾向ですが本機はしっかり加えているようで、安価な500V程度のただ鳴っているものよりはるかに魅力的な音色と深みが感じられます。「ちゃんと送信管の特性を活かした使い方をしているのでしょう」というマニアックなコメントも頂きました。またビンテージSPについては「楕円SP,当時の家具調のシステムや大型ラジオに多かった記憶ですが、今回拝聴した後方開放の東独楕円SP(テレフンケン、SAVA)は聴きやすく長しっぱなしの音楽にちょっと欲しくなる音でした。上から下まで出しきるSPも必要ですが普段のBGMにはこんなSPがピッタリで昔の音とは程遠い音にビックリしました」とわが意を得たりのコメントも頂きました。なおこれらのSPは店頭では販売もしておりますなお今回の両アンプともモデルチェンジ間近の在庫限定品ですのでご興味ある方はお早目に。プリアンプには写真の奥側のオリジナルプリアンプを使用しました。417真空管を採用した新開発の試作機で左右独立ボリュームと大型電圧計、ブルー側板を配したコンパクトな構成、ダイレクト感のある切れの良い音で、ART-PRE WAVEシリーズとして発売予定です。ご期待ください。(下の続く) 

続いて奥のメイン試聴室で聴きました。今回の変更点はDACに常設のコンサートマスターDAC-9に替えてAPOGEE DA1000E-20という当時のプロスタジオで使用されていたもので聴いて頂きました。

その他のシステムは変更なしてす(MingDa 500CD, オリジナルART-PRE Wave試作機、ASC-845J+オリジナルアンプ、アルテック513C、JBL375他)。ソースには前出のものに加えてヨーヨーマのチェロ曲、ベルリンフィルでプロコフィエフの「ピーターと狼」、12月にちなんでフルトベングラーでベートーベンの第9「合唱」、男性ボーカルではスティングを数曲聴きました。APOGEEのDACでは解像度が上がり中域が際立って鮮明に聴こえます。ただし立体感という点では参加の方からも音が中央に寄って違和感があるというコメントも頂きました。実は本DACはスタジオで採用されていたらしくモノラル盤をステレオ装置で再生すると良くなる効果、すなわちある帯域(1000Hz以上?)はモノラル合成機能があるらしく、現に上述のモノラル盤の「合唱」ではフルトベングラーの情熱的な演奏が大いに聴き取れました。反面ステレオ録音盤ではやや違和感が生じるようでした。そこで常設のDAC9に戻しますとステレオ盤も自然に感じられました。DAC変更では音源が変わりますから自然な再生音を得るためにはその都度、クロスやゲインを微調整して合わせ込むのに時間が必要になります。今回のDACは常設からの変更でやや実験的な試みとなりましたが、モノラルの貴重な音源をステレオ装置で再生するのに拘りのある方には参考になっていれば幸いです。全体的には今回初めて参加された方からも「ホーンのマルチアンプ方式の良さが判り、独自のウーファー、ホーン、アンプの組合せで自然な音に合わせ込まれていると感心しました」というお褒めの言葉も頂きました。

次回は2020年1月11日(土)13:00-15:30(今年も参加費500円、コーヒー付)で開催します。

メインシステムでは40kHzまで出るリボンツィータ―を追加し定位向上を図っております。

また本年も皆様のご参加と音楽談義、オーディオ談義を楽しみにしております。

 

11月の試聴会の様子と次回予定

11月度の定例試聴会を11/9(土)に開催いたしました。今回はまずセンター試聴コーナーでは当店オリジナルのプリメインアンプ(6Y6シングル)を中心に聴いていただきました。ソースには写真のクラシックのオムニバスから数曲、お客様ご持参のマルウォルドン、エディフィギンスのジャズピアノ・女性ボーカルなどを聴きました。6Y6アンプは出力こそ小さいですが電源トランス、チョークコイル、回路構成など本格派で清廉で豊かな響きで鳴ってくれます。大音量でのスケール感はでませんが中音量でのオーケストラ、ピアノの響きや音色も豊に響きます。スピーカーは能率の良いものとの組合せが良く、一般ご家庭で能率の良いスピーカーと組み合わせるとしっくりきます(商品一覧には掲載していませんがご興味ある方はお問合せください)。当店の例ではアルテックの銀箱、テレフンケンやSABAのフルレンジとの組み合わせが良かったです。一方、能率の点で不利なJBL2Wayなどでは音質、音量とも本領発揮できません。最近の小型ボックスや縦型で2,3Wayで低能率のスピーカーとは相性悪いでしょう。この点は小出力の真空管アンプとスピーカーとの相性を考える上で留意点です。プリアンプ(MC-7R)を加えますとゲインがあがり音量、音質も向上しました。プリアンプは微細な信号を扱い、音楽の最終的なニュアンスを決定づけますので、ご自身の趣向とシステムとを吟味して納得いくものを選定されるのが賢明です。CDプレイヤーには常設のASC-1420CDを使用していますが、アナログ出力には真空管とオペアンプの2系統あり音の違いが楽しめます。後日判明しましたが今回は接続で左右を間違い本領発揮していなかったことをお詫び申し上げます。次回は完璧な状態で臨みます。(以下に続きます)

 

後半はメイン試聴室で聴いていただきました。今回はシステム的には変更点はありませんが、お客様のアドバイスもありホーンの角度をやや外振りに修正しています。僅かな修正ですがやや音の広がり、立体感が増したようにも思います。スピーカーのセッティングは重要ですのでいろいろと試してみる価値大有りです。プリアンプは前回も好評でしたオリジナル機(仮称ART-PRE WAVE1、6J5ドライブ27, WEチョーク、整流管3B24×2本構成)が続投。ソースには前述のものに加え、お客様ご持参の高橋悠治のサティのピアノ曲集、矢沢栄吉の最新版、その他はクライバー指揮ベートーベン7番、ジャズではアートブレイキーとジャズメッセンジャーズの危険な関係のブルース、スティングのボーカル、YESのTALKなどから聴きました。どのジャンルでもその音楽の良さや意図が色濃く(音色濃く?)再現され皆様にも大変好評でした。いつもですがセンター試聴コーナーでも良いと思われてもメイン試聴室では奥行き感など音の広がり、響きが変わり微細な変化もダイナミックに再生されるので音楽として聴いている部分が自然に移り違った音楽の様に聴こえます。これが音楽の深い所で、YESの様な電子楽器が主体であっても音色の変化やエコーの懸け方、残響音の処理、音の重ね方などの機微が再現されます。アコースティック音源ならなおさらです。お客様ご持参の音源もここで聴くと印象が変わるので驚かれます。冗談半分と思いますが「これは自宅では無理だから時々ここに聴きにくれば良いや」と言われます。試聴室は真空管アンプでの音楽の楽しみの一部を伝える目的ですので、ご自身の音楽を楽しむ感性と情熱、審美眼(審音耳?)でご満足がいくシステムをご自宅で構築されることが一番だと思います。それぞれに心地よいと感じる音楽は違いますしご自宅の環境によっても変わります。大切な音楽鑑賞のご趣味をカタログや雑誌の評論家のコメントを頼りに集めていたのでは収拾つかず音楽の森に迷いこんでしまうかもしれません。ご自身の感性を大切に。試聴中の写真を撮り忘れましたので、そして誰もいなくなった祭りの後の状態の写真ですが掲載しておきます。

次回は本年最後になりますが12月14日(土)13:00~15:30の予定で、YARLANDの845/211シングルのコンパチアンプなどを聴いて頂く予定です。皆様のお越しをおまちしております。

10月の試聴会の様子と次回予定

10/12(土)に10月度の試聴会を開催しました。今回はメイン試聴室で新オリジナルプリアンプの試作機(仮称ART-PRE WAVE)を中心に試聴していただきました。本プリアンプは6J5ドライブ27, WEグリッドチョーク、WEプレートチョーク、高圧用半波整流管3B24を2本使用しバランス入力2系統など本格派で、切れ味良く芳醇な音色と響きが特徴です。トリタン球特有にまばゆいフィラメントの如く、音色も華やかに整い、音も前に出てきて立体感も良くでます。ソースにはお客様ご持参のハイディング指揮の火の鳥では重厚かつインパクトのある演奏、フルトベングラー指揮の第九、運命では古い録音(後者はモノラル)ながら重厚で鬼気迫る情熱的な演奏が堪能できました。ポップスでは米倉利紀、MAYAのボーカルが眼前に展開され、アコースティックギターの定番のクラプトンのアンプラグドではギターの弦を弾く感覚が生々しく聴けました。ピアノではキースジャレットのケルンコンサートの冒頭5分位を聴きましたが、定評ある名録音とはいえ美しく崇高なまでに研ぎ澄まされた響き、一転して山下達郎のポケットミュージックでは種々の音が見事に調和した音楽と録音の冴えを十分に楽しめました。リピーターの方からも以前より音の反応が速くライブ感があると大変好評でした。CDやデジタル音源全盛の現在はプリアンプ無しでもそれなりに良い音はでますが、良いプリアンプを介しますと音の纏まり、揃い方、勢いと言った部分がより音楽的な響きになります。以前にも書きましたが極端な言い方をすればプリの無い場合はオーケストラなら指揮者のいない全体自主練習、プリを介す場合は指揮者がいる本番演奏といった感じでしょうか。ただ本機は発熱大のため冷却ファンを内臓しており風速は2段階に切替可能ですが近くですとシャーという音がします。気になるようでしたら前面を板などで簡単に遮へいすればかなり改善されます。本機は試作機ですが好評でしたので商品化を予定しています。ご期待ください。(下に続く)

後半は予定していましたSACDとCDの聴き比べもしながら進めました。SACDは音が良いというのでお客様も持参されることがあります。今回はSACD/CDのハイブリッド版で同じ録音を両者で聴き比べましたが、プレイヤーはメイン試聴室ではオンキョーC-S5VL、センター試聴機オーナーではパイオニアDV-S74Aという普及機を使用しました。センター試聴室ではプリアンプにはミンダのMC-7R(ただし整流管はエレクトロハーモニックス5U4Gに交換)、パワーアンプにはミンダASC-1215KT(KT120)を使用。ソースにはカルロス=クライバー指揮ブラームス4番のライブ録音盤、浪速ジャズと言われるAYADO CHIEなどを聴きました。SACDでは全体的に滑らかになり、低域から高域まで帯域が伸びて聴きやすい印象になりますがやや作為的にも感じます。一方のCDでは力強さや音楽の一体感、塊感や自然なニュアンスは感じられます。SACDでもCDでも録音現場やミキシングなどの後処理に人為的な操作が入りますし、今回使用した機器も限られた条件になりますがSACDの方がオーディオ的に良く聴こえるように工夫されていますが、CD音源でも再生機器を吟味すれば十分楽しめるという都合の良い(笑)結論にここではしておきます。最後にはカルロス=サンタナの「サルバトールにブルースを」のワウワウペダルを駆使したカデンツア的な入魂の演奏を聴いてサラバとなりました(笑)。次回試聴会は今週末11/9(土)13:00-ですので皆様のお越しをお待ちしております。

9月の試聴会の様子と次回予定

9/14(土)に月例試聴会を開催しました。今回はブログアップが遅くなりすみません。いつものようにまずセンター試聴室から始めました。今回はパワーアンプにMingDaのASC-1215KT(KT120付)、プリには①MingDaのMC-7R、常設のオリジナルの②WE717Aアンプと③プリ無しの3通りで比較試聴しました。SPはタンノイEATONとしてソフトにはジャシンタ、ジェームス・テイラー、お客様ご持参の「すばらしいいコントラバスの世界」、山下達郎のアカペラ多重録音盤などを聴きました。まず③プリ無しでCDPから上記パワーアンプに直結し(注:本機はボリューム付で音量調整できます)聴きました。これだけ聞けば十分に良い音で鳴ってくれます。KT120はシングルですがパワーもあり本SPでは音量も十分です。次に①プリを介しますと俄然音の張りが出てきます。開梱したばかりで慣らし運転ですが全体に音場が広がり雄大さが加わりややまろやかになりました(注:数日後にはさらに良くなり、その後いらした参加されたお客様も確かに良くなったとコメントいただきました。プリは非常に微細な信号を扱いますので、電源や配線の取り回しなど少しのことが音の変化になって現れます)。さて最後に②プリを介して聴きました。さすがWE717A球を使っていますので小型ながら音に芯が出て全体に引き締まった豊かな響きになります。皆様にもその差異とプリの効果を再認識して頂けたと思います。当店の商品を含め真空管パワーアンプではCD直結でも良い音ですが、本来はインピーダンスマッチングの観点からもプリを介しますと全体に音がまとまり、小型・中型SPでは低域も締まって出てきます。以前にも書きましたがオーケストラで言えば指揮者のいない全員練習と、指揮者がいる本番演奏の違いといった感じでしょうか?真空管アンプをお持ちでさらなるステップアップを検討するならプリ導入が有効です。真空管グレードアップの効果も大きいです(ジャンプアップになるかも)。

今回はお客様ご持参の小型SP(マークオーディオ8cmフルレンジ)でも鳴らしまた(写真の白木のSP)。バスレフとバックロードの良いとこ取りの工夫をして自作されたとのことで、全域フラットな印象で小口径ながら低域の音量も十分に出ていてコントラバスも良く再現されボーカルも良かったです。ボーカルが良いと一般に長時間聴いても自然で聴き疲れがなくバランスが良い様です。

次にメイン試聴室で聴いていただきました。SPシステムはホーン(JBL375ドライバー+2397ホーン)とウーファー(JBL4560エンクロージャー+ALTEC515Bウーファー)の2Wayでクラシック、ボーカル、ジャズ、ロックなどジャンルをわず聴きやすく、かつ迫力ある音を標榜しています。立体感、奥行き感ある音楽に聴き入っていただきました。やはり大型SPと真空管アンプならではで演奏者のニュアンスや熱気まで感じられ音楽が何倍も楽しめます。

次回は台風接近により一週間延期し10/19(土)13:00~15:45に開催します。新オリジナルプリ(6J5ドライブ27, WEグリッドチョーク、プレートチョーク、高圧用半波整流管3B24を2本使用など本格的な構成)で切れ味良く芳醇な音色と響きをお楽しみいただく予定です(最後の写真ご参照)。またご要望によりSACDでの試聴も予定しています。

今週末ですが皆様のお越しをお待ちしております。

8月の試聴会の様子と次回予定

本日(8/10)、8月の定例試聴会を開催しました。猛暑の中、お越しいただいた方々、ありがとうございました。

今回もまずはセンター試聴コーナーから始めました。今回からCDPを従来のマランツのCDP630からコンサートマスターのASC-1420CDに変更しています。マランツも元祖フィリップスのピックアップを採用したプロ用録再機能付り定評のあるものですがASC-1420CDの方が芯のある素直で純朴な音になりました。CDPは極力色付けの少ないものがシステムとして纏まります。リピーターの方からも低域も安定してずっと聴きやすくなったと好評でした。

試聴ソースにはお客様持参のものを中心に、女性ボーカルではシャーディーのLove Delux からNo Ordinary Loveなど、ジャズではアートブレイキーとジャズメッセンジャーズのMornin, 自然賛美的なピアノのジョージ ウィンストンのAutumn、ジャズピアノではキースジャレットのThe Melody at night with you、スティーブキューントリオのLove Walked Inから数曲、男性ボーカルではハリーベラフォンテのダニーボーイを聴きました。

アンプは①Ming-DaのASC-902B(KT90シングルアンプ)、②同ASC-300BTC(300Bシングルトランス結合アンプ)、③YARLANDのTJ84-P(EL84プッシュプルアンプ)、④Concert MasterのMC-13S(6CA7プッシュプルアンプ)の4機種、スピーカーはテレフンケンの2Way(店頭販売中)とJBL4408Aの2機種を中心に聴きました。全ての組合せは時間の都合でできませんが、それでも①はKT90の特徴の太くて力強くかつ艶のある音の傾向、②は3極管300B特有の優美さと奥深さ繊細さが味わえ、③は小型ながら清楚で纏まりの良い音、④はプッシュプルらしいハイパワーかつ中域の艶と弦楽器の美しさが印象的という傾向は皆さん感じ取っていただけたと思います。スピーカーについてはテレフンケン2Wayはスピード感、応答の良さと繊細さを持ち、JBL4408Aはモニター機らしいカッチリとした手堅く元気の良い音で、それぞれの特徴が良く発揮されています。

皆さん色々なジャンルの音楽がお好きとのことですが、組合せによって再生される音楽の印象はかなり変わります。是非ご趣味にあった音の傾向、組合せを発見していただきたいと思います。近所への買い物に高価なスーパーカーは不要ですが、楽しいドライブに最適な車を見つける様なイメージでしょうか。カタログの文面やオーディオ評論家の記事を参考にして予算の範囲で高価な機種を揃えていってもご自身の求める音、満足いく音には到達しにくいでしょう。オーディオ機器はスペックや価格よりご自身の感性が大切です。趣味性の高いものですからその探求プロセスも楽しみながらアプローチするのが一番だと思います。

(下に続きがあります)

 

後半はいつもの様に奥のメイン試聴室に移動して聴いていただきました。センターとの違いは音楽のスケールが実物大に感じられることです。これは単に音量という意味ではなく、各楽器の音色、強弱、余韻、声の息遣いやハーモニーなど音楽性に関わる要素の全てに関係している違いです。これらがバランス良く再生できていればあまり音楽のジャンルを問わず楽しめます。

ソースには前述のアートブレイキーのMorninの比較試聴を皮切りに始めました。同じソースでも細かい部分や陰影が表現されるため違った音楽に聴こえてきます。続いてお客様ご持参のホロビッツ晩年のLive In Moscowから才気と技術が見事に調和した円熟の演奏、昭和のジャズから雪村いずみ・広田美枝子・美空ひばりの懐かしくも凛々しい歌声などを聴きました。ただ再生能力が高まると当時の録音技術の限界も露呈しますがそれは仕方のないことです。音源を100%楽しめていると考えましょう。お客様のソースが一段落したので当方の独断でハードロックでレッドゼッペリンのGood times Bad timesのワイルドでエッジの立った迫力ある演奏とボーカル、フュージョン系ではデビィットサンボーンのInsideからうねるエレキベースとサックスの絡み、キースジャレットのケルンコンサートのホールトーンが美しい冒頭部分、クラシックではオーケストラ版の展覧会の絵の管楽器と弦楽器が織り重なる冒頭部分、ビバルティの四季の春の小鳥のさえずりを思わせる明るい冒頭部分、そして最後はクリスボッティの傑作アルバムLive in Boston からTime to say Goodbyで終演としましたが、期せずしてお客様から拍手が起こりました。初めて参加されたお客様からは「真空管アンプは良く知らなかったのでもっと小型で骨董品、アンティックの様なノスタルジックなものかと考えていたが実際は全く違い、トランジスターアンプとも違い迫力ある良い音で感動した、良い体験をした」と嬉しい感想をいただきました。真空管オーディオの世界にようこそ!

次回は9月14日(土)13:00~15:30の予定ですので皆様お誘い合わせの上ご参加ください。

7月の試聴会と次回予定

7月13日に定期試聴会を開催しました。今回はまずセンターで当店の旧ドイツ製、英国製、米国勢スピーカーとアンプにはASC-902B(KT-90シングルアンプ)、ASC-300BTC(300Bトランス結合アンプ)を組合せて聴いていただきました。ソースには今回はお客様持参のもので五木ひろしBEST SELECTIONから人間味あふれる歌謡曲、ヨーヨーマ Plays Japanから麗しい音色のチェロで日本の調べ、JIMSAKUでは日本のヒュージョンらしいシンプルでシャキッとした演奏、その他、小林靖浩のアコーディオン、木村好夫のレキントギターなどを聴きました。いつも店主の独断の曲ですが、今回は日本色が全面に出て皆さんも聴き慣れたメロディ、歌声、演奏で種々の音色の違いを楽しんでいただけました。センターのシステムは中規模ですが、音楽性は豊かで真空管アンプの特徴の中域の厚みや温かさが実感して頂けたと思います。さらに写真の白木の中型スピーカーはお客様が自作されて持ち込まれたものですが、後面が2面開放で6角柱形状のしっかしりた構造で、中域の厚みと張りがあり充実感のある音でした。最初はユニットは秘密とのことでしたが、ネットを開けて種明かしされるとわずか7cmのフォスターのシングルコーンでびっくり。それではと当店で似た音色の傾向のタンノイのEATONと聴き比べました。こちらは同軸2Wayで物量も違いますので弦の艶や低域のリアルさなどはさすがタンノイに貫録がありますが、それに肉薄した良い勝負であったと思います(冷や汗)。

次にメイン試聴室で聴きました。今回はシステム的には前回と同じで以下の構成です。再生~プリアンプまでは電源装置(オリジナルART-Power S)~CDP(MingDa 500CD)~DAC(Concert Master DAC-K9)~プリアンプ(オリジナルART-PRE S)。以降は電源装置(オリジナルART-Power)×2~チャンデバ(Belinger×2)~パワーアンプ(ASC-845Jfor Woofer、オリジナル6550for Horn)という構成です。WooferはALTEC515C、BOXがJBL4560、Horn Driver(375)。こちらは音色の他、定位、余韻、奥行き感が加わりますので音楽もより深い所まで楽しめます。

ソースにはお客様持参のSteve Kuhn Trioのジャズピアノトリオ、モノラルソースでフルベングラー指揮のベートーベンの田園、久石譲のMelody Blvd. 女性ボーカルのオムニバス、辻井伸行のピアノでチャイコフスキーピアノコンチェルト等を聴きました。いずれも奥行きや録音の環境、演奏者の熱気、ボーカルの繊細な息遣いなどがはっきりと再生されるため血の通った音楽をダイナミックに楽しめる違いがあります。田園はモノラルソースで古いアナログ録音で帯域やダイナミックレンジは狭いはずですが臨場感や演奏の気迫が感じられました。女性ボーカルもそれぞれのシンガーの特徴が良くでてきます。ピアノコンチェルトではピアノとオーケストラとが混濁せずバランス良く正に「協奏曲」として楽しめます。再生能力が向上しますとソースも軽音楽的なものより重厚なもの、丁寧に録音されたものに差が出てきます。それでもお好きな音楽ソースを同じ時間かけて楽しむなら、やはりより美味しく味わって聴くのが良いですよね。上記のシステムはお客様のコメントも活かして種々工夫して現在に至っていますが、音楽再生の趣味を皆様と楽しみながらお手伝いできると良いなと思います。最後にはディズニー映画のポカホンタスのサントラ版から「愛のテーマ(If I never knew you)」を映画のエンドロールの様に聴いて頂いてお開きとなりました。

次回はお盆休みにかかりますが、8/10(土)13:00~15:30ですので皆様のお越しをお待ちしております。

 

6月の試聴会と次回予定

6月15日に毎月第二土曜日定例の試聴会を開催しました。センター試聴コーナーでは、アンプに当店での中堅機種のKT90シングルアンプのASC-B902, それとKT120シングルアンプのASC-1215KTで聴いていただきました。前者は従来から定評あるミンダの中核機種のMC368-B902 の後継機で中央のVUメーターが無くなりすっきしたデザインになりました。VUメーターはあった方が良いという方もいらっしゃいますが有効活用されている方は稀でしょうからデザインの一部でしょうか(笑)。なので両者のデザインは似ていますが両者の出力管の形が当然違います(笑2)。音の傾向は前者はKT90の力強さと艶が絶妙にバランスした塊感のある音が特徴です。何でもこなしますが特にジャズ、ボーカルなどが得意分野です。後者はKT120でKT90の高出力、高性能版でシングルとしては非常に大きな出力(25W×2)が特徴です。音の厚みが増して全体の迫力とバランスに優れていて、ジャズ、ロック、オーケストラも良いです。KT120は高出力管で発熱量も多く本アンプではそのポテンシャルをフルに引き出しており、それが音にも表れています。

ソースには写真にありますものを中心にお聴きいただきました。参加者が持参されたものも含まれております。女性ボーカルでは日本の至宝といわれる①伊藤君子のA Natural Woman、続いて②スウェーデン代表Monika ZのVARSAMT、当店定番のトランペットの③Chris BottiのSlowing down the world, サックスの④Derrick JamesのThink positiveなどを聴きました。①はジャズやポップスのスタンダードナンバーをストリングスを含めたアレンジのアルバムですが、洋楽でありながら日本風になるのは独特のビブラートがどこか演歌にも通ずるからでしょうか。美しい歌声のなかに日本人独特のしっとりした味が聴き取れます。②はアンニュイな雰囲気と現代的なアレンジで独特な不思議な雰囲気が楽しめました。③はいつも試聴会で聴いているIn Bostonとは違い優しくメロウな雰囲気。4曲目はステイングのボーカルが聴けますがいつものストイックなイメージではなく珍しく明るく前向きな雰囲気(笑)が楽しめます。④はヒュージョン色が強いですが達者な演奏で小気味よく響きます。スピーカー個々の特徴もありますが文字で説明は難しいので聴きにきてください。当時のヨーロッパの高級ステレオコンソールに使われていたユニットを使い、小型の後面開放や密閉箱に入れ現代に蘇った(やや大げさ)音は、現代の最新のものと聴き比べても味わいあるものです。お客様からも奥のメインシステムと聴き比べても迫力、実物大の再生という点を除けば、音楽としての満足度は十分得られると好評でした。

 

いつものように後半は奥のメイン試聴室に移りました。今回はCDプレイヤーを従来のヤーキンのコンサートマスターASC-1420CDからミンダの高級CDプレイヤーMC-500CDに替えて聴いて頂きました。元祖フィリップスのピックアップ回路やアップサンプリング機能によるリアルで鮮烈な音です。本機もトップローディング方式は同じです。CD出し入れは一般的なディスクトレイのフロントローディングが便利ですが、ご承知のとおりトレイのメカの故障は意外と多いですし、フラフラしているトレイが精緻な読取をしているCDの傍にあるというのが気になりませんか?その点、トップローディングは出し入れの手間はかかりますが確実でスライドメカがなく、アナログレコードの針や裏返しの儀式(笑)よりは簡単です。肝心の音ですが、従来のASC-1420CDも当システムの定番で使用してきたストレートで化粧っけのない素直な音でしたから大差ないのではと思いましたが、その差は歴然です。もちろん変な脚色や派手さ、人工的な音作りは感じられませんが、全ての音が鮮明になり解像度がアップします。決して誇張なく音楽の肝心な部分がきちんと出てきます。アップサンプリング回路でデジタルノイズを可聴範囲の上に追いやり、デジタルノイズが激減している効果もあるのでしょう。筐体も重量のあるしっかりした構造です(当面は店頭販売のみになりますが、気になる方はご連絡ください)。ソースには上述のものに加え、写真のものを聴きました。お客様ご持参の岩崎宏美の「Dear friends Ⅳ さだまさしトリビュート」ではご本人からこれまで聴いた感じとまるで違うと驚かれました(もちろん良い意味で)。日本人女性特有のしとやかさ、清廉さが伝わってきます。ピアノの音も打楽器としての強さと響きが冴えます。当試聴会の定番のクリスボッティのIn Bostonのイントロから最初のAve Mariaでは演奏前の観客のざわめきから人数や会場の大きさ、響きが伝わり、ボッティの登場での拍手、歓声、それから奏でられるトランペット、弦楽の厚い響きなど感動的です。最後はクラシックもとのリクエストにお応えしカラヤン指揮、ムソルグスキー作曲、ラベル編曲の展覧会の絵を聴いていただきました。冒頭の金管のテーマの入りと続く弦楽の響きが絶妙の調和し、煌びやかなフルオーケストラの響きで締めくくりお開きとなりました。リビーターの方々からも格段に良くなっているとのコメントを頂き嬉しく思います。だんだん伸び代が減ってきますがが、さらに上を目指して頑張ります。

次回は7月13日土曜日13:00からです。是非お誘い合わせの上、聴きにきてください。

5月の試聴会と次回予定

5/11に5月度の試聴会を開催しました。センター試聴室では写真の1950年代のテレフンケン、SABA、RFT等の20cmクラスの丸型、楕円型のドイツ製ユニットを使用し密閉箱、後面開放箱などのバリエーションで聴き比べ可能としています。これらのユニットは当時も密閉型と後面開放型がありましたが、アルニコ等の強力な磁石と軽量コーンの組合せで当時も真空管アンプで鳴らしていただけあって真空管アンプとの相性は抜群です。自然でリラックスした音色で長時間聴いても疲れず、楽しい音楽となります。アンプにはヤーランドのTJ211/845-S2(211付)を中心に、下記のジャズギター、ピアノ・ベース・ギターのトリオ、女性ボーカル集、ジェームス・テイラーなどを聴きました。上記スピーカーですとボーカルや小編成のクラシックの再生が特に自然です。オーケストラは生楽器ですので迫力こそ出ませんが楽器の音色や全体の雰囲気は十分に楽しめます。ただしバスドラムやロックなどを楽しむのはやや無理がありますね。1950年当時はエレキギターで歪ませてバリバリ弾くような音楽は稀(or無し?)でしたから無理もありませんが。その分、家庭で小音量から中音量程度で聴くには音痩せせずに豊かな音楽が楽しめます。スピーカーの密閉型と開放型は部屋の環境やユニットにもよりますが密閉型はやや教科書的で開放型の方が面白い音の傾向のようです。

アルテック銀箱と最下段のアルテック30cmフルレンジ(箱はダイヤトーン)の米国勢は明瞭で元気が良く大音量でも音が崩れないのとは好対照ではあります。なお上記旧ドイツ製ユニットのスピーカーは数量が限られるため現在は店頭販売のみとしています。

メイン試聴室では常設のシステムで聴いていただきました。ソースにはチャイコフスキー、ラフマニノフのピアノコンチェルト、チックコリアのソロピアノ、ロックではELPのベストアルバムなどを聴いていただきました。こちらはフルオーケストラやジャズ、ロック、ボーカルなどどんなジャンルでも実際の音量にも近く、リアルな音楽が楽しめます。ピアノコンチェルトはオーケストラとピアノの絶妙なバランスが魅力ですし、チックコリアのピアノはややきつい音になりがちですが、力強さと優さが両立した素晴らしい演奏が再現されます。ELPのベスト盤はK2処理によりオリジナルCDより鮮明に再生され鬼気迫る演奏が楽しめます。比較的大きな音を出していても普通に会話ができると参加者の方からコメントがありました。大音量でも音のバランスが崩れず自然だからだと思います。一般には1システムで様々なジャンルの音楽を満足できるようにするのは難しいとされていますが、電源装置から始まり音の入口から出口まで癖のない装置構成を考慮しています。一度是非聴きにいらしてみてください。

次回6月は都合により第3土曜日の6/15の13時からの予定です。ミンダの高級CDプレイヤーMC-500CDで聴いて頂く予定です。元祖フィリップスのピックアップ回路やアップサンプリング機能によるリアルで鮮烈な音です。ご期待ください。

 

新天皇・皇后両陛下ご即位記念

平成から令和へ新時代の幕開けとなりました。新天皇・皇后両陛下のご即位を記念しまして、ささやかながら5/1~5/18の期間限定で全商品を現在表示価格から15%割引きとさせていただきます。是非この機会をご利用ください。

商品は数量に限りがありますので、在庫切れとなった機種はその時点で割引終了といたします。

4月の試聴会の様子と次回予定

4月13日に試聴会を開催しました。まずセンター試聴コーナーでは予告どおりヤーランドの TJ845/211-S2i(Limited)で845と211のコンパチ機ですが今回は211を装着して聴いていただきました。

スピーカーには1950年代の東独製ユニットを国産ボックスに入れ現代に蘇らせた(やや大げさ)Telefunken/Imperialフルレンジ26×18cmd楕円ユニット、SABAグリーンコーンフルレンジ24×18cm楕円ユニットで聴きました。(店頭販売中)

本アンプは211の濃密かつ繊細な音色が特徴なほか、左右独立電源や前パネルは天然木、上側面はピアノブラック仕上げがヨーロッパのスピーカーに音も佇まいも良く合います。ソースにはダイアナクラールのピアノ・ボーカルのアルバムからジェントルレインなど数曲、竹内まりあのQuiet Lifeからも聴きました。前者ではリリカルなピアノとボーカルが心地良く響き、甘さと凛々しさが良く表現されます。ダイアナクラールが演奏を引っ張っていく姿が目に浮かびます。後者も日本を代表する伸びやかで若々しい歌声が堪能できました。スピーカーではテレフンケンの方がやや明確な傾向、SABAは繊細で中域の音色が良く音楽の空気感が表現されます。音楽をしっとりと楽しむのに良いスピーカーと言えると思います。

お客様のご要望でヤーランドのTJ84-Pでも聴きました。やや前者より帯域は狭くなる傾向ですがプッシュプルアンプの特徴である中域が締まった音色で、このサイズのスピーカーを鳴らすにはジャストサイズでこの音が好きだとのコメントも複数頂きました。

さらにお客様がご持参のフィリップス製(Made in ベルギー)の30cmフルレンジスピーカーでも聴きました。写真の白木の箱に黒いバッフルのものです。30cmでは余裕ある鳴りっぷりでこちらもフラットで聴きやすい良いスピーカーで自作されたという箱もプロレベルの仕上がりで皆さん感心されていました。それでは30cmフルレンジ対決と当社常設のアルテック30cmをダイヤトーンの箱に入れたものと比較試聴しました。アルテックは華やかな傾向でバスレフで低域も出てきますが置き方の違いでも変わりますので両者引き分けとしておきます(笑)。

続いてメイン試聴室に移り、予告どおり新規導入しましたメインアンプ用の大型電源装置を介したシステムで聴いて頂きました。写真の左下の装置です。これを介して常設の左上のASC-845Jに電源供給しウーファー(ALTEC515)を駆動、さらに右下のオリジナル小型電源を介して右上の6550オリジナルアンプでホーンドライバ(JBL375)を駆動しています。その効果は、筆者も最初はびっくりで地面が数メーター下がり試聴室が数倍の広さになったような印象、また高域もツイータ―の必要を感じない艶と伸びが加わり、ダイナミックレンジ(音の強弱)が深く音楽の陰影や奥深さ、ホールの大きさが感じられるようになりました。

ソースにはヨーヨーマのチェロ、デビッドサンボーンのサックス(ベースはマーカスミラー)、ウィーンフィルの美しき青きドナウ(合唱版)、TAKAKO YAMADAの水戸コルテスでのピアノライブ、チックコリアのピアノソロ、そして定番のクリスボッティのトランペットのライブを聴きました。いずれも以前より音の陰影、奥行き、広がり、艶が格段に良くなり、唸るようなベース、心に響くトランペットの響き、楽器の定位、分離も向上しました。電源でここまで変わるのかと驚きの感想を頂きました。電源がオーディオシステムの根本を支えている訳ですが、その効果覿面。これまでもCDP、DAC、プリアンプ側にもART-POWERを導入し効果を感じて頂いていましたが、パワーアンプでは音の出方が向上。パワーアンプのハイパワー化等よりも電源強化が一番近道かも知れないと感じていただけていたら嬉しいです。特殊医療装置用のユニットを使用しているため入手困難ですが、目途がたちましたら商品化するべく努力中です。

なお次回の試聴会は5/11(土)13:00~15:30を予定しています。またのお越しを楽しみにお待ちしております。

4月の試聴会の予定(追加説明)

次回4月の試聴会は4/13(土)13:00~15:30の予定ですが、内容の補足をいたします。

センター試聴コーナーでは新入荷のYARLAND TJ845/211-S2i(Limited)という845/211コンパチのアンプを211で聴いて頂く予定です(写真ご参照)。本アンプは昨年、秋葉原で開催された真空管オーディオフェアでも大変好評であったモデルと同様ですが、当店用にチューニングされたLimitedで独特の深みのある音色と力強さが両立した傑作モデルです。

また前回予告どおりテレフンケン、RFTといった旧東独製のユニットのスピーカーも聴いていただきます。

メイン試聴室では新たにメインアンプ側(ホーン、ウーファー)に導入した2台のオリジナル電源装置を介して聴いていただきます。特にウーファー側には医療機器用の特殊電源を採用しており従来より音の深みとダイナミクスが増しています。当日は本装置の有無での音の違いも聴き比べていただきます。ご期待ください♪♪

3月の試聴会の様子と次回予定

3月9日に試聴会を開催しました。まずセンターの試聴コーナーでは近日発売予定の東独テレフンケン/インペリアルのフルレンジスピーカー(写真両端)を中心に東独RFTの2Wayスピーカー(中央上)などを聴いて頂きました。いずれも50~60年代のユニットで軽量コーン紙と強力磁石で実に伸びやかで反応が良く上品な音色を聴かせてくれます。12~15cmクラスですから重低音は望めませんが、通常の音量であれば十分に音楽を楽しめます。特に真空管アンプとの相性は大変良いです。それもそのはず、当時のアンプはEL84などの真空管アンプだったのですから。反対にトランジスタの大出力アンプで大音響で鳴らす様には設計されておらず、無理に大音量を出すと破損する恐れがありますのでほどほどに。試聴会ではアンプはASC-845Jで聴いていただきました。小型ユニットですからもっと小出力のアンプでも十分というか、むしろマッチしているとお客様からコメントいただきましたので次回以降はそうしたいと思います。ソースにはリッチ―バイラークのピアノバラード、ヨーヨーマのチェロ、お客様ご持参の海野しゅんすけのジャズドラムス、竹原ピストルのパンクフォーク?(筆者独善のジャンル名)、The Ritzの混成ジャズボーカル、石川さゆり、美空ひばりのカバーアルバムと続きました。特にボーカルは特筆もので、情感やハーモニーが良く伝わります。夜にしっとり聴くにも最適とのご感想でした。ピアノやジャズは迫力こそありませんが、微妙な音色、音楽の中心である中音域はしっかり出てリラックスして聴けます。なおフルレンジでは素直で自然な傾向、2Wayはワイドレンジで明瞭な傾向です。これらのスピーカーシステムは近日、ART-SPEAK(アートスピーク)シリーズとして順次発売予定ですのでご期待ください。

後半はメインシステムで試聴しました。前回はJBLホーンに変更直後で従来のアルテックホーンを上に重ねていましたが、後者を撤去しすっきりさせました。やはりドライバーの大きなマグネットを重ねていては磁気干渉もあったのか、撤去後は音の定位や抜けも向上した様です。(何かの参考になれば幸いです)。また写真の様にホーンを銀色に着色してみました。パワーアンプはウーファー用が左側のASC-845J、ホーン用が右側オリジナルの6550シングルアンプです。(床のアルテック30cmシステムは鳴らしていません)

ソースには前述のものに加え、室内楽ではドボルザークのアメリカ、コルトレーンのサックス、最近リファレンスにしているクリスボッティのトランペットのIn Boston、デビッドサンボーンのサックスのInside等を聴きました。センターで試聴した音楽も良いのですが、こちらではやはり大型ならではの奥行き、ホールトーン、定位、音の強弱などの再生力の違いでまた違った音楽になります。お客様から次元が違うとの感想が多いですが、奥行き、高さ方向が加わりますから確かに次元が2次元から3次元、さらには音の余韻は時間ですから、音の次元が違うというのは適切な表現かもしれません。In Bostonではボッティの絶妙なトーンがホールに広がる様子や観客の人数が感じられ、サンボーンのサックスでは陰影が強く表現され魔術的な凄味さえ感じられるなどアーチストの気迫、情念も感じられました。

最後に後日談を2件。その後、お客様がご持参のJBL075を追加して試聴しました。当然、高域が伸びて上が広がりシンバルやボーカル、オーケストラも明るく華やかになります。ただしレベル調整が微妙で、出過ぎると余韻や奥行き感が減少するので精緻な調整が必要なようです。この辺はユーザー諸氏が苦労されている点なのでしょう。また左右2台に分けて使用していたチャンデバの1台が故障したため、一時的に1台(本来ステレオ仕様)に接続しましたが、やはり2台での独特な奥行き感、左右の定位、ゆらぎ感などが減少し、2台使いのメリットを再確認しました。

次回は4月13日(土)13:00~15:30の予定です。お好きなCDご持参の上、ご参加ください。

2月の試聴会の様子と次回予定

昨2/16に2月の試聴会を開催いたしました(先週予定でしたが積雪予報で1週間延期)。今週のメインイベントはメイン試聴室のホーン用に新たに投入しました新作の当店オリジナルアンプ2台の聴き比べ。最初に写真手前の6Y6出力管アンプ、次に奥の水色(店名にちなんだオーシャンブルー?)の6550シングルアンプを聴いていただきました。従来はウーファー、ホーンとも左側のASC-845J×2台で左右振分けていましたが、ホーンをJBL375にしてから音圧バランスをとるためホーン用アンプを今回に2機種にしてバランスを取っています。ソースにはお客様ご持参のライオネルハンプトンの名盤スターダスト(レコードから当時のモニター機に使用されていたウェストレイク10Aカートリッジで再生してCD化したという凝ったヴァージョン)、ボゴレリチのショパンのピアノ、フランクザッパのビッグバンド(アシッド?)ジャズ等を聴きました。結果ですがお客様のご感想ではどちらのアンプでも「大変良かった、音が太くて締まっています」「ボゴレリチのピアノもスケールが大きな音でした」など概して好評でした。「6Y6アンプでもかなり良いのですが6550アンプの方が音に力があり音像も少し大きく、ボリュームを上げても音像が崩れないのも良かった」とのことでした。ライブでの音場感もリアルで観客の人数、様子が判るほどです。客観的にも従来よりレベルアップしていると思います。ただ少数意見ながら、従来のウーファーのD130改の時の方がコーン紙の軽さとアルテックホーンの応答とホーンらしさの特色がでて良い味を出していたのが今の515Bは音圧があがり迫力は増したが応答性がどうかは短時間の試聴では何ともいえない」というコメントも頂きました。「巷のハイエンドシステムと方向性が一緒になると当店のユニークさが希薄になる」との貴重なコメントもありました。音の厚みはほぼ達成しましたので真空管アンプの暖かで応答性の良い点を活かしてさらに軽くて応答の良い低音(これが一番難しい)を目指して調整をしていきたいと思います。

一方、センター試聴コーナーでは当初予定のYARLAND TJ-88/34-Pの試聴は延期し、代わりにASC-845Jで聴いていただきました。(従来は奥のメインシステムのみで試聴いただいていましたが、上述のシステム変更でセンターに移動)。やはり845は電圧1000V近いとあって音に余裕と切れの良さ、新鮮さが加わります。ソースにはドナルドフェイガンの小気味良いAOR、ヨーヨーマのチェロ、チャーリーヘイデンカルテットw/女性ボーカル、ケイコ・リー等を聴きました。バランスが良いスピーカーはやはりアルテック銀箱で、特に音量を上げた場合に真価がでるようです。ヨーヨーマのチェロも甘味に豊に広がり映画館でうっとりしてしまう気分にさせられます。最近注力しています旧ドイツのテレフンケンユニットの2way, 東ドイツRFTの2wayでも聴いていただきました。50年台製造のユニットはアルニコでコーン紙が軽く応答性の良い高速な音で耳あたりが良く、国産や米国産とは違う音楽の味があります。お客様も自然な音なので話の邪魔にならないと好評でした。テレフンケンの方が箱も一回り大きく低域も良くでますがRFTも中高域は良くのびて実に楽しい音でなってくれます。ご家庭で一般的な音量で聴かれるのにはお手頃です。

次回は3月9日の予定です。テレフンケンのフルレンジスピーカー等を予定しています。ご期待ください!

2019年1月の試聴会の様子と次回予定

本年最初の試聴会を1月12日に開催いたしました。今回は盛りだくさんで構想練っているうちにアップが遅くなりました(言い訳)。さて今回はメインシステムの方を重点的に聴いていただきました。常設システムのパワーアンプは通常ASC-845Jの左右バイアンプ駆動の2Wayですが、今回はまず当店オリジナルのWE417真空管を使用したパワーアンプをホーン(アルテック806A+311B)に使用して聴いて頂きました(ウーファーには845のまま)。出力1W程度の小出力アンプですが、高能率のホーンを鳴らすには十分な音量です。そしてその音ですが想定外(おっと、これは禁句)、予想外のバランスの良さ。前回報告の様にウーファーは前回から強力なアルテック515Bにしていますが、ホーンが負けることはありません。お客様からも自然なバランスで大変聴き易いと好評でした。バイアンプの場合はウーファーとホーンを同じアンプの方が当然特性は揃っていて一般には調整しやすいのですが、ウーファーとホーンでもちろん特性は違いますから今回は845+417で自然に聴こえうまくバランスしています。これだからオーディオはカタログスペックだけでは語れません。ソースにはお客様ご持参の女性ボーカルやジャズ、クラシックを使いました。(以下に続く)

 

しばしお客様と自然で説得力ある音楽を楽しんでいましたが、途中で大人の事情で(笑)ドライバーとホーンを上述のアルテックからJBL375+JBL2397ディフラクションホーンに大胆に入れ替え。このドライバーは806の直径で2倍、容積で8倍ほどの大型で約10kgありお客様にも手伝ってもらい乗せ換えました。そしてその結果は、さらに中高音の艶と伸びが増しました。ウーファー515Bとのバランスもさらに纏まり、今まではやはりホーンが力負けしていたのだという感想になりました。このドライバーとホーンをお使いのお客様からも515Bウーファーとこんなにバランス良く鳴るとは驚きとのご感想でした。ちなみにウーファーの方ですがJBL4560に入れていますが、背面の蓋を開けた上で特殊な布(コーヒー袋)を被せて調整していますが、SP自作もされるお客様からは、背面からの回り込みでボヤけているので蓋は閉めた方が良いのではというアドバイスがあり、後日閉めています。この辺は機器と部屋の調整次第なのでさらに詰めていきます。アドバイスで成長するショップを目指します(笑)。

最後にセンター試聴コーナーでは軽く当店オリジナルのテレフンケン2Wayスピーカー、東ドイツRFT社の2Wayスピーカーも聴いていただきました。1950年代のユニットですが大変丁寧な作りと味わいある音でタンノイイートンやJBL,アルテックと聴き比べても違う趣きがあり、これまた楽しめます。バッフルには濃紺、濃緑色を使いヨーロッパの雰囲気があります。近日販売開始予定ですのでご期待ください。

後日談と次回予定。実はその後、ホーンのアンプを米国製6Y6GやRCA整流管を使用したオリジナル品に変えてみましたら、さらに余裕が生まれ、奥行き感や定位が向上しました。またホーンは従来のアルテック311と今回のJBL2397をなんと上下タンデムに配置し、比較できるようにセットしました(親ホーンの上に子ホーンを乗せて~)。これは邪道でしょうがショップですから良いのです。ホーンとウーファーの位相合わせ、角度、ダンピングなどで音がコロコロ変わりますので鋭意調整中!次回聴いて頂いて皆様の評価はいかがでしょうか?

一方、センター試聴コーナーでは新入荷のYarlandのTJ88-34P(KT88PP)の試聴を予定しています。本機は昨年末の真空管オーディオフェアでも沢山の方に試聴いただき、その木目の美しさと溌剌として艶やかな音色は好評でした。当店でも上述のテレフンケンやRFTスピーカーとも良いマッチングですので合わせて聴いてみてください。

 

次回は2月9日13~15:30の予定です。

Abbey Road

Abbey Roadと聞いただけでぞくっとする方は少なくないはず。ロンドンのストリート名でありますが、言わずとしれたビートルズの最終録音アルバムのタイトルでもあり録音スタジオの場所です。ただし今回は六本木にあるライブハウスのこと。ここではビートルズのコピーバンドの演奏、歌唱がきけます。先日3年ぶり位に友人に誘われて行ってきました。筆者も当時はビートルズにのめり込み、アルバムで言うとマジカルミステリィツアー、ホワイトアルバム、イエローサブマリン、ヘイジュード、レットイットビー、そしてアビーロードはリアルタイムで買って聴いて感動してました(えっへん、リアルタイムですぞ)。

以前から音楽は好きでしたが彼らの音楽は新鮮というよりショックでしたね。ジョンとジョージは天国ですがポールは他のメンバーの分まで現役で頑張ってます(リンゴは何してるかな)。

本題の六本木アビーロードでは新生パロッツ(写真)のライブ。演目は初期のI saw her standing there, She loves you. I feel fineなど、中期はHello Good-by, Lady Madonnaなど、後期はBirthday, Hey Bulldog, Something, Let it Beなど。どれも演奏は上手で音響も良くほぼ完ぺきなコピー。さながらビートルズが蘇った様!と言いたい所ですが、やはり声質まではね。マニアはレコードの隅々まで何百回と聞いて頭の奥に刻まれていますからどうしても細部を比較してしまうのです。さらに商売がら、音響だとか音楽の構成だとか理屈で聴くもんだから、一緒の友人からは「ノリが足りない!」と叱れました(ボーと聴いていた訳ではありません)。

 

そしてオーディオとしてはいかがか?ビートルズのレコードは当時の録音技術を駆使し、斬新な試みを次々にしていきましたが多重録音、フィードバック、効果音がメインで音質そのものより再生した際にはっきりしゃきり勢い良く彼らの特徴を活かす方向ですので、余韻とか音色自体は凝ってはいません。なので再生装置の質は中位で十分というか、高級オーディオではかえって多重録音が耳につくかもしれません。某有名オーディオ雑誌でもビートルズとオーディオなる連載記事が始まったと思い期待したら1回で終わったこともありました。なのでオーディオマニアは少ない様に感じます。ただしここで宣伝ですが(笑)、真空管アンプでレコードを聴くのが理想で、当時の感動が再現されると申し上げておきたいと思います。なにせギターアンプ、録音機材、モニター機材の全てが真空管式でしたから♪!アビーロードスタジオのモニタースピーカーであったアルテック銀箱で聴けばさらに気分は盛り上がります。

それでは皆様、良いお年を!

12月の試聴会の様子と次回予定

昨12/8に定例試聴会を開催いたしました。クリスマスセール中でもあり、センター試聴室のアンプ横に花かご、エントランス脇にOPENのイルミネーションでちょっとしゃれてみました。センターで前回もご紹介したミンダのトランス結合のASC-300BTCで前の中央の12AX-7をGE製に差替えたもので聴いていただきました。写真中央がそのアンプです。前回は後日談でブログに掲載しましたが、実際に試聴会では最初でしたので、その効果で澄んで明瞭になった音色を楽しんでいただきました。ソースにはジャシンタのオータムリーブスとスティングのライブを少々。前者は音作りが巧妙で女性ボーカルの魅力を良い音で聴かせるCDです。聴き込むと凝った録音やミキシングが駆使されたやや人工的な脚色が感じられますが、どのシステムやスピーカーで再生してもそれなりに美しい良い音に聴こえるので、試聴会向きとも言えるでしょう。初段の真空管1本でこれだけ音が変わりますから、比較的高額の出力管より、ミニチュア管を差し替えて楽しむのも、真空管での音の変わり方を楽しむのに効果があります。

さて今回は予告していましたメインシステムのウーファーをJBL D130改からアルテック515Bに変更した効果はいかに。お客様もそちらが主目的とのことで早々に奥のメイン試聴室に移りました。こちらでも前述のスティングのイタリアライブからKing of Pain, Fragileを聴き、その後にお客様持参のゲイリーカーのコントラバスとパイプオルガンのヂュオで重低音大会のCDを聴きました。これにはさすがアルテック38cmで最強力の515Bでも地を這うような重点音は望めません。しかしお客様からはよく再生されていると驚かれました。スペック的には出ていなくても倍音成分が忠実であれば聴感上は不満のないということでしょう。実際に地響き並にするにはサブウーファーが必要ですが、マイク録音では20Hz以下は最初から無理なので人工的にならざるを得ません。映画の効果音なら別ですが。

続いてオルガンではバッハのトッカータとフーガ、クリスボッティのアベマリア、バッハのバイオリン協奏曲、カラヤンでマーラーのアダージョ、ボーカルではアニタオディ等を聴きました。515Bでは低音が強力でクリアで中高域も明解でホーンとの相性も良く一体感がありスピーカーの存在が感じられず、音像の広がり、奥行き、深みも増して全体に品格が出てきました。ジャンルを選ばず楽しめる範囲が拡大しました。ホーンドライバはA7初期の806Aで515BはA5用ですから強いていえばA6相当?でも箱はJBL4560ですからA6Jとでも言うべき構成です。クロスは750Hz位。実は注意深い読者ならお気づきと思いますがASC-845Jの845は2種類で、標準のミンダオリジナルJINVINA管と高価なPSVANE-TⅡを使い分けています。従来はウーファーに元気の良い前者、ホーンにマイルドで高品位な後者としていましたが、実験の結果、今回は逆の方が良い結果でした。多分515Bの性能が上がり真空管の差がより全面に出てきた結果と考えられます。すると欲がでてきてお客様から後面開放の方が良くなるのでは?というコメントが。確かにアルテックの同じ構成のA5、A7も後面開放ですから。ここで延長30分のATも終了しお開きに。お客様からも過去最高とお褒めの言葉を頂きました。本年も毎回ご試聴にいただきました皆様、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。

次回予定と後日談。次回は1月12日(土)13:00~15:30です。

昨夕、早速ウーファー後面の板を外し後面開放としてみました。たしかに音も開放的になりましたが肝心の低音の押し出しが弱まり、定位もぼやける結果に。ではと思い開口部にを手持ちのコーヒー豆の袋をでカバーしたら、これが大正解。開放的な音で低域の音圧も出て両立!お客様に教えてもらいましたがドイツの名門クラングフィルムのオイロダインのウーファーも背面に毛布の様なカバーが付いているそうです。次回試聴会までにさらに調整しておきます。

真空管アンプに良く似合うアラジンのブルーフレームも運用開始。

暖かい試聴室で、暖かいコーヒーを飲みながら、暖かい真空管の音楽を是非どうぞ。

11月の試聴会の様子と次回予定

11月10日に定例試聴会を開催しました。今回は予告のとおりミンダの新しい300Bのトランス結合アンプASC-300BTCをまずセンター試聴コーナーで聴いて頂きました。本機の特徴は何といっても名球300Bをトランス結合の回路構成としている点です。その効用は真空管アンプらしい音色です。ソースにはお客様がご持参のモーツアルト弦楽四重奏曲、千住真理子のバイオリン、ジャズではバルネウィランのサックス、マツオアキラトリオ等を聴いていただきました。音色は真空管アンプらしさ全開!帯域はやや狭いですが中音域の厚さ、暖かさと繊細さが、肉声や弦楽器、ピアノなどの音をリアル、かつ豊に聴かせます。スピーカーには常設のアルテック銀箱、JBL4408A、東独RFTの2Way、タンノイイートンを切替えて試聴。真空管アンプらしさが活きて相性が良いのはモニター調のJBLやアルテックよりタンノイやRFTの相性が良いと参加者のご意見が一致しました。モニター系のスピーカーはハッキリ明瞭に聴こえますがしっくりきません。間違いなく音楽的には後者と相性が良いです。ジャズ系の迫力を求める方には本機は最適とは言えないかもしれません。小出力の真空管アンプにはJBLなどの米国系のバリバリのスピーカーより欧州系の方が一般には合うようです。特にRFTが良い相性とのお客様のコメントを頂きました。

本機の300Bは標準はPSVANEを奢っていて十分良いのですが、予告していたのでお客様が持参された高価な元祖ウェスタンエレクトリックの300Bに交換して再生してみました。最初の5秒で皆さんビックリの変化。全体が端正に響き、姿勢を正して聴かねばという音になります。さらに後刻、300Bは付属品に戻し、前段の12AX7を付属品からGE製に交換してみました。これも澄み切った清廉な音に変化しましたことを申し添えます。本機は真空管ならではの音色や性能をフルに味わうのに良く、真空管を交換しての変化も楽しめる一台と言えるでしょう。

まだ一台しかありませんが、販売しますのでご興味ある方はお問合せください。

メイン試聴室に移り、何枚かは同じソースで比較試聴しました。音色的にはセンター試聴コーナーでも十分楽しめますが、こちらですと奥行き感やホールトーンが加わるのでまた一興です。同じソースではその違いが良くご理解いただけます。ただ大きい音というのではなく、奥行き感、横への広がりを加えた立体空間の再現がオーディオの醍醐味の重要な要素でしょう。今回、システム上の唯一の変更点はデジタルケ―ブルを従来品のART-CABLE TypeDから新作のTypeD2(写真付、近日発売)に変更しました。従来の銅単線を銅単線4芯化し、音の広がりと改造力、楽器の定位が向上しています。以前来ていただいたお客様からも広がりが違うとコメント頂きました。全体にスケール感が増しオーケストラ等の幅広い音源には顕著な効果があります。ただしジャズの様な凝縮した音を好まれる方には微妙かもしれません。とにかくデジタルケーブルだけでこれほど違いが出るという事はオーディオの楽しみ(苦楽?)の一面でしょう(他人事ではありませんが)。メインシステムは極力音楽ジャンルを選ばない様に素直で自然な再生を標ぼうしているので、プリンスのギター、リッチ―バイラークのピアノ、スティングのライブ、キースジャレットのケルンコンサート、ビルエバンスのソロピアノ、ブラジル音楽など多様な音楽を時間一杯まで皆様に楽しんで戴きました。

注)デジタルケーブルはCDP(ASC-1420CD)とDAC(DAC-X9)間に使用しています。

次回は本年最後で12月8日(土)13:00~15:30です。

予定はメイン試聴室のウーファーを変更して聴いて頂く予定です。従来はPA用のJBL4560の箱にアルテック38cmのD130改造品(軽量コーン、写真左)でホーンとのマッチングも良く自然でスピード感ある再生音でしたが、やや低域の迫力が不足と感じていました。これをアルテックの38cmで歴代最強力と言われる515B(写真右)に交換します。JBLの箱にアルテックのウーファー、ルーツは同じですがどうなるでしょうか?

既に調整を始めていますが、さすが素性は良いようで、ASC-845Jとのマッチングも整ってきました。また皆様と聴き比べを楽しみにしております。

10月の定例試聴会の様子と次回ご案内

10/13(土)午後に10月の定例試聴会を開催しました。(定例試聴会は毎月第二土曜日です。その他の日も承っておりますが不定休のため事前連絡ください)

今回も女性のお客様も参加いただき、和やかにアットホームな雰囲気で行いました。まずセンターの試聴室では当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PRE(シルバニア6J5, GE37搭載)とメインアンプはウェスタンエレクトリックの417A出力管、6J5整流管、電源、出力トランスを使用したパワーアンプで聴いて頂きました。出力は約1ワットですが、電源、出力トランスがしっかりしており、能率の良いSPであればご家庭で十分な音量、かつきめ細かく端正な音を聴かせます。スピーカーは常設のアルティック銀箱、タンノイイートンに加え、珍しいテレフンケンと東独RFTユニットの各2Wayのスピーカーで聴いていただきました。ソースは最初にデビッドサンボーンのアルバム「Inside」から数曲。フュージョンジャズ的な作品ですが独特の先鋭で明瞭なサックスの音色を伴奏が盛り上げます。モダンジャズではスタンダードのデイブブルーベックのテイクファイフ他を聴きました。聴き慣れたメロディと演奏ですが、これも真空管アンプと真空管時代のスピーカーユニット、そしてそれらでモニターしてアナログ録音したソースですから、少々大袈裟に言えばタイムマシンで当時の雰囲気に戻ったような気分になります。スピーカーも銀箱は定番でアビーロードスタジオのモニターでもあったわけですから別格ですが、タンノイはバランスに優れ、テレフンケンは中高音が瑞々しく、RFTも想像以上に切れの良い音。スピーカーにより出口の再生音の違いは顕著ですが、小出力の真空管アンプでも音やせせず、豊かで実存感のある音楽である点はアンプの特性として共通であることをご確認いただけました。ソースにはその他、お客様ご持参の室内楽(写真撮り忘れました)や原大力&His Friendsのピアノトリオなどを聴きました。真空管アンプのご試聴が初めてのお客様からはトランジスタの音とは根本的に違いますねと言われました。トランジスタは真空管の代用品として生まれ、工業製品としての特性、生産性に優れていますが、オーディオでは真空管の優れた能力があり、複雑な回路設計をせずとも、素の音楽の陰影や奥深さなどを再生することを感じて頂けたことと思います。

奥のメイン試聴室では常設のASC-845Jマルチアンプ、ASC-1420CDASC-DAC9ART-Power, ART-PRE、スピーカーはALTECホーンとJBLウーファーですが、今回は写真にもありますが背面の両側面に吸音・反射材を追加して調整しました。吸音材はトラス状の木製枠に布を張り、反射材には平板を組合せていますが、これらの面積比や設置角度のより特に高域の伸びや艶がコロコロ変わります。リピーターの方からは前回から何をどう変えたのか?とご質問があったほど顕著な差がありました。ルームチューニングの理論書や市販品もありますが、まずは皆様も手持ちの材料でも試されることをお奨めします。

ソースにはまずクリスボッテイのライブ「in Boston」の一曲目のアリアを聴いていただきました。本作はボストンの教会で録音されたライフで最初にボッティが登場する際の場内の歓声がまるで会場にいるように聴こえます。思わずコンサートのチケット買って入ってっけ?と一瞬不安になったという方もいらっしゃりました(笑)。アリアの演奏のトランペットの響きや息遣いにも音楽家の演奏とそれに聴き入る観客の感動が感じらました。その他、室内楽ではチャイコフスキーの弦楽室内楽、ゴンサロのジャズピアノ、もののけ姫の主題歌などを聴きましたが、お客様からは、センター試聴室で良い音と感じても、メイン試聴室では音楽の奥行きがまるで違うとご好評でした。またテーブル上に置いたヤーランドTJ6P1-Pをパソコン音源で珍しいデンマークDEARYの小型スピーカーで聴きました。小音量でも雰囲気があり書斎など最適です。最後にまたメインシステムでクリスボッティのTime to say good bye をしみじみ聴いていただき時間となりました。

真空管アンプでは音楽の雰囲気、特に奥行き間や深みが巧みに再生されます。トランジスタでは特性向上のため回路上NFB(負帰還)を掛けますが、特性が揃い音楽が綺麗になる反面、平面的になる傾向があります。真空管で秋の夜長に奥深い音楽をお楽しみください。

 

次回11/10(土)13-15:30ですが、ミンダの新製品ASC-300BTCの試聴を予定しています。PASVANEの300Bを搭載しトランス結合の特徴である奥深く柔らかい音がします。お好きなCDをお持ちになって聴きにきてください。また楽しいひと時を楽しみにしております。

 

第24回真空管オーディオフェアの様子

第24回真空管オーディオフェアが10/7(日)、10/8(祝)の2日間、秋葉原の損保会館にて開催されました。天候にもほぼ恵まれ連日大勢の方々に来ていただきありがとうございました。今年も全館と別館で多様な展示、試聴会が開催され楽しんで頂けたと思います。当ショップも販売店としてヤーランドアンプのブース(5階・データゲート)にて対応させていただきましたが、会場が狭いこともあり立ち見(聴き)のお客様もいらして盛況でした。今回は試聴機は代表的な3機種(①TJ845/211-S2i、②TJ88/34-P3i, ③TJ6P1-P)と電源ボックスのデモ機でしたが、①では華麗な845と深みのある211、②では闊達で艶のある音色、そして③は小型ながらバランスの良い聴きやすい音をご確認いただけたと思います。このような機会にお客様のご感想やご質問などの生の声を伺ったり、ご相談を受けたりするのは貴重な機会で楽しくもあり、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。特にじっと聴かれていた方にお話を伺ってみますと、楽器演奏のご経験者であったり、コンサートに頻繁に通われる方などが多い様で生音に敏感な方にも評価いただけたて嬉しくなりました。なお当ショップでもTJ6P1-Pなど数機種がご試聴いただける他、全機種のお取扱いをしておりますので、さらにお聴きになりたい方やカタログでご興味のある方はご連絡をお待ちしております。

その他のブースにもお邪魔しましたが、特に別館での超大型の241Bアンプ、平面スピーカー、ウェスタンエレクトリックの超大型ホーンスピーカー、青い色に光るキセノン真空管アンプが珍しく興味深いものでした。WE241出力管はワインボトルほどの大きさがあり音は聞けませんでしたが雄大で甘い音がしそうです。FALの平面スピーカーは通常は耳で聞いている音楽が、体全体に平面波の音圧を同時に受け、体で音楽を感じるような不思議な体験でした。中央のライブの映像もその雰囲気を盛り上げていました。家庭で聴くのに適しているかは不明ですが(小型ユニットもあるようです)ホームシアターには良いかも知れません。WEのホーンも決して家庭用とは言えない大きさで(しかも今回は1個のみのモノラル)、短時間の試聴でしたが全体に自然で悠然とした響きでその実力の片鱗を感じ、さすがと思いました。

また来年秋に開催されますので、ご興味のある方は是非お越しください。

9月の試聴会の様子と次回予定

9月8日(土)に恒例の試聴会を開催いたしました。今回は女性の方も来ていただき、華やかさも加わり楽しんでいただけと思います。

まずセンター試聴スペースでは、当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PRE(写真参照、シルバニア6J5, GE37搭載)とメインアンプはYarland TJ300/2A3-S2(300B付)の組合せ、CDプレイヤーは常設のマランツCDR630。そして今回はスピーカーにビンテージと言える独テレフンケンの2Way(50年台の製品)と英タンノイの同軸2Way(60年代の製品)の独英対決(笑)を中心に聴いていただきました。

ソースにはイタリアの新進気鋭トランぺッター、クリスボッティのアルバム「When I fall in love」から数曲聴きました。伸びやかで感傷的なトランペットで、数曲はボーカル(スティング等)も参加していて楽しめるアルバムです。まず真空管で有名なテレフンケン社、ユニットはオリジナルのアルニコ26×18cmフルレンジ+10cmツィータで箱はリメーク。真空管アンプとの相性は抜群で、明るく伸びて艶やかな中高音が響き、重厚さもある音楽性ある音で皆さんも感心されていました。やや重心が高いので低音重視のジャズの迫力には不足ですが、ボーカルやビバルティの四季の弦が美しくドビッシーの海も華麗に響き、楽しい音。小~中音量で秋の夜長にしっとり聴くには最適です。次にスピーカーを同等サイズ(25cm同軸)のタンノイのイートンに切替て聴きました。タンノイでは小型の60年代の製品ですが、さすが英国の名門、落ち着いていながら明瞭な大人の音になります。タンノイは総じて暗いという世評もありますが、低域の音階も明確になりジャズの迫力も中型としては大変良く再生され完成度が高いです。どちらもアルニコ磁石の時代の製品で真空管アンプに好適です。

比較のため常設スピーカーの米国勢アルテック銀箱、JBL4408Aでも聴き欧米対決をしました。さすがメリハリの利いたモニター調に変わります。特に音量を上げた場合は米国勢が有利でしょうか。ここは趣向の分かれる所ですが、音楽をゆったりと気負わずに楽しむには真空管アンプ+ヨーロッパ製スピーカーはお奨めです。試聴された方々もオールドSPでここまで鳴るのかと好評でした。今後も真空管アンプと相性が良いヨーロッパのスピーカーを選んで、ラインアップにしていく予定です

 

後半は奥のメイン試聴室に移り常設のASC-845Jマルチアンプのシステムを中心に聴いていただきました。

まず、耳が覚えている間に(笑)、同じクリスボッティを数曲聴きました。センター試聴スペースでは音色や響きが良いと好評頂いたお客様も、奥では同じソースでも全体のホールトーンや余韻が加わり、楽器の分離もよく聴こえるので不思議に思われる方が多いです。例えば二曲目の「No Ordinary love 」(尋常でない恋(我訳))はオリジナルはシャーディーの憂いあるハスキーボイスですが、ここではクリスボッティの感傷的なトランペットに乗せてごくわずかですが女性ボーカルがユニゾンで聴こえます。これはセンターでの試聴では気付かないレベルです。背景にあるオーケストラやコーラスが明瞭に聴こえ情報量が多く音楽が違って聴こえます。その他のソースでは、お客様ご持参のブルースギターでセミアコのエレキギターの冴えたトーン、キースジャレットのライブではピアノの力強く華麗な響きが聴けます。またチャイコフスキーの5番、もののけ姫のテーマなど、ホーンシステムですが突っ張った所がなく、漂うような柔らかな音が皆様に好評でした。またお客様ご持参のPC音源を使ってショパンのピアノソナタなど聴き慣れたソースでも比較試聴頂きましたが、響きが違うと驚かれ、「アンプやケーブルよりも部屋の環境が一番効いているのでは?」と不思議がられていらっしゃいました。確かに部屋の音響ではスピーカーのウィング増設、背面の硬質スクリーン、側面の吸音材などで調整して今日に至ります。ただしオリジナルのART-PRE、ART-Cable、ART-Powerの効果も大です(この点強調)。この辺の絶え間ない進化の努力(笑)はリピーターの方から「来るたびに良くなっている」と言う証言付です(笑)。さらに奥の試聴室でYarlandでもっとも小型のTJ-6P1(DAC内臓)をテーブルの上に置き、PCからUSBで接続し、ハセヒロのバックロードホーンSPで聴きました。これまた想定外(禁句でしたっけ?)の豊な響きで皆さんビックリ。それではと最後にお客様ご持参の7cmのスピーカーが鞄の中から登場、これがまた中域の充実した良い音でまたビックリ。その後、ニアフィールドリスニングの配置にするなど、いろいろ実験しているうちに収拾が付かなくなり、店主のガバナンスが危ういのでお開きの時間となりました。

参加された皆様もご満足と共に、この音はどこから来て、どこへ行くのか不思議な感覚を持たれ家路につかれたようででした。

 

新作オリジナルパワーアンプ
新作オリジナルパワーアンプ

次回の予定ですが、なるべく詳しくしてというご要望が寄せらたので少々くわしく。当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PREとメインアンプは

センター試聴スペース用に製作したウェスタンエレクトリックの417A出力管、6J5整流管、電源、出力トランスを使用したパワーアンプを聴いて頂く予定です。出力は約1ワットですが、これが能率の良いSPならきめ細かく端正な音を聴かせます。

当店としては初のオリジナルパワーアンプで、まだ発売は予定していませんが、是非聴いていただきたいと思います。

またスピーカーは珍しい東独製RTF社の2Wayで聴いていただく予定です。1970年頃の製品ですが、このユニットはマグネットが通常よりワンサイズ大型で超強力+軽量コーンでダンピングの効いた低音など、ジャズの迫力にも対応します。

また小型ヤーランドTJ-6P1にはデンマーク製の小型SPでの組合せも予定しています。

さて、それぞれ真空管アンプとの相性はどうでしょうか?

ご期待ください!

 

8月の試聴会の様子と次回予定

8.11に8月の試聴会を開催しました。今回も酷暑の中、お越し頂いた方々、ありがとうございました。

今回はセンター試聴コーナーでは新たに加えたスピーカーのタンノイ イートンをメインに、プリアンプART-PREⅥ、メインアンプYarland TJ-300/2A3-S2(300B)、CDPマランツCDR630Mk2、それにアナログプレイヤーはガラード86SBMk2の組合せで聴いていただきました。

ソースにはまず小沢征爾氏のCDベストアルバムからチャイコフスキー弦楽協奏曲、続いてレコードでカラヤンのバッハ管弦楽組曲2番の一部を聴いていただきました。弦楽の繊細で美しいハーモニー、管弦楽では弦と管の音色と響きの微妙な重なりなどが表現され、タンノイ独特の同軸2ウェイの定位が素晴らしく、オーケストラの配置や全体の響きが心地良く聴けます。またヴィバルディの四季でも弦の引き始めの音や弓の動きが判るほどです。またナタリーコールのジャズボーカルも新鮮な歌声が聴けました。ジャズではお客様持参の山本つよしトリオのMISTY、ジャコパストリアスのWord of Mouth、ウェザーリポートのデビューアルバムから聴きました。さすがにジャズではパルシブな音源やバスドラの迫力などでは表現不足な点があり、ソースを選ぶ傾向が判りました。これまでタンノイでは小型のマーキュリーM1(同軸ではない2ウェイ)でも聴いて頂いていましたが、同軸2ウェイ、10インチのイートンは比較的小出力の真空管アンプとの相性が抜群で、通常の部屋の大きさには最適と思われます。参加者の方にも音にご納得頂けてご好評でしたので、今後もセンター試聴コーナーで常時比較試聴できるようにいたします。センターでは最後にお客様が持参されたスピーカー(STEREOという本の特別付録の箱のキットにフォステックスのユニット使用)を聴きました。やはり小型ユニットで同軸のメリットで定位とリニアリティ、応答が良く、小音量でも音痩せしない真空管アンプで聴くには適していました。

後半には奥の試聴室に移り、常設のシステム(電源装置:

ART-Power、CDP:ASC-1420CD、DAC:ASC-DAC9、プリアンプ:ART-PREⅦ、チャンネルデバイダ―:Belinger(改造品)、メインアンプ:ASC-845J×2のマルチ、SP:アルテックのホーン(中高域))JBL4560にJBL38cmユニット(低域)、ケーブル類は全てART-Cableシリーズで聴いて頂きました。

ソースはセンターとの比較のため同じものをメインに試聴しましたが、こちらはフルスペック構成のため、センター試聴室よりも奥行き感、音の広がり、楽器の大きさ、ホール全体の響きなどの再生能力が高く、クラシックからジャズ、ロックまでジャンルやソースによらずに自然で心地よい音楽が聴けます。参加者の方々からもセンターでいくら良い音と感じてもメイン試聴室では心地良さが違うと好評ですが、ここまで整備しないとこの音には成らないのかという逆宣伝になってしまうのではという危惧もあります(笑)。と言っても真空管アンプの特性を活かすようにご自身のライフスタイルと感性にあう音も詰めていのが早道です。

 

次回は9月8日(土)13::00~15:30の予定です。お客様から事前に次回内容を案内して欲しいというご要望がありました。そこで次回はセンター試聴室ではSPに今回の英国製タンノイイートンに加え、ドイツ製テレフンケンの同等クラスのスピーカーでの比較試聴を300B, 2A3アンプで、メイン試聴室ではART-PREの最高峰(名称未定、写真添付)で聴いていただきます。ソースにはイタリアを代表するトランペッター、クリスボッティなどを予定しています。是非楽しみに聴きにきてください。

7月の試聴会の様子と次回予定

7.14(土)の恒例の定期試聴会を開催しました。今年は猛暑の毎日ですが遠路ご参加いただきありがとうございました。今回はセンター試聴コーナーではASC-1215KT(KT120)でまず聴いていただきました。ソースはお客様ご持参のハリーベラフォンテのボーカル、ゲイリーバーツ&ソニーフォーチュンのアルトサックス二重奏、ブルースのオムニバスを聴きました。本アンプはシングルアンプながら中域が厚くジャズやボーカルの熱気を良く再現する定評のある機種です。中でもハリーベラフォンテの「ダニーボーイ」では暖かくノーブルな歌声は現代では稀な哀愁を帯びた熱唱で熱くなります。

スピーカーは主にビクターSX-3を使用しました。

次に奥のメイン試聴室に移動していただきました。今回は常設の

ASC-1420CDASC-DAC9ASC-845Jマルチに加えプリアンプにはオリジナルのPRT-PREⅦで聴いていただきました。また今回はウーファーのスピーカーケーブルにはやはりオリジナルのART Cable TypeS6(従来は同TypeS4)に変更し低域の音圧を向上させています。ソースにはまずセンターとの比較のためハリーベラフォンテの「ダニーボーイ」を聴きましたが、最初のフレーズから「別の音楽に聴こえる」「大人の音楽になる」といったコメントをいただきました。センター試聴コーナーはアンプ機種の比較試聴用で、奥のメイン視聴室は常設のため、システム構成が違うため当然ですが、お客様はその音楽としての聴こえ方の違いに驚かれることが多いです。

今回はまたお客様がアナログレコードも持参されましたので、まずは常設のシステムで聴きました。(DENON DP3000、電源にはオリジナルのART-POWERを使用)

ソースには金子由香里のシャンソンや津軽三味線などを聴きました。常設はオルトフォンのMMカートリッジですが、お客様ご持参のデンオンカートリッジやラインインピーダンスマッチングトランスを追加しての比較試聴も行いました。それぞれの違いは明確に聞き取れ、参加された方々からも違いが良く判るというご感想で音楽のニュアンスの違いを楽しんで頂けました。音の違いを言葉で表現するのは難しいのですが、一部の機器変更がすぐに音の違いに出るのはそれだけ再生能力があると解釈しています。特にピュアオーディオシステムの構築では基礎となる電源も重要なファクターであることは間違いありません。なにせオーディシステムは電気駆動ですから。

話が長くなりましたが、金子由香里のシャンソンから、再度CDの再生に戻り、シャンソン繋がりで本場フランスのバルバラの「黒い鷲」なども聴いていただき気分はパリの街角です。さらにボーカルではボビーコールドウェルのロマンチックな歌声、スティングの抒情、クラシックではバッハの艶やかなバイオリンコンチェルト、チャイコフスキーの潤いと厚みのある弦楽アンサンブル、ジャズではゴンサロの染み入るピアノ、クリーム時代のクラプトンの白熱のアドリブなど時間の許す限り聴いていただけました。参加された皆様からも楽しかった」という嬉しいコメントを最後に頂きました。猛暑が続いていますが次回は8/11(土)13時からですので皆様のお出でを楽しみにしております。

6月の試聴会と次回予定

6月9日(ロックの日?)に6月の定例試聴会を開催しました。まずはセンター試聴コーナーでロック、ジャズの熱気もしっかり再現するMingDA ASC-1215KT(KT120)で聴いていただきました。ソースはロックの名盤の一つのグレッグオールマンのレイドバックを聴きました。アメリカ南部ブルースを基調にリラックスした演奏とボーカルが冴え、独特の雰囲気が味わえます。スピーカーはJBLがギターの音色も活きて気持ちよく鳴りました。

今回はお客様のお一人がご自作のカートリッジ(オルトフォンMC改造品)、MC昇圧トランス、アナログレコードを持参されましたので、他のお客様の了解も得て早々に奥のメイン試聴室に移り、当店常設のアナログプレイヤー(DENON DL1300+オルトフォンΩ)に換装して比較試聴しました。ソースはお客様ご持参のアートペッパー(+イレブン)、ブラームスの5番の他、当店のアールクルー、チックコリア、レッドゼッペリン、エイジアを聴きました。当店常設システムはデジタル音源が中心のため、アナログでのチューニンフはあまり追い込んでいませんが、真空管プリアンプの効果もあり、やはり中身の詰まった生々しい音が聴けました。デジタルでは美味しいハンバーグ(切り刻んで固めた肉)であったものがレアのステーキが出てきたような感覚とでも申しましょうか。帯域が狭かったりごつい所はあってもさらに美味しいです。当時のアナログ録音との相性もあるのでしょうか。真空管アンプの効果はもちろんのこと、アナログ再生にはやはり趣があります。

フォノイコライザーは真空管式が欠品のためオルトフォンのもの(MM/MC)を使用しました。常設のMMカートリッジ(オルトフォンΩ)では出力もあり良い音なのですが、お客様ご持参のオルトフォンのMCカートリッジでは音に元気がありません。そこでまたお客様ご持参のMC昇圧トランス(カスタム製作品)を加えますと俄然元気が良く艶やかな音になり、MCはこうでなくてはという感想になりました。その他、フォノイコライザーの電源やアースの取り方によっても音やノイズが微妙に変化します。アナログで良い音をだすのは良い耳と知識と情熱がデジタルに増して必要ですね。

最後にはまたデジタル再生に戻りまして、いつもよりロックに敬意を払いましてローリングストーンズ、スティングなどを聴きました。今回を機にアナログ再生も妙味を再確認できましたので、さらに試聴会も充実させていきます。

次回は7月14日(土)13時からです。また皆様と楽しいひと時を過せることを楽しみにしております。

5月の試聴会と次回予定

昨5/12に5月の定例試聴会を開催しました。(いつも「ブログには何時でるの?」と急かされますが、今回はなんと翌朝です!)

冗談はさておき店頭の小さなバラやハーブも咲いてお客様をお迎え。

センター試聴コーナーは各種アンプをスピーカーを切替えてご試聴いただけますが、お客様のリクエストでミンダのASC-3023BA(2A3付)とASC-1215KT(KT120andKT150)でジャズを聴いていただきました。ソースには以下の写真にもありますキャノンボールアダレイ、アートブレイキーとジャズメッセンジャーズなど。

3023BA(2A3)は美しく端正な音色が特徴ですが自然かつ充実した音色で、演奏開始すぐに「まるでレコードで聴いているようですね」などのお声が聴かれました。サックスの音色に艶があり、ドラム、シンバルの音も心地良いです。次にアンプをパワフルな1215KTに替えて同じソースで聴きましたが、KT120では特に中域が厚くジャズの熱気、醍醐味が味わえジャズのお好きな方にはグッとくる音色です。KT150に差替えますとさらに低域が広がり音場も広がりジャズよりフルオーストラなど雄大な表現に最適な音色になることを感じていただけました。本機は1台で2度美味しいアンプと言えます(何度でも味わっていただけますが)。スピーカーは最初はアルテック銀箱でしたがJBLにしますとJBLオーナーの方からは「やはりジャズの熱気が出ますね」と好評でした。

メイン試聴室ですが常設のASC-845Jマルチアンプ構成ですがプリアンプにART-PREⅦ(セブン)を使用して聴いて頂きました。ソースにはお客様ご持参の寺村容子ピアノトリオを中心に女性ボーカルではサラボーン、男性ボーカルのスティング、室内楽曲ではバッハのブランデンブルグ第6番、フュージョンジャズではウェザーリポートを聴いて頂きました。特にピアノ特有の微妙な響板の不協和音や原寸大の音場を再現するのは、かなり難度が高いのですが、今回のソースは寺島氏のレコードだけあってごりごりしたベースやバシッとしたドラムスの録音がジャズの美味しい所を押さえている上、レトロ感のある潤いと憂いのある音楽で、お客様と一緒に聞き惚れてしまいました。特にダニーボーイとバーボン通りの月は感動的でした。

次回は6月9日を予定していますので皆様のお越しを楽しみにしております。

4月の試聴会の様子と次回案内

4月14日に定期試聴会を開催しました。トピックスは新しい真空管プリアンプのART-PREΘ(仮称)と電源装置ART-POWER CUSTOMで、両者をメインシステムに設置して聴いていただきました。今回はメイン試聴室のみで約3時間の大試聴会と相成りました。

ART-PREΘ(近日詳細ご紹介予定)は、真空管は6J5メタル管、37、6X5(RCA),レイセオンの電源トランス、WEのチョークトランス、プレートチョーク、出力トランスを搭載したこれまでのART-PREからさらにグレードアップした製品です。またART-POWERは製作例3でご紹介した内容の製品で117V1系統をプリに、100V2系統をCDPとDAC接続して聴いていただきました。

全体としては従来とはさらに違った落ち着きと静けさが増し、音楽が極めて自然に聴けるようになっています。以前にいらしたお客様からも「音の出方が全く変わった」「毎回、音が良くなっているのに驚きます」と言った感想を頂きました。ソースはお客様のリクエストのジャズギター、ジャズピアノを皮切りに、女性ボーカルはスラヴァ、エラフィッツ=ジェラルド、ホーリー=コール、マーカス=ミラーのジャズエレキベース、クラシックではバッハのブランデンブルグ6番、チャイコフスキーの悲壮等を聴きました。一つのシステムで全てのジャンルを鳴らしきるのは一般には難しいと言われていますが、電源装置と最高峰の真空管アンプの効果は絶大で、自然な響き、奇をてらわず純粋でストレートな音がそれを可能としています。お客様のご感想も、高音が綺麗だとか低域の響きがどうであるとかと言った、所謂オーディオ談義はほとんどなく、皆様真剣かつ純粋に音楽を楽しまれ、試聴会というより音楽会という雰囲気で、3時間があっと言う間に過ぎてしまいました。

音楽性豊なソースをオーティオシステムで芸術の域で聴けることの喜びを共感できる試聴会となりました。

次回は5月12日(土)13~の予定です。また皆様のご参加を楽しみにしています。