8月の試聴会の様子と次回予定

本日(8/10)、8月の定例試聴会を開催しました。猛暑の中、お越しいただいた方々、ありがとうございました。

今回もまずはセンター試聴コーナーから始めました。今回からCDPを従来のマランツのCDP630からコンサートマスターのASC-1420CDに変更しています。マランツも元祖フィリップスのピックアップを採用したプロ用録再機能付り定評のあるものですがASC-1420CDの方が芯のある素直で純朴な音になりました。CDPは極力色付けの少ないものがシステムとして纏まります。リピーターの方からも低域も安定してずっと聴きやすくなったと好評でした。

試聴ソースにはお客様持参のものを中心に、女性ボーカルではシャーディーのLove Delux からNo Ordinary Loveなど、ジャズではアートブレイキーとジャズメッセンジャーズのMornin, 自然賛美的なピアノのジョージ ウィンストンのAutumn、ジャズピアノではキースジャレットのThe Melody at night with you、スティーブキューントリオのLove Walked Inから数曲、男性ボーカルではハリーベラフォンテのダニーボーイを聴きました。

アンプは①Ming-DaのASC-902B(KT90シングルアンプ)、②同ASC-300BTC(300Bシングルトランス結合アンプ)、③YARLANDのTJ84-P(EL84プッシュプルアンプ)、④Concert MasterのMC-13S(6CA7プッシュプルアンプ)の4機種、スピーカーはテレフンケンの2Way(店頭販売中)とJBL4408Aの2機種を中心に聴きました。全ての組合せは時間の都合でできませんが、それでも①はKT90の特徴の太くて力強くかつ艶のある音の傾向、②は3極管300B特有の優美さと奥深さ繊細さが味わえ、③は小型ながら清楚で纏まりの良い音、④はプッシュプルらしいハイパワーかつ中域の艶と弦楽器の美しさが印象的という傾向は皆さん感じ取っていただけたと思います。スピーカーについてはテレフンケン2Wayはスピード感、応答の良さと繊細さを持ち、JBL4408Aはモニター機らしいカッチリとした手堅く元気の良い音で、それぞれの特徴が良く発揮されています。

皆さん色々なジャンルの音楽がお好きとのことですが、組合せによって再生される音楽の印象はかなり変わります。是非ご趣味にあった音の傾向、組合せを発見していただきたいと思います。近所への買い物に高価なスーパーカーは不要ですが、楽しいドライブに最適な車を見つける様なイメージでしょうか。カタログの文面やオーディオ評論家の記事を参考にして予算の範囲で高価な機種を揃えていってもご自身の求める音、満足いく音には到達しにくいでしょう。オーディオ機器はスペックや価格よりご自身の感性が大切です。趣味性の高いものですからその探求プロセスも楽しみながらアプローチするのが一番だと思います。

(下に続きがあります)

 

後半はいつもの様に奥のメイン試聴室に移動して聴いていただきました。センターとの違いは音楽のスケールが実物大に感じられることです。これは単に音量という意味ではなく、各楽器の音色、強弱、余韻、声の息遣いやハーモニーなど音楽性に関わる要素の全てに関係している違いです。これらがバランス良く再生できていればあまり音楽のジャンルを問わず楽しめます。

ソースには前述のアートブレイキーのMorninの比較試聴を皮切りに始めました。同じソースでも細かい部分や陰影が表現されるため違った音楽に聴こえてきます。続いてお客様ご持参のホロビッツ晩年のLive In Moscowから才気と技術が見事に調和した円熟の演奏、昭和のジャズから雪村いずみ・広田美枝子・美空ひばりの懐かしくも凛々しい歌声などを聴きました。ただ再生能力が高まると当時の録音技術の限界も露呈しますがそれは仕方のないことです。音源を100%楽しめていると考えましょう。お客様のソースが一段落したので当方の独断でハードロックでレッドゼッペリンのGood times Bad timesのワイルドでエッジの立った迫力ある演奏とボーカル、フュージョン系ではデビィットサンボーンのInsideからうねるエレキベースとサックスの絡み、キースジャレットのケルンコンサートのホールトーンが美しい冒頭部分、クラシックではオーケストラ版の展覧会の絵の管楽器と弦楽器が織り重なる冒頭部分、ビバルティの四季の春の小鳥のさえずりを思わせる明るい冒頭部分、そして最後はクリスボッティの傑作アルバムLive in Boston からTime to say Goodbyで終演としましたが、期せずしてお客様から拍手が起こりました。初めて参加されたお客様からは「真空管アンプは良く知らなかったのでもっと小型で骨董品、アンティックの様なノスタルジックなものかと考えていたが実際は全く違い、トランジスターアンプとも違い迫力ある良い音で感動した、良い体験をした」と嬉しい感想をいただきました。真空管オーディオの世界にようこそ!

次回は9月14日(土)13:00~15:30の予定ですので皆様お誘い合わせの上ご参加ください。