10/13(土)午後に10月の定例試聴会を開催しました。(定例試聴会は毎月第二土曜日です。その他の日も承っておりますが不定休のため事前連絡ください)
今回も女性のお客様も参加いただき、和やかにアットホームな雰囲気で行いました。まずセンターの試聴室では当ショップオリジナルの新作プリアンプART-PRE(シルバニア6J5, GE37搭載)とメインアンプはウェスタンエレクトリックの417A出力管、6J5整流管、電源、出力トランスを使用したパワーアンプで聴いて頂きました。出力は約1ワットですが、電源、出力トランスがしっかりしており、能率の良いSPであればご家庭で十分な音量、かつきめ細かく端正な音を聴かせます。スピーカーは常設のアルティック銀箱、タンノイイートンに加え、珍しいテレフンケンと東独RFTユニットの各2Wayのスピーカーで聴いていただきました。ソースは最初にデビッドサンボーンのアルバム「Inside」から数曲。フュージョンジャズ的な作品ですが独特の先鋭で明瞭なサックスの音色を伴奏が盛り上げます。モダンジャズではスタンダードのデイブブルーベックのテイクファイフ他を聴きました。聴き慣れたメロディと演奏ですが、これも真空管アンプと真空管時代のスピーカーユニット、そしてそれらでモニターしてアナログ録音したソースですから、少々大袈裟に言えばタイムマシンで当時の雰囲気に戻ったような気分になります。スピーカーも銀箱は定番でアビーロードスタジオのモニターでもあったわけですから別格ですが、タンノイはバランスに優れ、テレフンケンは中高音が瑞々しく、RFTも想像以上に切れの良い音。スピーカーにより出口の再生音の違いは顕著ですが、小出力の真空管アンプでも音やせせず、豊かで実存感のある音楽である点はアンプの特性として共通であることをご確認いただけました。ソースにはその他、お客様ご持参の室内楽(写真撮り忘れました)や原大力&His Friendsのピアノトリオなどを聴きました。真空管アンプのご試聴が初めてのお客様からはトランジスタの音とは根本的に違いますねと言われました。トランジスタは真空管の代用品として生まれ、工業製品としての特性、生産性に優れていますが、オーディオでは真空管の優れた能力があり、複雑な回路設計をせずとも、素の音楽の陰影や奥深さなどを再生することを感じて頂けたことと思います。
奥のメイン試聴室では常設のASC-845Jマルチアンプ、ASC-1420CD、ASC-DAC9、ART-Power, ART-PRE、スピーカーはALTECホーンとJBLウーファーですが、今回は写真にもありますが背面の両側面に吸音・反射材を追加して調整しました。吸音材はトラス状の木製枠に布を張り、反射材には平板を組合せていますが、これらの面積比や設置角度のより特に高域の伸びや艶がコロコロ変わります。リピーターの方からは前回から何をどう変えたのか?とご質問があったほど顕著な差がありました。ルームチューニングの理論書や市販品もありますが、まずは皆様も手持ちの材料でも試されることをお奨めします。
ソースにはまずクリスボッテイのライブ「in Boston」の一曲目のアリアを聴いていただきました。本作はボストンの教会で録音されたライフで最初にボッティが登場する際の場内の歓声がまるで会場にいるように聴こえます。思わずコンサートのチケット買って入ってっけ?と一瞬不安になったという方もいらっしゃりました(笑)。アリアの演奏のトランペットの響きや息遣いにも音楽家の演奏とそれに聴き入る観客の感動が感じらました。その他、室内楽ではチャイコフスキーの弦楽室内楽、ゴンサロのジャズピアノ、もののけ姫の主題歌などを聴きましたが、お客様からは、センター試聴室で良い音と感じても、メイン試聴室では音楽の奥行きがまるで違うとご好評でした。またテーブル上に置いたヤーランドTJ6P1-Pをパソコン音源で珍しいデンマークDEARYの小型スピーカーで聴きました。小音量でも雰囲気があり書斎など最適です。最後にまたメインシステムでクリスボッティのTime to say good bye をしみじみ聴いていただき時間となりました。
真空管アンプでは音楽の雰囲気、特に奥行き間や深みが巧みに再生されます。トランジスタでは特性向上のため回路上NFB(負帰還)を掛けますが、特性が揃い音楽が綺麗になる反面、平面的になる傾向があります。真空管で秋の夜長に奥深い音楽をお楽しみください。
次回11/10(土)13-15:30ですが、ミンダの新製品ASC-300BTCの試聴を予定しています。PASVANEの300Bを搭載しトランス結合の特徴である奥深く柔らかい音がします。お好きなCDをお持ちになって聴きにきてください。また楽しいひと時を楽しみにしております。