3月9日に試聴会を開催しました。まずセンターの試聴コーナーでは近日発売予定の東独テレフンケン/インペリアルのフルレンジスピーカー(写真両端)を中心に東独RFTの2Wayスピーカー(中央上)などを聴いて頂きました。いずれも50~60年代のユニットで軽量コーン紙と強力磁石で実に伸びやかで反応が良く上品な音色を聴かせてくれます。12~15cmクラスですから重低音は望めませんが、通常の音量であれば十分に音楽を楽しめます。特に真空管アンプとの相性は大変良いです。それもそのはず、当時のアンプはEL84などの真空管アンプだったのですから。反対にトランジスタの大出力アンプで大音響で鳴らす様には設計されておらず、無理に大音量を出すと破損する恐れがありますのでほどほどに。試聴会ではアンプはASC-845Jで聴いていただきました。小型ユニットですからもっと小出力のアンプでも十分というか、むしろマッチしているとお客様からコメントいただきましたので次回以降はそうしたいと思います。ソースにはリッチ―バイラークのピアノバラード、ヨーヨーマのチェロ、お客様ご持参の海野しゅんすけのジャズドラムス、竹原ピストルのパンクフォーク?(筆者独善のジャンル名)、The Ritzの混成ジャズボーカル、石川さゆり、美空ひばりのカバーアルバムと続きました。特にボーカルは特筆もので、情感やハーモニーが良く伝わります。夜にしっとり聴くにも最適とのご感想でした。ピアノやジャズは迫力こそありませんが、微妙な音色、音楽の中心である中音域はしっかり出てリラックスして聴けます。なおフルレンジでは素直で自然な傾向、2Wayはワイドレンジで明瞭な傾向です。これらのスピーカーシステムは近日、ART-SPEAK(アートスピーク)シリーズとして順次発売予定ですのでご期待ください。
後半はメインシステムで試聴しました。前回はJBLホーンに変更直後で従来のアルテックホーンを上に重ねていましたが、後者を撤去しすっきりさせました。やはりドライバーの大きなマグネットを重ねていては磁気干渉もあったのか、撤去後は音の定位や抜けも向上した様です。(何かの参考になれば幸いです)。また写真の様にホーンを銀色に着色してみました。パワーアンプはウーファー用が左側のASC-845J、ホーン用が右側オリジナルの6550シングルアンプです。(床のアルテック30cmシステムは鳴らしていません)
ソースには前述のものに加え、室内楽ではドボルザークのアメリカ、コルトレーンのサックス、最近リファレンスにしているクリスボッティのトランペットのIn Boston、デビッドサンボーンのサックスのInside等を聴きました。センターで試聴した音楽も良いのですが、こちらではやはり大型ならではの奥行き、ホールトーン、定位、音の強弱などの再生力の違いでまた違った音楽になります。お客様から次元が違うとの感想が多いですが、奥行き、高さ方向が加わりますから確かに次元が2次元から3次元、さらには音の余韻は時間ですから、音の次元が違うというのは適切な表現かもしれません。In Bostonではボッティの絶妙なトーンがホールに広がる様子や観客の人数が感じられ、サンボーンのサックスでは陰影が強く表現され魔術的な凄味さえ感じられるなどアーチストの気迫、情念も感じられました。
最後に後日談を2件。その後、お客様がご持参のJBL075を追加して試聴しました。当然、高域が伸びて上が広がりシンバルやボーカル、オーケストラも明るく華やかになります。ただしレベル調整が微妙で、出過ぎると余韻や奥行き感が減少するので精緻な調整が必要なようです。この辺はユーザー諸氏が苦労されている点なのでしょう。また左右2台に分けて使用していたチャンデバの1台が故障したため、一時的に1台(本来ステレオ仕様)に接続しましたが、やはり2台での独特な奥行き感、左右の定位、ゆらぎ感などが減少し、2台使いのメリットを再確認しました。
次回は4月13日(土)13:00~15:30の予定です。お好きなCDご持参の上、ご参加ください。