6月15日に毎月第二土曜日定例の試聴会を開催しました。センター試聴コーナーでは、アンプに当店での中堅機種のKT90シングルアンプのASC-B902, それとKT120シングルアンプのASC-1215KTで聴いていただきました。前者は従来から定評あるミンダの中核機種のMC368-B902 の後継機で中央のVUメーターが無くなりすっきしたデザインになりました。VUメーターはあった方が良いという方もいらっしゃいますが有効活用されている方は稀でしょうからデザインの一部でしょうか(笑)。なので両者のデザインは似ていますが両者の出力管の形が当然違います(笑2)。音の傾向は前者はKT90の力強さと艶が絶妙にバランスした塊感のある音が特徴です。何でもこなしますが特にジャズ、ボーカルなどが得意分野です。後者はKT120でKT90の高出力、高性能版でシングルとしては非常に大きな出力(25W×2)が特徴です。音の厚みが増して全体の迫力とバランスに優れていて、ジャズ、ロック、オーケストラも良いです。KT120は高出力管で発熱量も多く本アンプではそのポテンシャルをフルに引き出しており、それが音にも表れています。
ソースには写真にありますものを中心にお聴きいただきました。参加者が持参されたものも含まれております。女性ボーカルでは日本の至宝といわれる①伊藤君子のA Natural Woman、続いて②スウェーデン代表Monika ZのVARSAMT、当店定番のトランペットの③Chris BottiのSlowing down the world, サックスの④Derrick JamesのThink positiveなどを聴きました。①はジャズやポップスのスタンダードナンバーをストリングスを含めたアレンジのアルバムですが、洋楽でありながら日本風になるのは独特のビブラートがどこか演歌にも通ずるからでしょうか。美しい歌声のなかに日本人独特のしっとりした味が聴き取れます。②はアンニュイな雰囲気と現代的なアレンジで独特な不思議な雰囲気が楽しめました。③はいつも試聴会で聴いているIn Bostonとは違い優しくメロウな雰囲気。4曲目はステイングのボーカルが聴けますがいつものストイックなイメージではなく珍しく明るく前向きな雰囲気(笑)が楽しめます。④はヒュージョン色が強いですが達者な演奏で小気味よく響きます。スピーカー個々の特徴もありますが文字で説明は難しいので聴きにきてください。当時のヨーロッパの高級ステレオコンソールに使われていたユニットを使い、小型の後面開放や密閉箱に入れ現代に蘇った(やや大げさ)音は、現代の最新のものと聴き比べても味わいあるものです。お客様からも奥のメインシステムと聴き比べても迫力、実物大の再生という点を除けば、音楽としての満足度は十分得られると好評でした。
いつものように後半は奥のメイン試聴室に移りました。今回はCDプレイヤーを従来のヤーキンのコンサートマスターASC-1420CDからミンダの高級CDプレイヤーMC-500CDに替えて聴いて頂きました。元祖フィリップスのピックアップ回路やアップサンプリング機能によるリアルで鮮烈な音です。本機もトップローディング方式は同じです。CD出し入れは一般的なディスクトレイのフロントローディングが便利ですが、ご承知のとおりトレイのメカの故障は意外と多いですし、フラフラしているトレイが精緻な読取をしているCDの傍にあるというのが気になりませんか?その点、トップローディングは出し入れの手間はかかりますが確実でスライドメカがなく、アナログレコードの針や裏返しの儀式(笑)よりは簡単です。肝心の音ですが、従来のASC-1420CDも当システムの定番で使用してきたストレートで化粧っけのない素直な音でしたから大差ないのではと思いましたが、その差は歴然です。もちろん変な脚色や派手さ、人工的な音作りは感じられませんが、全ての音が鮮明になり解像度がアップします。決して誇張なく音楽の肝心な部分がきちんと出てきます。アップサンプリング回路でデジタルノイズを可聴範囲の上に追いやり、デジタルノイズが激減している効果もあるのでしょう。筐体も重量のあるしっかりした構造です(当面は店頭販売のみになりますが、気になる方はご連絡ください)。ソースには上述のものに加え、写真のものを聴きました。お客様ご持参の岩崎宏美の「Dear friends Ⅳ さだまさしトリビュート」ではご本人からこれまで聴いた感じとまるで違うと驚かれました(もちろん良い意味で)。日本人女性特有のしとやかさ、清廉さが伝わってきます。ピアノの音も打楽器としての強さと響きが冴えます。当試聴会の定番のクリスボッティのIn Bostonのイントロから最初のAve Mariaでは演奏前の観客のざわめきから人数や会場の大きさ、響きが伝わり、ボッティの登場での拍手、歓声、それから奏でられるトランペット、弦楽の厚い響きなど感動的です。最後はクラシックもとのリクエストにお応えしカラヤン指揮、ムソルグスキー作曲、ラベル編曲の展覧会の絵を聴いていただきました。冒頭の金管のテーマの入りと続く弦楽の響きが絶妙の調和し、煌びやかなフルオーケストラの響きで締めくくりお開きとなりました。リビーターの方々からも格段に良くなっているとのコメントを頂き嬉しく思います。だんだん伸び代が減ってきますがが、さらに上を目指して頑張ります。
次回は7月13日土曜日13:00からです。是非お誘い合わせの上、聴きにきてください。